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「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。
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リズ・ウィリアムズ 著
「オカルト」をビジュアル中心に記述した図鑑
本書に定義される「オカルト」とは、「ヘルメス主義、薔薇十字団、神智学、ウィッカ、19世紀の黄金の夜明けヘルメス教団の活動としての魔術、現代復興主義者のドルイド教徒とフリーメイソン、そして悪魔崇拝の要素など、広範かつ神秘的な組織や活動を包括する用語」。
本書は、古代世界に由来する、このような信仰や魔術の実践とその思想を、ビジュアル中心に記述する浩瀚な書物。
記述の方法は、「西洋オカルティズムの起源」に始まり、「占い」「儀式と典礼」「チャームとタリスマン」「呪いと呪術」「秘密結社」「パワースポットと聖地」の各項目を採り上げ、それぞれ歴史年代順に詳述するという形式を採る。
あくまでも「図鑑」であるから、図版中心の見やすい造本だが、解説文も必要十分な記述が重厚に為されていて、読み物としても満足できる。
著者のリズ・ウィリアムズは、ケンブリッジ大学で歴史学・科学哲学の博士号を取得後、グラストンベリーを拠点として魔術関連ビジネスを経営している。
前掲の『神秘思想表象大全』と、コンセプト的に被っている部分があると思われるかもしれないが、それぞれに特色があり、また互いに補完し合う部分もある。まさに甲乙つけがたい名著である。
本誌読者におかれましては、どうか両書をともに熟読吟味の上、可能ならば両方ともお手元にそろえることを、ご検討いただきたい。

(月刊ムー 2025年12月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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