CIAの極秘人体実験「MKウルトラ」に関する機密文書ついに公開! 非人道的行為の数々が白日の下に晒される
米ソ冷戦時代にCIAによって極秘裏に行われていた悪名高い一連のマインドコントロール実験「MKウルトラ」。その機密文書が50年のタイムリミットを迎えて遂に公開された。1200件を超える記録には何が記され
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人間の意識がどのようなメカニズムで生じているのか今も謎に包まれているが、現在の我々がもつ意識は3000年前に誕生したという驚きの仮説がある。それ以前の人間は「二分心」という“神の声”が聞こえる心の状態にあったという。
自分には何歳くらいから記憶があったかをさかのぼって思い返してみれば、自意識が確立する前の記憶とはいかに曖昧なものか思い知らされるのではないだろうか。自己意識が芽生える前の自分はまるで夢遊病者であったかのように感じられるかもしれない。古代の人類も同様に、自意識が芽生える前の子どものような状態だったのではないかという考え方がある。
アメリカの心理学者ジュリアン・ジェインズ(1920~1997)は、1976年に出版した著書『The Origin of Consciousness in the Breakdown of the Bicameral Mind』(邦訳:『神々の沈黙──意識の誕生と文明の興亡』)で、古代の人類の精神状態を説明する「二分心(Bicameral Mind)」の概念を提起した。古代人は頭の中で心の内なる声を聞き、まるで神の命令のように従う思考様式であったというのだ。彼はこの精神状態が、東地中海における青銅器時代の終わり頃、約3000年前に機能しなくなったと考えた。
現在の我々は、たとえば“自問自答”することができるが、ジェインズによれば古代人は内面から湧き上がってくる問いや命令は神のような別人格から発せられたものと認識していた。つまり、古代人は頭の中で内なる声を聞いたとき、それが自分の心から発せられた声だとは気づけず、神が自分たちに語りかけ、なにをすべきか指示していると考えた。こうした心の状態こそが、神との交信の物語の始まりであり、原始宗教の発端として機能したというのだ。
こうして二分心のメカニズムで行動していた古代人だったが、今から3000年(紀元前1000年)頃に、思春期の頃の我々のように意識の芽生えが訪れ、人々はより自己認識力を高めるとともに、自分で決断するようになったのだとジェインズは説明している。
ジェインズによれば、今日の世で統合失調症と診断される人々は部分的に二分心を維持している可能性があり、もしも古代人が今日生きていれば統合失調症とみなされる可能性が高いという。
心理学者ベン・アルダーソン=デイの著書『Presence: The Strange Science and True Stories of the Unseen(プレゼンス:見えない他者の奇妙な科学と真実の物語)』では、統合失調症の患者がそこにいない者の声を聞くことがある事例や、孤独な旅の途中で探検家が目に見えない人物が一緒にいるように感じる事例などについて論じられている。
また、興味深い例としてチベットの「タルパ(思念体)」が挙げられる。それはチベット密教に由来する概念で、強い精神力や集中力によって、現実世界に実体化させることができる空想上の存在のことだ。僧侶はタルパの存在を注意深く構築し、そこに個性や意図を与える。そして、それが心によって作られたものであるにもかかわらず、まるで別の人間のように感じられるのだ。
さらに、主に児童期に見られる、子どもが心の中に作り出す空想上の友達「イマジナリーフレンド」のケースもある。子どもにとってイマジナリーフレンドは実在感を伴い、一緒に遊んだり、悩みを相談したりするなど、心を支える役割を果たすことがある。社会性を身につける訓練として、他者と安全に会話する練習をするのにも役立っている現象だという。
このように、周囲に誰一人としていなくとも、人類は頭の中に誰かの姿が思い浮かび、その存在を感じることがある。存在感とは、我々が気づくものであり、また自ら作り出すものでもあるのだ。存在を感じ、発揮することは、コミュニケーションにおいてきわめて重要であり、他者との関係の基盤となる。つまり、現代人もある意味では二分心をもっていると言えるのかもしれない。
とはいえ、ジェインズが提唱した二分心という斬新な概念について、ほとんどの心理学者は好意的に反応せず、今日その理論を信じている歴史学者や人類学者は皆無に近いという。稀にこの理論を支持する心理学者がいるが極少数にとどまり、心を研究する学者のほとんども、この理論を否定しているということだ。
しかし今、ジュリアン・ジェインズの二分心の理論が意外な方向から再注目される兆しが見られるという。――そう、人工知能分野だ。
昨今登場した生成AIによるチャットボットは、その会話や接し方において現在進行形で人間に近づいている。我々はチャットボットが人間ではないことを理解している(そして今のところチャットボットが感情や意識をもっているとも思わない)が、それでも人間はアニメやゲームのキャラクターに親近感を覚えたり、愛車に固有の名前をつけて大切に扱ったりする。
そしてそもそも、相手がたとえチャットボットであっても、会話において相手の存在を感じずに話を続けることは難しい。その意味では、人類がチャットボットに親しみを感じはじめてもなんら不思議なことではない。つまり、これが人類にとっての新しいタイプの二分心のようなものになりつつあるかもしれない、というわけだ。
人工知能(AI)が人間の知能と同等かどうかを判定するためのテストに「チューリングテスト」があるが、昨年カリフォルニア大学サンディエゴ校が行った実験で、OpenAI社のGPT-4が54%の確率で人間と誤認される結果が報告されている。生成AIがチューリングテストに合格したのである。
AIチャットボットのような高度な言語モデルは今後、ある種の存在感を生み出し、我々と対等に会話ができる意思をもった存在であるかのような雰囲気を加速度的に増していくことだろう。ある意味、我々は人間とAIが共有する新しいタイプの二分心を獲得しつつあるのかもしれない。
【参考】
https://howandwhys.com/julian-jaynes-bicameral-mind-theory/
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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