巨人族の末裔? 人間とも交わった北欧の妖精「トロール」/幻獣事典
世界の神話や伝承に登場する幻獣・魔獣をご紹介。今回は、北欧で人とも深く交流した妖精「トロール」です。
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鬼の子孫が営む宿坊で、タニシは気になる情報を入手していた。大阪にまつられる有名なあの福の神、そのルーツが鬼だったのではないか……というのだ。
さて、今回の超人化計画はこれにて終了なのだが、小仲坊で一緒になったあの林実利を追う修験者の方から、タニシは興味深い話をきいた。
大阪を中心に福の神としてよく知られている「ビリケンさん」という神さまがいる。そのビリケンさんのルーツは、後鬼ではないか、というのだ。
修験者さんから聞いた話をタニシが追加調査した内容をまとめると、こうなる。
その修験者さんが修験霊場としても有名な和歌山県の新宮に泊まったとき、あるホテルの社長さんから聞いたはなしだという。
そこのホテルの社長さんは「熊野ビリケン奉賛会」という会の会長をしていたのだが、熊野とビリケンさんには深いつながりがあるそうだ。
ときは明治時代。この社長さんのおじいさんが若い頃山伏をしていて、役行者と前鬼後鬼の木像を大切に持っていたのだが、いとこがアメリカに渡るというので、お守りかつ餞別としてその三体の木像をいとこにプレゼントした。

その後、渡米したいとこから手紙が届くのだが、そこには「もらった木像だが、知り合いの女性教員がとても気に入ったというので申し訳ないが譲ってしまった」という内容のことが書かれいた。
この女性教員はフローレンス・プリッツさんというのだが、その後教員から美術家に転身するという珍しいキャリアを送っている。そして美術家になってから、プリッツさんは自分の夢にあらわれたイマジネーションをキャラクター化したひとつの作品を制作した。

そのキャラクターこそが、ビリケンさんだというのだ。
プリッツさんは譲り受けた三体の像のなかでも、とりわけ一本角の鬼である後鬼の像を気に入っていたのだという。ビリケンさんも頭は三角形にとがっていて、一本角のようにみえる。
つまり、ビリケンはプリッツさんが後鬼のビジュアルからインスパイアされた夢をみて、そこから造形したものなのではないか、というのだ。

ビリケンはその後海を渡って日本に伝わり、大阪新世界に置かれ、足の裏を触ると幸せになれる福の神として信仰されるようになる。
まさか、後鬼がビリケンさんのルーツになっていたとは。しかもいったんアメリカに渡り、逆輸入のようなかたちで日本にやってきていたとは……。
ということで、タニシはあらためて新世界のビリケンさんを見にいってみた。

なるほど、いわれてみれば、どことなく鬼の面影を感じるような……。

と、ここでタニシは気がついてしまった。ビリケンさんが、この大阪新世界の地でどんどん超人化しているようなのだ。
通天閣を歩いていたタニシの目に、筋肉がムキムキで肌色のマスクをかぶったような「超人」の姿が飛び込んできたのである。タテガミのような頭部の形状は、一本角にかなり近い。そして、まぎれもなく超人なのだ。さらに、その隣には、グレーの鎧を身にまとったもうひとりのビリケン像にも遭遇。それはフルフェイスマスクのような兜を装着し、頭には完全に一本角がそびえている。これは間違いなく超人だ!
https://www.tsutenkaku.co.jp/tour/kinnikuman_archive.html
1300年前、役行者に従った夫婦の鬼は奇妙な縁からアメリカに渡り、日本に戻ってきてビリケンという神になり、さらには超人になっていたのだ。まさに、超人化計画にふさわしい結論にたどりついたのである。
松原タニシ
心理的瑕疵のある物件に住み、その生活をレポートする“事故物件住みます芸人”。死と生活が隣接しつづけることで死生観がバグっている。著書『恐い間取り』『恐い旅』『死る旅』で累計33万部突破している。
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