日本宗教学界の巨星・鎌田東二、最後の対談集「古事記の封印を解く!」/ムー民のためのブックガイド

文=星野太朗

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    古事記の封印を解く!

    鎌田東二×羽賀ヒカル 著

    2025年5月末に逝去した日本宗教学界の巨星「鎌田東二」最後の対談集

     鎌田東二といえば、元京都大学名誉教授。神職の資格を有する、宗教哲学・民俗学界の巨人である。
     その最初の評論集である『神界のフィールドワーク: 霊学と民俗学の生成』(1987)にしてからが、「日本の宗教史・神道史理解に新たな視座を持ち込み、意識変容や異次元との交流という主題に鮮明な表現を与え、スピード感あふれる文体に乗って80年代日本を疾走した異形の書物」と評される傑作である。同書は現在、ちくま学芸文庫に収録されているので、ぜひ直接手に取って、その凄味を体感していただきたい。

     一昨年(2024年)の本欄でも、彼の著書『予言と言霊』(平凡社)をご紹介し、「その壮大緻密な霊的宇宙に存分に酔い痴れてほしい」と記したばかり。そんなわけで、2025年5月末の、鎌田の訃報に接した際には、評者も凄まじい衝撃と喪失感に襲われたものであった。

     本書は、そんな巨星・鎌田が生前、東洋思想・神道研究家で占い師でもある羽賀ヒカル氏に託した、最後の対談集である。

     対談の時点で、すでに癌に身体を蝕まれていた鎌田だが、その彼自身、この対談自体が「魂と魂のやりとり」である「うけひ対談」であると断言している。
     聞き手である羽賀氏は、YouTubeチャンネル「神社チャンネル」の運営者であり、「北極老人」と呼ばれる謎の超人の薫陶を受けて、この世界に足を踏み入れたという。かつて本欄でも、氏と秋山眞人の共著である『2030年 大終末を超える唯一の方法』(徳間書店)をご紹介した。

     そんなふたりが「大切にしてきた考えや想いを差し出し合い、新たな神を生もうとする行為」そのものであるこの対談では、全編にわたって「ひとつの物語的な宇宙論、宇宙哲学」としての、『古事記』が論じられる。そして、それらの神話から、世界の中で、日本人だけが持つ特殊性、特異な霊性が浮かび上がってくるのだ。
     生前の鎌田の人柄が垣間見える話や、彼自身がUFOを目撃したことがあるというエピソードなどもあり、鎌田ファンとしては感無量である。そして羽賀氏によれば、読者である「あなたがこの本を手に取って下さったこと」も、「天の采配」にほかならないというのである。
     日本宗教学界の巨星を追悼し、改めてその偉業を回顧するという意味でも、全日本人必読の書である。

    青林堂/1760円(税込)

    (月刊ムー 2026年02月号掲載)

    星野太朗

    書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。

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