金ピカ量産型FRP昇龍大観音が山間部に! 大分の意外な人気スポット「稲積水中鍾乳洞」/小嶋独観

取材・文・写真=小嶋独観

地域:

    珍スポ巡って25年の古参マニアによる全国屈指の“珍寺”紹介! いざ、今年の干支「辰(龍)」にまつわる大観音へ! 大分県豊後大野市の山中に突如現れた金ピカ像はいったい――!?

    山道で遭遇する金色の大観音

     大分県豊後大野市にある稲積水中鍾乳洞の敷地内に、大分県最大の大観音がおわす。山間部にあって周辺はキャンプ場とか渓谷とか蛍とか名水とかそんなんばっか。とても県下最大の大観音サマがいらっしゃるとは思えない。

     山間の道を走っていると……おおお! 現れました。金ピカ大観音サマ。カーブの先に現れるので、夜に大観音の存在を知らないで運転していたらさぞかし驚くに違いない。人っ子一人いない山間部の山道でヘッドライトに金色の大観音が照らされる訳ですから……。

     駐車場に車を停め早速大観音に向かう。ちなみにここのメインはあくまでも鍾乳洞なので入場券を買う際に「ハァハァ……だっ、大観音はどこですか?」とか前のめりで質問すると怪訝な顔をされるので充分に御注意願いたい(体験者談)。

     ちなみに私が見た限り、観光客の関心具合は以下の通り。

    水中鍾乳洞>トルマリン天然水販売>美術館>御食事処>オモチャ館>大観音サマ

     場内には、何組かの家族連れやカップルが訪れていた。人気スポットのようでチョット意外だった。もちろん皆様鍾乳洞に直行。で、鍾乳洞から出てきてから大観音に向かう人もほとんどいない。人気ないなー。仕方ないか。

     もちろん大仏舎弟である私は、鍾乳洞など目もくれず大観音に直行するのである。

     大観音サマまでの歩道の両脇にはお地蔵さんが並んでいて、関心の薄い観光客を観音サマへと誘っている。その涙ぐましい努力に感動しつつ大観音サマに向かう。

     ハイ、観音サマのお出ましでございます。平成17年開眼、高さ22メートル。堂々のFRP製。大分県最大の観音像である。

     昇龍大観音、ということで足元に2匹の龍が絡み付いている。

     足元には小さなお地蔵さんが一周している。

     福岡の昇龍大観音の造形的に同じ?

     真下から見上げると中々の迫力である。

     ところで……この大観音像どこかで見たような気が……。

     ハイ、福岡県にある香山昇龍大観音ですね。

     データ的にはここの昇龍大観音が22メートル、福岡の香山昇龍大観音が台座込みで28メートル。多分同じ型から抜かれたのだろう。

     直線距離で100km弱に位置する九州の兄弟大観音として、兄者に負けぬよう頑張っていただきたいものである。

     そういえば10メートル級のFRP製の観音サマや不動明王って同じ形のものを日本のあちこちで見るケースが増えてきたように思う。結構量産されているのだろうか。

     近くにあったボケ封じ観音。これも全く同じものが香山昇龍大観音にもあったなあ。

     さらに七福神。かなりはしゃいでる大黒恵比寿の御両人

     むむむ。この七福神もどこかで見たような気が……。俺画像サーチで脳内検索スタート!

     ピピピ……ああ、これだ!

     大分県由布市の旧善徳院(現大分正雲寺)にかつてあった七福神だ。

     ここで本日の名言:

    「知らん仏より知ってる鬼の方がましじゃけんのう」
    (仁義なき戦い代理戦争より もちろん広能こと文太兄ィの名セリフ)

     大観音サマの周辺にはレトロ博物館や美術館などがあり、観光客を楽しませている。

     さらに敷地の片隅に滝が流れていて、大きな弘法大師が立っている。こちらもブロンズ風の塗装が施されたFRP像である。

     開運白蛇堂。

     中には白ヘビがいた。 

     ちなみに水中鍾乳洞は実に美しく(って奥まで見なかったんですけど)、大観音抜きでも充分楽しめると思う。あと周辺の川も含めて水が恐ろしいほど奇麗で、トルマリン天然水もメチャ旨かった事を付け加えておく。

     近年では流行りのテントサウナに入って鍾乳洞内の地底湖に水風呂代わりに入ったり、ダイビングなどもできるそうで、なかなかアクティブな施設へと変貌を遂げている様子だった。でも大観音も忘れないでね……。

    小嶋独観

    ウェブサイト「珍寺大道場」道場主。神社仏閣ライター。日本やアジアのユニークな社寺、不思議な信仰、巨大な仏像等々を求めて精力的な取材を続けている。著書に『ヘンな神社&仏閣巡礼』(宝島社)、『珍寺大道場』(イーストプレス)、共著に『お寺に行こう!』(扶桑社)、『考える「珍スポット」知的ワンダーランドを巡る旅』(文芸社)。
    珍寺大道場 http://chindera.com/

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