ラムセス2世が豊洲に降臨中! 史上最大級の古代エジプト展「ラムセス大王展 ファラオたちの黄金」を見逃すな

文=杉浦みな子

    エジプト史上“最も偉大な王”と称されるラムセス大王(ラムセス2世)とその時代にまつわるエジプトの至宝180点が、期間限定の特別展として来日!

    史上最大級のエジプト展・ワールドツアーが日本初上陸! 

     エジプト政府公認の大規模な古代エジプト展覧会「ラムセス大王展 ファラオたちの黄金」が、東京・豊洲の「ラムセス・ミュージアム at CREVIA BASE Tokyo(豊洲)」で、2025年3月8日(土)から約半年間にわたり開催されている。 

     “史上最高の古代エジプト展”とも言える規模で、これまでにアメリカやフランスなど世界5会場を巡るワールドツアーを行なってきたイベントだ。いよいよ今回の東京展で、アジア初上陸を果たす形となった。 
     エジプト考古最高評議会特別支援のもと、エジプト史上“最も偉大な王”と称されるラムセス大王(ラムセス2世)にまつわる様々な品を集めており、展示品の数は実に180点に及ぶ。 

    会場となる「ラムセス・ミュージアム at CREVIA BASE Tokyo(豊洲)」。

     本展を監修したのは、エジプト考古学の世界的権威で、世界で最も有名なエジプト考古学者であるザヒ・ハワス博士(ワールドツアーのグローバル・キュレーターとして)。さらに同氏と親交が深く、日本のエジプト考古学の第一人者である吉村作治氏が、ジャパン・キュレーターに就任している。 

     展示品はいずれも、通常は日本で見ることが叶わない貴重なものばかり。古代エジプトの遺物・芸術品がこれだけの点数集まるのは極めて異例で、見逃せない。 
     プロジェクションマッピングや照明、音響を駆使した最新技術による演出で、没入感を高めた展示になっているのも特徴だ。その概要をご紹介しよう。 

    ラムセス2世の巨像の上部。

    エジプト史上最強のファラオ 

     本展でフィーチャーされているラムセス大王=ラムセス2世(第19王朝第3代君主、紀元前1305年~紀元前1213年)は、古代エジプトが最も栄えたと言われる「新王国時代」を統治した人物。エジプト史上“最強のファラオ”と言われ、エジプトを史上最も長く67年間にわたり治世した。 

    ラムセス2世の巨像の頭部。

     歴史上初めて敵国との間で和平を協定したことや、アブシンベル神殿をはじめとする多くの遺跡を建造したこと、100人以上の子供をもうけたことなど、ラムセス2世に関する功績は多く伝わっているが、当時すでに人を超えた“神”として崇められていたという。まさに、古代エジプトのファラオを代表する“大王”である。 

     本展では、そんなラムセス2世が統治した古代エジプト絶頂期に作られた芸術品・アークファクツ・宝物の数々が披露されている。いずれも3000年以上前に作られたものだが、最高の状態に管理・保存されていて、こんなに綺麗に残っているのかと驚くこと請け合いだ。会場ではこれらの品々をすぐ近くで鑑賞することができ、さらに写真撮影もOKなのが嬉しい。 

    精巧なアブ・シンベル神殿のスケールモデル。
    二輪戦車に乗ったラムセス 4世を描いたオストラコン。
    イアフメス用の碑文が 刻まれたヘス水差しなど。
    ひざまずき、自分の名前の 判じ絵を捧げるラムセス像。
    宝石・装飾類も多く展示。当時、秩序を脅かす混沌とさせる力から守ってくれるものだった。

    超貴重展示「ラムセス2世の棺」を見逃すな

     そして展示品の中でも最も貴重で重要なのが、「ラムセス2世の棺」である。本展が世界巡回する過程のパリ展(2023年)で、実に47年ぶりに蓋と本体がそろった形でエジプト国外へ出たものが、今回特別に日本でも公開されている。 

    ラムセス2世は棺にオシリスとして描かれている。棺の材料であるレバノンスギは、オシリス神話においてビブロスでオシリスの遺体を守った木とされる。

     ラムセス2世は90代で亡くなったと言われ、エジプト「王家の谷」にある長さ168メートル、面積868平方メートルの墓に埋葬された。墳墓は盗賊によって略奪され、洪水による被害も受けたものの一部の副葬品は保管され、また第21王朝のタニスにおいてはその後継者たちによって再利用された。 

     なお、美しいカーブを描いたレバノンスギ製の棺は、もともとはファラオのためにデザインされたものではなかったという。この棺には多くの碑文が書かれており、中にはラムセス2世の遺体が3回にわたって移送されたことなども詳細に記載されている。 
     本物の“王の棺”と、そこに記された碑文やカルトゥーシュを直接目の当たりにできる本展は、改めて大変貴重な場だ。 

     そのほか、当時のエジプト世界における葬儀の重要性をより深く理解できるよう、一部の展示で動物をミイラ化する風習も紹介。多数の動物のミイラや聖遺物の実物も出展されており、こちらも貴重な品となっている。 

    ネコ、ライオンの子、マングース、ワニ、スカラベのミイラが展示されている。すべて初公開。

    圧倒的な没入感で、3000年前のエジプトへGO 

     そして本展のもうひとつのキーワードは、“没入感”だ。 

     会場は全体的に、精巧なジオラマやシーンに合わせた効果的な照明や、特別に制作されたサウンドトラック・音響、臨場感溢れるプロジェクションマッピングを組み合わせた空間となっており、通常の博物展示とはひと味違う。言うなれば、まるでエジプトの遺跡に迷い込んだかのような没入感が味わえるのだ。 

    エジプトの壁画に囲まれているかのような空間演出。
    ヒエログリフにも記された有名なヒッタイトとの戦争「カデシュの戦い」をジオラマとプロジェクションマッピングで再現。

     また展示のラストには、有料オプションとして、ラムセス2世が建てたアブ・シンベル神殿とネフェルタリ王妃の墓にスポットを当てたVR体験コーナー「オシリスへの旅」も用意。デジタル再現されたネフェルタリ王妃がスリル満点の冒険に誘ってくれる。 

    VRコーナー。ネフェルタリ王妃に誘われ、いざ冒険へ。
    会場入り口にあるカフェでは、本展に合わせた特別メニューを用意。写真は「黄金のハーブティー」で、金粉入り&3種類のスパイスがブレンドされていて美味しい。

     日本にいながら史上最強のファラオに近づける、史上最大級の古代エジプト展覧会をぜひお見逃しなく。 

    <開催概要>
    ラムセス大王展 ファラオたちの黄金
    ・会期:2025年3月8日(土)〜9月7日(日) 
    ・場所:ラムセス・ミュージアム at CREVIA BASE Tokyo(豊洲)東京都江東区豊洲 6-4-25 
    ・開館時間(予定):平日10時~18時(最終入場17時) 土日祝・特定日9時~19時(最終入場18時) 休館日なし
    https://ramsesexhibition.jp/

    杉浦みな子

    オーディオビジュアルや家電にまつわる情報サイトの編集・記者・ライター職を経て、現在はフリーランスで活動中。
    音楽&映画鑑賞と読書が好きで、自称:事件ルポ評論家、日課は麻雀…と、なかなか趣味が定まらないオタク系ミーハー。

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