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松原タニシが超人の足跡をたどり、自らも超人となることを目指す「松原タニシの超人化計画」。これまで4回はもっぱら山に登っていた感じもあるが、今回、旅はついに海を越える!
今回で5回目となるこの超人化計画、毎回単発でテーマを決めているようにみえるかもしれないが、じつは全体を通してそれぞれの回がゆったりとつながりをもっているのだ。
前回は奈良県で宿坊を営む「鬼の子孫」のご住職を訪ねたが、ご先祖さまである鬼は修験道の開祖・役行者(えんのぎょうじゃ)の従者だったと言い伝えられている。この役行者、なんとなく名前は聞いたことがあるけれど詳しいことは知らない、という人も多いのではないだろうか。
鬼の子孫である五鬼助住職に聞いた説明を簡単にまとめると、役行者、本名役小角(えんのおづぬ)は、絶大な法力をもった修験道の開祖で、その法力で空を飛び、大蛇を退治し、いうことをきかない神を縛り付け、ついには人々を苦しめる鬼を懲らしめて改心させ、従者にしたのだという。
しかし、その強すぎる法力と影響力を朝廷に警戒され、「不思議な力で民を惑わせている」との罪状によって捕らえられてしまい、伊豆大島に流されることになるのだ。
ところが伊豆に流罪になった役行者は、そんなことはおかまいなしに夜な夜な空を飛んでは富士山に登り修行をしていたという。しかもその頃から日本中で異常気象が多発したため、「行者を捕まえてしまったせいじゃないのか」とおそれた権力者によって罪を許され、放免となる。その後、奈良に戻った小角は、雲に乗って唐の国、いまの中国大陸に飛んで行ってしまったといわれる。
伝説のどこまでが真実なのかは謎だが、今回の超人化計画は、鬼の師匠にして日本史上屈指の超人であるこの役行者に迫ろうと思う。そのため、行者が晩年に近い時期を過ごしたとされる伊豆大島を目的地にする。ここに行けば、「超人とは何か」がわかるのではないか……。
というわけで超人化計画は初めて本州を飛び出し、海を渡ります。竹芝桟橋からフェリーに乗って約2時間、目指すは伊豆大島である。
大島に近づくと、船内放送で「このあたりにはイルカやクジラが多いのでたまにぶつかることがあります」といったアナウンスが聞こえる。前回の旅でも真っ暗な山奥でカモシカに突撃されかけているので少々不安になるが、無事に到着。
フェリーはその日の天候や海洋生物の居場所などによって行き先がかわるそうで、この日は島の北部にある岡田港に入港。島にあがるとすぐひとつの神社がみえてきた。それがこちら、竜王神社だ。
もともとこのあたりには八幡社が祀られていたのだが、八幡神といえば源氏の守り神。すると「源氏ばかり優遇するな」と平家の神々が災害を起こすようになってしまったため、平家側の神社として竜王神社が創建されたものだという。祭神は安徳天皇だとの説もあるとか。岡田港周辺ではたびたび崖崩れなどの災害が起こっているが、この神社は創建以来被害を受けたことがないとも言い伝えられている。
さて、まずは大島の歴史を知っておこうといういことで、郷土資料館を見学する。
伊豆大島は日本で14番目に大きな島で、名産は椿の実をしぼってつくる椿油。力士が大銀杏につける鬢付け油としても有名だ。
そして昭和61年の三原山大噴火は記憶にある方も多いだろう。三原山はゴジラの生まれた場所としても有名で、記念碑もたっている。「ゴジラvsビオランテ」ではゴジラが三原山の噴火口から溶岩とともに出現したという設定で、当時のゴジラスタッフは実際に三原山の噴火を撮影にきているそうだ。
そして今回のテーマにもつながるが、大島といえば流刑、流人の島でもある。役行者を筆頭に、武田信玄の孫、赤穂浪士の遺児など歴史上数知れない人物がこの島に流罪になっているのだ。
赤穂浪士の遺児なんて親の都合で流されてしまったのだからすごくかわいそうだが、役小角にしても冤罪で島流しにされたようなものだ。
また、ここで興味深い情報がゲットできた。島にはとある洞窟があって、そこには役行者が自分自身で彫った自らの石像像があるというのだ。今回の調査は、その像を最終目的地にしよう。
松原タニシ
心理的瑕疵のある物件に住み、その生活をレポートする“事故物件住みます芸人”。死と生活が隣接しつづけることで死生観がバグっている。著書『恐い間取り』『恐い旅』『死る旅』で累計33万部突破している。
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