愛媛県の路上を「ペンギン」が歩いていた! テレポートアニマルか妖怪か、現地調査でも詳細不明

文=寺田真理子

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    愛媛県内某所で、そこにいるはずのない「ペンギン」が複数人に目撃された。動物園も水族館もない地域でなぜ?

    道路の真ん中にペンギンがいた!

     2023年2月下旬、夕暮れ時。愛媛県内某所で地元の女性Aさんが、そこにいるはずのない生物に遭遇した。

     それは、Aさんが車で帰宅を急いでいた時のことだった。
     Aさんは左前方に「ペンギンがいる」ことに気付いて急ブレーキをかけた。そのペンギンは二足歩行でペタペタと歩き、Aさんの車の前を横切って中央分離帯を越え、道路を横断していったというのだ。

     なぜ、こんなところにペンギンが?

     湧き上がる疑問はありつつも、後続車がいたこともありそのまま停車してはいられず、後ろ髪を引かれる思いでAさんはその場を走り去った。帰宅後「ペンギンを見た!」と家族に話しても、誰も信じてくれなかったという。

    「飼い主のような人は見当たらず、首輪やハーネスのようなものもつけていないペンギンがただ一羽、テクテクとペンギン歩きしていて、中央分離帯を越えたあたりから姿が見えなくなった」とAさんは語る。

     だが、なにしろ「ペンギン」である。
     仕事帰りだったこともあり、よほど疲れていて幻覚でも見たのだろうか。

     と、肩を落としていたら、事態はまさかの急展開を迎えた。なんと、Aさんの息子の友人も、同じ日に「ペンギン」を目撃していたことが判明したのだ。

    記憶をもとに描いてくれたその生物の絵。夕暮れ時の薄暗い時間帯だったが、それは間違いなく「ペンギン」だったという。
    Aさんがペンギンを目撃した地点は、中央分離帯のある片側二車線の幹線道路。絶えず車が行き交っている。

     目撃者は2人。Aさんの見間違いや幻覚ではなさそうだ。となれば、他にも目撃者がいそうだが……。

     筆者はAさんに連絡をとり、あの日目撃した「ペンギン」を思い起こしながら再現スケッチを描いていただいた。その生物は黒い背中で、身長は1メートル足らず。一般的なペンギンのシルエットより丸みを帯びた体つきだったという。
     そしてAさんは気になることを語っていた。「そのペンギンの横姿を見た記憶がない」というのだ。車の前を横切る時、ペンギンはAさんに対して背中を向け、横歩きしたというのだろうか。

    ペンギン目撃地点の位置関係図。二人の目撃地点はハッキリしており、その距離は100メートルほどしか離れていない。
    両者の目撃地点は至近であり、同一の個体と思われる(画像=Google Map)。

    それは「ペンギン」だったのか?

     筆者は「ペンギンがいた」という現場を訪れてみた。

     ペンギン目撃現場付近には、住宅街もある。まさか一般家庭で飼われていたペンギンが、逃げ出したものだったのだろうか。思いめぐらせながら現場を撮影していると、通りすがりの地元の方が声をかけてくださったので、思い切ってお話を聞いてみた。

    「ペンギンを飼ってるなんて話、聞いたことがないわ。野鳥のサギだったとしても白っぽいし、水辺にいるからこんなところは歩いてないわよね。たまにサルを見かけることはあるけれど……」

     自然豊かなエリアなので、野生動物が道路を横断していた可能性も否定できない。しかし、サルとペンギンとでは随分と姿や歩き方が違う。

     さらに調査を進める中で、野鳥に詳しい方から「ゴイサギでは?」というご意見があった。
     ただ、目撃したAさんにゴイサギの画像をご覧いただいたが、「違うと思う。手を横に広げてよちよち歩いていた。あれは明らかにペンギンだったわ。ゴイサギみたいに脚は細くなく、長くもなかったもの」という。

    ペンギンに似た姿のゴイサギだが、今回目撃された謎の生物はどうやらゴイサギでもないらしい。

     2021年には、ロンドンの天体物理学者デイブ・クレメンツ博士がペンギンの糞から金星の大気中にある化学物質「ホスフィン」を検出し、「ペンギン宇宙人説」が話題となった。よもや、「ペンギン」には知られざる能力があるというのだろうか?

     UMA「エイリアン・ビッグ・キャット(通称ABC)」は、いるはずがない場所に出現し、いずことなく消えていく「テレポートアニマル」の一種だ。今回の「ペンギン」はいわは「エイリアン・エヒメ・ペンギン(AEP)」といえるだろう。

     また、小柄でぬめっとした体の特徴は、1977年にアメリカマサチューセッツ州ドーバーで目撃されたUMA「ドーバーデーモン」のようでもある。
     実は、あの「ペンギン」が目撃された地域には、ベタベタという足音で近付いて人を驚かせる「真っ黒な大入道」の妖怪伝承が伝わっている。今回のAさんの目撃証言とはサイズ感が異なるが、この地域でかつて地元の人たちが見た黒い大入道の正体は、ペンギンだったのかも知れない。

    怪異「大入道」の正体が、もしも巨大なペンギンだったら?

     現時点では今回の「ペンギン」、正体不明である。もしも「私も愛媛でペンギンを見た」という方がいたら、ぜひとも情報をお寄せいただきたい。

    参考文献
    『西条の民話と伝説』西条市教育委員会社会教育課 編集・発行

    寺田真理子

    ライター、デザイナー、動植物と自然を愛するオカルト・ミステリー研究家。日々キョロキョロと、主に四国の謎を追う。

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