アメリカ東部で「謎の白い粉」が大量に降り注ぐ怪奇現象発生! ファフロツキーズか、ケムトレイルか原因不明
米国東部にて複数の州にまたがり“謎の粉”が空から降り注ぐという怪奇現象発生! 飛び交うさまざまな憶測、いったい真実はどこにあるのか?
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毎回、「ムー」的な視点から、世界中にあふれる不可思議な事象や謎めいた事件を振り返っていくムーペディア。 今回は、魚やカエルから、金属や石、巨大な氷塊まで、ありえないものが空から降ってくる超常現象について取りあげる。
現在、「超常現象」とひとくくりにされる事象には、かなり雑多な内容が盛り込まれている。この言葉自体、通常の自然法則から外れたさまざまな事物や現象というニュアンスを持っており、典型的な超常現象とされるUFOや心霊現象などは、正統派の科学者はほとんど相手にしようとしない。
他方、世界中から報告される無数のUMAの中には、将来その実在が確認されるものもいるかもしれないし、現象自体は確認されているものの、その原理がいまだに明らかになっていないような事物も、超常現象に含まれることがある。
たとえば、日食の際に重力異常が観測される「アレ効果」は、天文学的にも繰り返し観測されているが、その原因は今のところ不明である。
西洋医学から見放され、死を待つばかりになった重病人が、ルルドの聖水や聖職者の祈り、各種代替医療の結果、奇跡的に回復するという現象は、さすがに医師たちもないものにできないようだ。
医学的にはこうした奇跡的な治療について、「プラセボ効果」によるものととりあえず一括されているが、このプラセボ効果自体詳しいメカニズムはわかっていない。
そして、空から魚やカエルなどの生物、石や血のような液体、さらには人の頭ほどの大きさの氷塊など、天空に存在しないはずの物体が降ってくる、いわゆる「ファフロツキーズ現象」も同様である。その存在自体は確認されており、最近では魚や鳥の落下が防犯カメラなどで撮影されたという事例もあるが、その原因について正確には解明できていない。
ファフロツキーズというのは、「Falls from the skies」を略した名称で、イギリスに生まれ、のちにアメリカに帰化して活躍した奇現象研究家アイヴァン・サンダーソンの命名である。
雨や雪、雹など、通常の気象現象で降ってくるもの以外の事物が空から落ちてきたという記録は古く、『旧約聖書』の「創世記」第19章第24節には、ソドムとゴモラの周辺が火と硫黄の雨で滅びたとあるし、「出エジプト記」第16章は、マナというパンのようなものが降ってきたと述べている。
記録に残されている最古の事例はおそらく、古代ローマの博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥス(紀元23〜79年)、通称大プリニウスが書き残した、紀元前467年、トラキアのアルゴス川地区で、荷馬車1台の積荷になる大きさの巨石が降ってきたというものだろう。
さらにプリニウスは、プブリウス・ウォルムニウスとセルウィウス・スルピキウスが執政官であった紀元前461年に肉が降ったとか、マニウス・アキリウスとガイウス・ポルキウスが執政官であったとき、つまり紀元前114年にはミルクと血の雨が降り、紀元前54年にはルカニアで鉄の雨が降ったなどという事件についても述べている。
その後もカエルや魚、ナマズや鳥といった生物、鉄や石、血のような赤い雨、さらには人の頭ほどもある氷塊が落ちてくるといった現象は、人類の歴史を通じてほぼ絶え間なく記録されている。
降ってくるもののうち、もっとも多く記録されているのが、カエルや小魚、オタマジャクシといった小動物である。
最近では2021年12月29日、アメリカのテキサス州テクサーカナで、激しい豪雨の中、雹とともに多くの魚が降ってきたことがある。しかもこのときは、町中にある何台もの防犯カメラに、落下してくる魚の姿が撮影されていた。
日本でも2009年6月4日、石川県七尾市で100匹ほどのオタマジャクシが降ってきた事件を皮切りに、各地で同様の事件がいくつも報告されたことがある。
ほかの生物では、1578年、ノルウェー第2の都市ベルゲン周辺のほぼ全域に黄色い大ネズミが降ったことがあり、1896年には、アメリカ・ルイジアナ州バトン・ルージュで数百羽の野鴨やネコマネドリが突然落ちてきた。鳥の落下については、ほかにも多くの記録がある。
生物以外のものもしばしば降ってくる。1876年3月8日、ケンタッキー州で食用肉の細切れが降ってきたというし、1891年5月15日にはイタリア・カラブリア県のメッシニャーデに血らしき液体が降ってきた。
また、スリランカでは2012年11月13日から2013年1月23日にかけて、広い範囲で赤や青、緑や黒などさまざまな色の雨が降っている。
巨大な氷の塊が降ってくることもある。カール大帝時代の神聖ローマ帝国の記録には、縦4・5メートル、幅1・8メートル、厚さ3・3メートルの氷が落ちてきたという記録が残るらしい。
それほど巨大なものではないが、大正6年(1917)には埼玉県で、直径29・5センチ、重量3・4キロの氷の塊が落ちてきた。
その他、石や塩の結晶、レンガ、釘、硬貨や紙幣、ガラス玉など、ありとあらゆる物体の落下が世界中から報告されている。
では、こうしたファフロツキーズ現象について、どのような説明が可能なのであろう。
この現象は気象学上、「異常降雨」とか「怪雨」と呼ばれることもあり、しばしば竜巻や強い風によって上空に巻きあげられた物体が離れた場所で落ちてくる、という説明がなされる。
しかし、魚やオタマジャクシの場合、同じ種類のものが降ってくるケースが多いが、竜巻が同じ種類の生物だけをより分けて運ぶということは考えられない。また、竜巻がまったく観測されないときや、さらには晴天時に物体が落ちてくる例も多い。
そこで、この現象に強い関心を抱いて無数の事例を収集していた超常現象研究家のチャールズ・フォートは、テレポーテーションと「超サルガッソー海」を持ちだして説明しようとした。
フォートによれば、これらの生物や物体は、別の場所からテレポーテーションによって運ばれ、一時的に超サルガッソー海という特殊な空間に蓄えられる。この超サルガッソー海は大気圏の上空にあり、ときどき蓄えられたものを雨のように地上に降らせるというのだ。
似たような説として、こうした物体はワームホールを通って離れた場所から運ばれてくるというものもある。
だが、空から落ちてくるという現象面では共通しているものの、ファフロツキーズ現象に含まれる事物については、それぞれ個別の説明が必要かもしれない。
まずはもっとも頻繁に報告される小魚やカエル、オタマジャクシだが、考えてみるとこれらは水鳥が好んで食べる食糧でもある。鳥の群が空を飛んでいるとき、急激な天候の変化や天敵の襲来を受けて強いストレスを感じた場合には、人間と同じように胃の内容物を吐きだすこともあるようだ。
哺乳類と違って鳥には歯がないため、獲物はとりあえず丸呑みして胃で消化する。そこで、捕食後時間が経っていなければ、呑み込まれた小動物はほとんど損傷を受けていない状態で吐きだされることになる。鳥が好みの生物のみを捕食したとすれば、同じ種類だけが落ちてくることも説明がつく。
実際、前述のテクサーカナの事件では、降ってきた魚を調べたところ、消化の痕跡が確認されたという。日本の石川県の事例でも、鳥が空中でオタマジャクシを吐きだしたのではないかという意見が出ている。
他方、落ちてきたカエルや魚が地面を元気に動き回っていたという事例もあるから、鳥説も万能ではないようだ。
このような事例については、雨が降ったことでカエルが集団で繰りだしたり、大雨で水路があふれ、水と一緒に路上に流れでた魚などが降雨後に確認されて、空から降ってきたものと誤解されたという説明もなされる。
鳥の大量落下については、SNSに画像がアップされたこともあるが、これについて動物の専門家は、上空で天敵に襲われ、パニックとなってぶつかりあって落ちてきたのではないかと解説している。
氷塊についても、最近新しい説が出されている。
地表から高度17キロほどの地点、対流圏と成層圏の境界領域である対流境界面は、大気圏でもっとも温度が低くなる場所であり、ここでは氷の粒がぶつかりあって急速に成長する。
通常こうした氷の粒は、ある程度大きくなったところで雹となり落下するのだが、対流境界面のすぐ下を強いジェット気流が吹いているため、かなりの重量物でもこれに乗って落下することなく運ばれていくというのだ。その結果、人間の頭ほどの大きさになることもあるという。
色のついた雨については、大気中の不純物が雨に混じってさまざまな色に見える場合が多いようだ。
2012年にスリランカで確認された赤い雨については、同国の保健省が、赤い色はミドリムシの一種、トラケロモナス属によるものだと発表した。このときは一部の科学者が、この細胞は宇宙起源のものではないかと主張して話題となった。また、黄色い雨が大量のハチの糞によるものとされたこともある。
石の雨については、しばしばポルターガイストにおいて同様の事例が報告されているから、心霊現象として分類すべき事例もあるのかもしれない。
とはいえ、こうした個別の説明によっても、すべてのファフロツキーズ現象を解明することはできないようだ。
対流境界面のジェット気流がいかに高速とはいえ、神聖ローマ帝国に落ちた4・5メートルもの氷塊を運べるとは思えないし、レンガや硬貨、釘などについては、どうやって空を飛んでいたのか説明のしようがない。
また、中米ホンジュラス北部に位置する小さな町ヨロでは、5月から6月にかけて毎年必ず魚の雨が降るというが、なぜこのようなことが起こるのかは不明である。
古くから確認されているファフロツキーズ現象であるが、まだまだ多くの謎を秘めた存在といえる。
●参考資料=『プリニウスの博物誌Ⅰ』(中野定雄他編著/雄山閣)、『フェノメナ 幻象博物館』(J・ミッチェル、R・リカード著/創林社)、『謎解き超常現象Ⅱ』(ASIOS著/彩図社)
(月刊ムー2023年7月号掲載)
羽仁 礼
ノンフィクション作家。中東、魔術、占星術などを中心に幅広く執筆。
ASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)創設会員、一般社団法人 超常現象情報研究センター主任研究員。
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