古代エジプトより遥かに古いグヌン・パダン遺跡は「世界最古のピラミッド」だ! 内部の部屋や増築跡が示す謎構造はムー大陸由来の技術か?
2万7000年前の旧石器時代を生きた先祖は、なんと巨大ピラミッドを作り上げていた。果たしてそのピラミッドは何のために、そしてどんな技術で建造されたのか?
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狩猟採集・新石器時代に神殿遺跡が作られていたーー。超古代文明の謎に迫るべく、トルコのギョベクリ・テペ遺跡の基礎知識から……
世界各地に点在する幻の超古代文明「アトランティス」の痕跡。今回は前後編に分けて、文明発祥の地とされるメソポタミア地域で発見された世界最古の巨石遺跡群「ギョベクリ・テペ」からアトランティスの記憶を探っていこう。
——ソロンの時代をさかのぼること9000年前、ヘラクレスの柱の向こうにはリビアと小アジアを合わせたよりも大きな島「アトランティス」があった。島は海神ポセイドンの子孫によって治められ、同心円状の水路と壁に守られた環状都市「ポセイドニア」を中心に大いに栄えていた。
アトランティスは農産物に加え、鉱物資源も豊富であった。金、銀、銅、鉄の他、炎のように輝くオリハルコンと呼ばれる金属が採掘され、港は常に多くの商人でにぎわっていた。しかし莫大な富と圧倒的な軍事力を持った王たちが徐々にその神性を失い、堕落していくと、ゼウスの神罰によって、アトランティスは一日と一夜にして海の底へと没してしまったのである——。
これは古代ギリシアの哲学者・プラトンが著書の中で述べたアトランティスのくだりである。ソロンとは紀元前600年ごろを生きたギリシア七賢人の1人であることから、プラトンの伝えるアトランティス滅亡は今から約1万1600年前、大まかにみて約1万2000年前頃ではないか、というのがアトランティス支持者の中では通説である。しかし、いまだ決定的な証拠が見つかっていないことから、実在については懐疑的な意見が多いのもまた事実だ。
というのも、仮にアトランティス滅亡を1万1600年前とすれば、時代は旧石器時代から新石器時代へと変わるころ。従来の考古学に基づけば、狩猟採集社会から徐々に農耕が始まっていく時代である。そのような時代に高度な都市構造知識や、オリハルコンなどの金属加工技術を持つ文明の存在はあり得ないとして、アトランティス=架空国家、というのが懐疑論者の主な見解である。
しかしながら、オーパーツといった年代的に説明のつかない遺物の存在は、もはや周知の事実といっても過言ではない。
なかでも「世界最古の遺跡」とされるトルコの巨石遺跡群「ギョベクリ・テペ」にいたっては、紀元前3500年頃に始まったとされる世界最古のメソポタミア文明よりも約7000年も前に造られた遺跡であることが科学的分析の結果、明らかになっている。まさに我々の常識を大きく揺るがす、未知なる遺跡に他ならないのだ。
ギョベクリ・テペとは、トルコ・アナトリア地方南東部、シャンルウルファ郊外で発掘された古代遺跡群である。現場は標高約770メートルに位置しており、高さ約15メートル、直径300メートル程の「太鼓腹の丘」と呼ばれている場所にある。周辺では一部墓標とみられる石柱や考古学的な遺物が出土していたことから、ここは「塚」のようなものと考えられていたという。
だが1994年になり、ドイツの考古学者クラウス・シュミットらによる発掘調査が開始されると、墓標と考えられていた石柱は、約1万1600年前に造られた巨石碑であることが判明。さらに高さ最大約6メートル、重さ20トンを超える巨石柱を使用した遺跡が次々と姿を現すと、「塚」と考えられていたこの場所は、遺跡を埋め立てたことで造成された人工的な遺丘であることが明らかになったのである。
現在は約20の遺構が発見されているが、その多くがT字型の巨石柱を中心に、2層の石壁が取り囲んだ同心円状の環状型構造であった。この構造にどのような意味があるのかは不明だが、石柱にはキツネやイノシシといった動物の他、ピクトグラムのような模様が数多く彫刻されていること、さらには頭蓋骨をまつる「頭蓋骨崇拝」が行われていたことから、神殿または祭祀的な儀式を行っていた施設と推測されている。
今なお多くの謎に包まれたギョベクリ・テペであるが、やはり最大のミステリーはその建造年代であろう。遺跡はどれも一度埋められ、サンドイッチのように遺跡が層となって重なっている。現在は第3層まで発掘されているが、最も古い時代のもので紀元前9600年ごろ、新しいものでも紀元前8200年ごろに造られており、その大きさは直径30メートルから10メートルほど。時代が新しくなるにつれ規模が小さくなっているという。
またさらに近年行われた地中レーダーを含む地磁気調査により、約10基の大型遺跡と200本以上の巨大石柱が発見されている。調査中のものを加えると、直径300メートルの丘の中には30を超える遺跡が眠っていることから、この地が長きに渡り、人々にとって何か特別な意味を持つ場所だったことが推測できる。また単純に考えても、下層に行くほどさらに古く、大型な遺跡が出土する可能性は少なくないだろう。
すると疑問なのは、どのような目的でここに建物を築いたか、という点である。
例えば、推測されているように遺跡が神殿や祭祀的なものだったとしても、当時の人類は獲物を求め集団で移動生活をしていた狩猟採集時代にある。家畜による使役もなければ、金属製の道具も、もちろんない。ましてや人々の定住から職業や階級が分かれ、都市が形成されていくことで、五穀豊穣を願う祈りの場(神殿)が造られるという人類発展の順序にも一切合致していないのである。
またさらに言えば、彼らの高い建築技術や巨石の運搬方法に至っても、諸説あるもののはっきりとは分かっていない。いまだ全体の10%しか発掘調査が進んでいないということもあるが、現時点で明らかになっていることは、従来の考古学では説明がつかない——つまり人類史的に存在するはずのないシロモノという事だけなのである。
まさに人類史をも変える大発見であるギョベクリ・テペだが、世界遺産に登録されたのは2019年のこと。トルコ政府が発掘や保護に助成金を出すようになったのもここ最近のことである。
シリアとの国境近くに位置しているという政治的な状況や人的資源の不足、さらには埋もれた遺跡をひとつひとつ発掘していく作業には、多大な労力と時間を有するのは間違いないだろう。しかしながら、その重要性にも関わらず、遅々として全容の解明が進まないのは、人類の秘史が眠っているためではないか……著者にはそう思えてならないのだ。
ギョベクリ・テペは我々に何を遺し、伝えようとしているのか。次回では、古代の人々がこの遺跡に託したメッセージから、人類史のタイムカプセルを開けてみたいと思う。
遠野そら
UFO、怪奇現象、オーパーツなど、海外ミステリー情報に通じるオカルトライター。超常現象研究の第一人者・並木伸一郎氏のスタッフも務める。
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