日本を動かした神秘主義結社「昭和神聖会」と出口王仁三郎/武田崇元
昭和戦前を席巻した新宗教・大本のリーダー王仁三郎は、近代的な右翼団体「昭和青年会」「昭和神聖会」のオルガナイザーでもあった。 大陸覇権を狙う軍部や急進派右翼と手を結んで驚天動地の国家改造と霊的革命をめ
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「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。
鎌田東二 著
百年前の霊的巨人たちの思想や行動を再検討する
出口王仁三郎は、本誌の読者なら知らぬ者のない、近代日本最大の霊術家のひとりであり、日本政府の弾圧を受けた神道系宗教団体「皇道大本」の教祖である。
一方の田中智学は、仏教系宗教団体「国柱会」を立ち上げて「石原莞爾らに多大な影響を与え、国家主義を支える一翼となった」怪人物。
本書はこのふたりを主人公とし、「同時代を生きる共通点や差異性を持つ特異な人物二人を対称軸とすることで、両者の思想や行動や社会特性をより鮮明に立体的に描き出す実験的な試み」である。
彼らの活動した大正期は、全世界で1億人以上の死者を出したともいわれるスペイン風邪のパンデミックに、第1次世界大戦、そして関東大震災と、なぜか百年後の現在の世相と、二重写しの様相を呈している。そんな今だからこそ、百年前の霊的巨人たちの思想や行動、その「世直し」と「予言」を再検討することには今日的な意義がある。
著者・鎌田東二氏は宗教学・哲学を専門とする文学博士で、さまざまな教授職を歴任し、現在は京都大学名誉教授。現在もなお旺盛な活動を続けておられる。
本書は、そんな碩学が贈る「宇宙〈修理固成〉の交響楽の一部」。その壮大緻密な霊的宇宙に存分に酔いしれてほしい。
松田行正氏+山内雅貴氏による、異常にかっこいい赤と黒のブックデザインにも要注目。
(月刊ムー 2024年8月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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