酒井勝軍が認定した日本ピラミッド第1号! 広島県庄原市「葦嶽山」

文=中村友紀

関連キーワード:
地域:

    ピラミッド日本列島発祥説の原点は広島の葦嶽山だ! 古代太陽信仰の現場はいかにして見出されたのか?

    日本ピラミッド「第1号」

     日本のピラミッド論の開祖である酒井勝軍さかいかつときが、第1号ピラミッドとして昭和9(1934)年に「発見・認定」したのが、広島県庄原市の葦嶽あしたけ山だ。

     山形県に生まれた酒井は15歳で洗礼を受けて牧師となったが、やがて超古代史の研究に没頭。中東使節団の通訳としてエジプトへ渡ると、ピラミッドの起源は日本だと主張しはじめる。
     研究の過程で彼は茨城県の皇祖皇太神宮を訪れ、竹内巨麿たけうちきよまろに「『竹内文書』のなかに、古代のピラミッドに関する記述はないか?」と尋ねてもいた。そして葦嶽山の調査後、同文書に次のように書かれていたことが判明する。

    しょうして、吉備津根本国に大綱手彦、天皇霊廟、亦名メシア、日の神、月の神、造主神、日来神宮」

    「吉備津根本国」は現在の岡山県付近。葦嶽山の近くである。「大綱手彦」はウガヤフキアエズ朝12代天皇の叔父で、2万2000年前の人物だ。「日来神宮」は「ヒラミット」と読む。
     つまり、2万2000年前に大綱手彦の霊廟が岡山県に建設され、「ヒラミット」と呼ばれたというのだ。葦嶽山は、まさにそれに当たるわけだ。

    日本のピラミッド第1号となった葦嶽山(写真=庄原観光推進協会)。

    ギザの三大ピラミッドと同じ「オリオンの三ツ星」配置

     ところで酒井は、ピラミッドの条件として次の要素を挙げている。
     それは、山頂付近に太陽石と立石(メンヒル)があることと、すぐ近くに拝殿となる山があり、そこには方位石と太陽光を反射する鏡岩、祭壇となる机状に組まれた石(ドルメン)が存在していることである。

     葦嶽山の探索で酒井らはまず、隣の鬼叫ききょう山で巨大な組石とドルメンを発見する。鏡岩もあり、下方には高さ6メートルの神武岩と呼ばれる石柱も確認できた。神武岩には、神代文字が彫られていたと、酒井は報告している。

    スフィンクスを想起させる、巨大な烏帽子岩。
    神代文字が刻まれていたという神武岩。

     こうして鬼叫山が拝殿であると確信した酒井が空を見上げたとき、突如として巨大な三角形の山容=葦嶽山が目に入ってきたのだ。
     葦嶽山の斜面には、人の手が加えられたと思しき巨石が階段状に積み重ねられていた。山頂は狭い平地になっており、太陽石も確認されたという(現在は残されていない)。さらに山頂近くの斜面には、スフィンクスを想起させるような巨大な獅子岩もある。

     最後に、読者はギザの三大ピラミッドの配置が、オリオン座の三ツ星になぞらえて建造されている、という説はご存じだろう。
     実は葦嶽山ピラミッドにも、同様の配置がなされている可能性がある。つまり、星居ほしのこ山、葦嶽山、八国見やくにみ山の三山が、三ツ星のように直線状に並び、オリオンミステリーを形成しているというのである。
     ただし並んだ方位は、ギザのそれとは左右対称になっているのだが……。

    星居山、葦嶽山とともに三ツ星を形成する八国見山。

    (2024年 月刊ムー5月号)

    中村友紀

    「ムー」制作に35年以上かかわるベテラン編集記者。「地球の歩き方ムー」にもムー側のメインライターとして参加。

    関連記事

    おすすめ記事