実体ある人工知能「フィジカルAI」がもたらす革命的変化とは? 人間の思考や感性もAIが再現する近未来へ
これまで人間との接点がディスプレイとキーボードだけだった生成AIに新たな動きが起きている。人間との共存に最適化させ、現実世界に降りてきた「フィジカルAI」はどのように私たちの生活を変えるのか!?
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「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。
エリーザー・ユドコウスキー/ネイト・ソアレス 著
人類最高のAI専門家である著者らが、AIの発展から惹起される、おそるべき結末を描く
思わず「な、なんだってー!?」と突っ込んでしまいそうな標題だが、本書の中身はいたって真剣である。何しろ本書の著者のひとりであり、人工知能の研究家であるエリーザー・ユドコウスキーは、機械知能研究所(MIRI)の創設者。かつてはあのピーター・ティール(PayPalの創業者で、「影の米大統領」と呼ばれる人物)からその才能を見込まれて多額の出資を受け、またサム・アルトマン(OpenAIの最高経営責任者)にはその創業の示唆を与えるも、「いまや彼らと反目に至った天才」。
もうひとりのネイト・ソアレスは、グーグルやマイクロソフトでのエンジニア職を経て、現在はMIRI所長。いい換えれば、このふたりは、ことAIに関する限り、現在の世界における、人類最高峰の専門家コンビであるということだ。
本書は、ある意味ではAIの産みの親といっても過言ではないこのコンビが、今後のAIの発展と、それにともなって惹起される、おそるべき結末を描いた警世の書である。
著者らによれば、現在のAI開発がこのまま進めば、近い将来に「人工超知能(ASI)」が出現する。この超知能は「ほぼ全ての種類の予測と操舵の問題において、人間よりもはるかに高い能力を発揮する頭脳」であり、そして標題どおり、その誕生の論理的帰結として、「人類は絶滅する」という。
何しろ、人類最高のAI専門家である著者らが、自ら「人間はAIを育てることはできるが、AIの内部で起こっていることを理解しているわけではない」、と示唆しているのである。高度な人工知能が「暴走」し、創造主たる人間に「造反」するという筋立ては、それこそ『R.U.R.』の昔からSFの定番だが、それも理の当然というわけだ。
評者としては、次世代(ASI)を生み出すことこそが、人類という種の究極の目標にして使命であったのなら、むしろ滅亡もやむなしという気もするが、当然ながら著者らの見解はそうではない。人類滅亡後には「喜びがみじんもない荒寥たる宇宙」があるばかりだというのだ。
ちなみに、本書は一般読者の読みやすさを重視しているので、煩雑さを避けるため、本文中に収録しきれなかった膨大な補足資料は、オンライン上に公開されている。余力のある人はぜひ目を通していただきたい。日本語版も用意されているので、ご安心されたし。

(月刊ムー 2026年07月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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