毎年1月10日、精霊たちが集結! ベナンのブードゥーの精霊祭「エグングン」に見る信仰文化/遠野そら
シャーマンがその身に精霊エグンを降ろし、メッセージや祝福をもたらす。ベナンのブードゥー儀式「エグングン」は毎年1月10日に開催される。
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今、全米で話題の事件が思わぬ展開を見せている。なんと逮捕された医師が、ブードゥーの呪術で元夫の殺害を企てたというのだ……!
西アフリカ・ベナン共和国から奴隷貿易で強制連行された人々の信仰と、カトリックの信仰がハイチで習合して成立したとされる「ブードゥー教」。その名を聞いて、黒魔術や死者を蘇生させる儀式など、怪しいイメージを抱く人も多いだろう。いま全米では、そんなブードゥー教に関わる事件が連日マスコミを賑わせている。
事件の首謀者は、ケンタッキー州の小児科医ステファニー・ラッセル容疑者。子供の親権を持つ元夫リック・クラブツリー氏を殺害しようとヒットマンを雇ったが、その人物がFBIのおとり捜査官だったため計画が明るみになったという。
ここまでは(凶悪ではあるが)それほど奇怪な事件とも思えない。しかし、容疑者に大きな注目が集まるきっかけとなったのが、彼女の弁護側が裁判所に提出したテキストメッセージだ。彼女は、元夫殺害を依頼する前に3人の魔術師にコンタクトを取っており、なんと「死の呪文」で殺害を試みようとしていたのだ。
提出されたテキストには詳細なやり取りが記されており、ある魔術師からは「成功率は85%」「(呪文をかけてから)通常は5時間以内に効果が現れる」「値段は人数次第」「うまくいかなければ返金する」などと返答があったという。さらに容疑者は、別の魔術師にも「結果が出ない限り報酬は払えない。助けてほしい」とメッセージ。キンバンダ(アフリカ系ブラジル人の宗教で黒魔術も用いられる)と(スタンダードな)ブードゥーのどちらを使うのか容疑者に尋ねられたその魔術師は、「後者だ」と答えている。
さらにステファニーがもうひとりの魔術師にメッセージを送ったところ、「元夫も黒魔術にのめり込んでいる」と警告。元夫を殺害すれば彼女自身にも害が及びかねないとして、「死の呪文」ではなく家族から遠ざける「追放の呪文」にとどめるよう進言していた。
「死の呪文」を用いようとした容疑者の行動は、現代社会においては異常と見なされることもあるだろう。実際に弁護側はテキストを提出した理由について、容疑者が有罪判決を受けるような状況には当時なかった、つまり「心神喪失状態にあった証拠」を示すためだと明かしている。
今回の事件で取り沙汰されているブードゥー教だが、オカルト分野ではたびたび話題に挙がる宗教のひとつだ。ブードゥー教は精霊信仰が強く、ベナンではブードゥー教徒最大の精霊祭で死者からのメッセージや、祝福を与える「エグングン」がおこなわれている。
過去には、アフリカの子供たちがイギリス国内へと誘拐され、ブードゥー教の残虐な儀式のために虐待を受けていると報じられたり、国連の「子どもの権利委員会」がイギリス政府に対し、対策を講じるよう要請したこともある。また、ブードゥー教といえば、殺人鬼の魂がブードゥー教の呪文によって人形に乗り移り、殺人を繰り返す映画『チャイルド・プレイ』も有名なところだ。
このように降霊術や死者蘇生など、危険な儀式・思想と結びつけられることも多いブードゥー教だが、本来は、不穏な事件を引き起こしたり、人を呪うだけの宗教ではないということは覚えておこう。あくまでも、ブードゥーの強力なパワーを悪用する者たちが責められるべき話なのだ。
とはいえ、今回またしてもブードゥーの力を悪用しようと試みる物騒な事件が起きてしまった。頭脳明晰な医師でも、魔術や呪術という“黒い誘惑”には抗えなかったようだ。
【参考】
https://toofab.com/2024/03/08/dr-stephanie-russell-death-spell-hitman/
webムー編集部
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