レストランにも霊が出る! メキシコの心霊&グルメスポット案内/ムー旅メキシコ

文=遠野そら

    ムー旅メキシコのレポート、まだまだあります。今回は「心霊&グルメ」編をどうぞ!

    日常的な場所に「霊」

     カラフルでポジティブな国、メキシコ。陽気で明るいイメージながら、その歴史の裏で奇々怪々な心霊スポットが発生している。今回は「ムー旅メキシコ」取材の道中で訪れた、有名な心霊レストランを3店紹介しよう。

    今も伯爵の霊がさまよう「Casa de los Azulejos(タイルの家)」

     メキシコシティのソカロ近く。大道芸人たちの賑やかな音楽が響き、観光客が行き交う歴史地区に『青いタイルの家』はある。ここは16世紀初頭、オリサバ侯爵の邸宅として建てられた歴史的建造物でありながら、現在はメキシコを代表するファミリーレストラン「サンボーンズ」本店の他、本(日本のコミックもあった)や雑誌、キッチン雑貨、家電製品、おもちゃなどの日用品も販売している商業施設である。

     ここは「幽霊が現れる階段」が有名で、ショッピングだけでなく心霊スポットとして訪れる人も多いそうだ。

    元は中庭だったという店内。写真右奥の階段に”出る”という。

     霊の正体については、「青いタイルの家」の所有者であり、階段で殺害されたアンドレス・ディエゴ・スアレス・デ・ペレド伯爵だといわれている。ペレド伯爵は若く美しい恋人との結婚を控えていたが、1828年12月。暴動に紛れ侵入してきた恋人の家族に刺し殺されたのだという。
     殺害の動機は結婚する娘への執着。犯人はグアルディオラ広場前で処刑されたが、ペレド伯爵が息絶えた階段近くでは、夜な夜な男性の霊が現れるようになったのだという。

    奥が化粧室。伯爵は2階から1階へ逃げる途中の踊り場付近で息絶えていたそうだ。

     約200年が経った今も多くの従業員や食事客が階段付近で不気味な人影を目撃しており、踊り場にある化粧室では「誰もいないはずの個室から水の流れる音が聞こえた」「気配を感じて振り返ったら誰もいなかった」といった話が後を絶たないそうだ。

    歴史を感じる館内

     またここにはペレド伯爵の他にも複数の霊が存在しているそうで、なかには短刀を携えた男性の霊も目撃されている。その正体は不明のようだが、もしこれが伯爵を殺害した犯人の霊だとしたら、断ち切れないほどの強い執着を残しているのだろうか。

    ピアノを弾く少女の霊「Nuevo Café Bagdad(ヌエボ・カフェ・バクダッド)」

     メキシコの国旗の由来として知られる、サボテンの上で蛇をくわえたワシの神話。メキシコシティ旧市街メルセー地区のファン・ホセ・バス広場は、古くはアステカ人が伝説のワシを発見したまさに聖地である。現在は文房具街となっているこの一角に、ヌエボ・カフェ・バクダッドはある。

     ここは1700年代、アステカ王国を侵略したスペイン人、エルナン・コルテスの家族が住む屋敷として建てられたものである。カフェの中は噴水やチャペルなど当時の面影をそのまま残した作りになっているのだが、奥にあるプライベートエリアに「少女の霊が出る」のだという。

    特別にプライベートエリアまで入らせていただいた。

     不躾ながらオーナーに直接話を聞いてみると「そうよ、女の子の霊がここには住んでいるわ」との答え。真夜中12時を過ぎ、どこからともなくピアノの音色が聞こえてくると、決まって少女の霊が現れるのだという。

    少女の霊が立っていたという場所。

     少女は、住居となっている2階からスーッと滑るように階段を降りてくる。そして、井戸の前までくるとそこで静かにたたずんでいるのだという。その様子はうつむいているのか、井戸の中を覗き込んでいるのかは分からないが、何かを待っているようにも見えたそうだ。

    少女の霊がたたずむという井戸。ここに何か理由があるのかもしれない。

     そして聞こえてくるピアノの音については、オーナーも「まったく分からない」と不思議がっていた。というのもカフェにピアノはない。そして近隣住民を含め、オーナー以外、誰もピアノの音色を聞いていないのだという。その曲名については分からないそうだが、とても悲しくて、か細い旋律の曲だったそうだ。

     少女の霊とピアノの音色、そして井戸ーー。古くはここでエルナン・コルテスの甥っ子がユダヤ系の人物を射殺していることから、少女の霊と何か関係があるのかもしれない。

    修道女の霊が現れる「Café de Tacuba(カフェ・タクーバ)」

     1912年にオープンしたメキシコでも最古に近いカフェ「タクーバ」。ここは歴代の大統領や政治家、歌手、作家など著名人が数多く訪れている有名店でありながら、メキシコ最恐のカフェとして広く知られている場所である。

    働いていた看護修道女たち(写真:cafedetacuba.com.mx)

    「タクーバ」はその昔、イエズス会「神の救い主病院」の、精神に疾患がある女性の養護施設であった。ここでは修道女たちが献身的に看護にあたっていたが、政治的な動乱のさなかで、ある受刑者が1人の修道女に恋をしてしまった。
     だがその思いが届くことはなく、男は狂気のあまり修道女を殺してしまったのだ。それからというもの、施設が移転してもなお修道女の魂はこの場所にとどまっており、今でも廊下やキッチンなどカフェのいたるところで看護師のような服装をした女性の霊が目撃されているのだという。

     心霊スポットとして有名なレストランばかりだが、いずれも多くの人が訪れるようになる前から様々な怪奇現象が噂されていた。非業・非常な死を遂げ、この世に悲しみを残した霊は、今もどこかでさまよっているのかもしれない。メキシコに行った際はぜひ一度訪れてみてほしい。

    参考
    https://www.elfinanciero.com.mx/food-and-drink/2022/11/12/cafe-tacuba-centro-historico-leyenda-de-la-monja-que-aparece-en-el-restaurante/

    遠野そら

    UFO、怪奇現象、オーパーツなど、海外ミステリー情報に通じるオカルトライター。超常現象研究の第一人者・並木伸一郎氏のスタッフも務める。

    関連記事

    おすすめ記事