黄金伝説の故郷・ボゴタの黄金博物館の歩き方/ムー的地球の歩き方
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大正・昭和戦前期に奇矯なオカルト論を唱えた酒井勝軍は、1934年、広島の葦嶽山を探訪。 この山を「太古日本のピラミッド」と断じ、エジプトのピラミッドは日本がルーツだと主張した。 それからおよそ90年が経過した今、 知られざるもうひとつの日本ピラミッドと大地に刻印されていた壮大なプログラムが明らかとなった!
梅雨入り間近の時期ではあったが、幸いその日は朝からよく空が晴れわたり、時折りさわやかな風が吹いて頬をなでていった。
そこは中国山地の奥深く。本誌取材班は峠に近い林道の終点に車を停め、案内役を引き受けてくれた現地在住の熊本洋道さんの先導のもと、カシやアカマツが鬱蒼と茂る森の中の登山道を歩きはじめた。
道はやがて勾配がきつくなって尾根伝いとなり、鎖場もあらわれる。名も知らぬ鳥が頭上をかすめて、空へ翔けていった。
歩きはじめて40〜50分ほどたったころだろうか、前方の視界がサーッと開けた。──そしてついに行く手に、目的地であるピークが姿を現した。
「日本のピラミッド」の元祖、葦嶽山である。濃い緑に覆われて山肌はまったく見えないが、その山容は三角状をなしていて、たしかにピラミッドのようだ。
広島県東北部、庄原市本村町に位置する標高815メートルのこの山が“ピラミッド”と断じられたのは、今からおよそ90年前の昭和9年(1934)のことだ。驚天動地の断定を行ったのは、酒井勝軍という異色の古代史研究家であった。
「日本国内にエジプトよりも古いピラミッドが存在する」──そんな奇怪な自説を立証すべくこの地を探訪した酒井は、葦嶽山を一見するや、同行者たちに向かってこう叫んだという。
「諸君、あの山がまさにピラミッドである!」
そして彼は、超古代史のバイブルである『竹内文書』も根拠にして、葦嶽山ピラミッドが建造されたのはおよそ2万2300年前だと結論づけたのだった。20世紀前半から2万2300年前。──ピラミッドを築いた古代エジプト文明が起こったのは、どんなに古くさかのぼっても紀元前5000年ころというのが定説だが、それをはるかにさかのぼる時代である。
葦嶽山の頂上はわずか3、4メートル四方だが、樹々がないので、中国山地の豊かな山なみを心おきなく眺望することができる。
酒井によれば、太古、この山頂には「太陽石」と呼ばれる巨石が鎮座し、それをストーンサークルが取り囲んでいたという。しかし、残念ながら現在その痕跡はいっさいない。かろうじて残っていた遺物は昭和戦前、正統的な皇国史観を侵すものとされて官憲の手によってことごとく破壊されてしまったといわれているが、真実はどうなのか……。
念願の葦嶽山登拝をはたしながらも、筆者はどこか物足りなさも感じていた。
たしかにこの山はきれいな稜線をもち、ふつうの山にしては形が整いすぎているようにもみえる。だが、この山自体はとても人工的に建造されたものとは思えない。
もちろんのちほど説明するように、酒井のピラミッド論によれば、ピラミッドは完全に人工的なものである必要はなく、ピラミッドの本質はそれとはまったく別のところにあるのだが、そのことを理解したとしても、心のうちは釈然としなかった。
1980年代には週刊誌にたびたび、葦嶽山ピラミッドをセンセーショナルに紹介する記事が載って世間の注目を浴び、思いがけなく「日本のピラミッド」ブームが到来したこともあったが、それももう随分と昔の話となってしまった。
はたして、酒井勝軍の葦嶽山ピラミッド論は正しいものであったのか。葦嶽山はほんとうにピラミッドなのか。ひょっとすると、酒井は早とちりをして幻影を見ていただけではなかったのか──。
そんな疑念が沸々と湧きおこってきたが、山頂から中国山地を遠望しているうちに、ふとこんな思いも頭をよぎった。
「葦嶽山ピラミッドは、じつはもっと大きな、とてつもなく巨大なプランの一部にすぎないのではないだろうか」
予感めいたものにかられて改めて地図を見渡すと、筆者の目にとまったのは、葦嶽山からみて南東方向の神石高原にそびえる「星居山」という、妙に気にかかる名前をもつ孤峰であった。
そこで取材班は今回、この山を新たな手がかりとして取材を進めることにした。すると、酒井が見落としていた衝撃的な新事実が明らかとなったのである。
葦嶽山ピラミッドの新次元へと招待しよう!
(文=古銀剛)
webムー編集部
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