昭和に流布した「自動車をめぐるジンクスと怪談」あれこれ/昭和こどもオカルト回顧録
昭和を彩った懐かしくも怪しい話を懐かしがりライターが回想。自動車、クルマが恐怖の対象だった、時代の心理を振り返る。
記事を読む
月刊「ムー」でもおなじみの神仏探偵であり、神木探偵の本田不二雄氏が書く神木の世界。今回は、來宮神社の大楠(静岡県熱海市)です。
JR伊東線・来宮駅を降りた人のほとんどが來宮神社の赤い鳥居に吸い込まれる。みんなのお目当ては、境内奥の「大楠」だ。
まさに現実離れした大きさ。ゴツゴツした巨岩を思わせる幹の風合い。その幹周りはかつて日本一と讃えられた。その称号こそ「蒲生のクス」に譲ったものの、唯一無二の存在感はいささかも揺るがない。主幹のひとつを途中で失い、それがかえって存在の重みを際立たせている。
来宮神社は、和銅3年(710)、熱海の海で漁夫の網に木像がかかり、「われは五十猛命(いたけるのみこと)。この地に波の音の聞こえない7体の楠の洞があるから、われをそこで祀れ」と告げられたことにはじまるという。來宮とは「木の宮」であり、伝承ではかつて7本の御神木があったことを伝えている。
ところが江戸時代の末、隣村との紛争が発生し、その訴訟費用にあてるために境内のクスノキが伐られることになった。すでに5本が伐られ、残るは大楠2本。ついに残りの幹に大鋸をあてたところ、忽然と白髪の老人があらわれ、両手を広げて遮った。すると大鋸は手元から折れ、老人の姿はいつのまにか消えていたという——。
長年の風雨や落雷、伐採危機にも耐えてきた大楠。その異次元を思わせる生命に惹かれ、結縁(けちえん)したいと願う人の波は途切れることはない。古来、不老長寿・無病息災の象徴とされ、大楠を1周すると「寿命が1年延びる」とも信じられ、願いごとがあればその思いを秘め一周すれば、心願が叶うとも言い伝えられている。
DATA
国指定天然記念物、推定樹齢2000 年以上、幹回り23.9m、樹高20m
住 所:静岡県熱海市西山町43-1
アクセス:J R 伊東線「来宮」駅より徒歩4 分、東海道本線・新幹線「熱海」駅より徒歩18 分、
車で10 分
メ モ:文化財登録名称は「阿豆佐和気神社(あずさわけ)の大クス」。
常時17 ~ 23 時にライトアップされるほか、茶寮(カフェ)や休憩所も充実。
境内には大きなウロをもつ「第二大楠」も
立ち寄りスポット
伊豆山神社、MOA 美術館、ACAO FOREST ほか
地球の歩き方「W24 日本の凄い神木 – 全都道府県250柱のヌシとそれを守る人に会いに行く」本田不二雄(著)より抜粋。
https://hon.gakken.jp/book/2080183300
本田不二雄
ノンフィクションライター、神仏探偵あるいは神木探偵の異名でも知られる。神社や仏像など、日本の神仏世界の魅力を伝える書籍・雑誌の編集制作に携わる。
関連記事
昭和に流布した「自動車をめぐるジンクスと怪談」あれこれ/昭和こどもオカルト回顧録
昭和を彩った懐かしくも怪しい話を懐かしがりライターが回想。自動車、クルマが恐怖の対象だった、時代の心理を振り返る。
記事を読む
歴史を動かした貴重な一冊も! 話題の古書店主が解説、かつての精神科病院の実態を伝える写真集たち
いま密かに話題の古書店「書肆ゲンシシャ」の店主・藤井慎二氏が、同店の所蔵する貴重なコレクションの数々を紹介!
記事を読む
熱帯魚店で、人魚を買ったーーこの世ならざる美女たちとのめくるめく物語をつづる、現代のおとぎ話集/司馬舞『OLと人魚』
あたたかく、切なく、「尊い」、現代のおとぎ話集
記事を読む
古文献で発見! 犬神を描いた「土州の奇獣」の正体を追う!/大江戸怪獣録
デジタル化の進んだ現代、江戸人たちの絵は国立公文書館、国立国会図書館をはじめさまざまな施設が公開している。そうした史料をみていると、何を描いたものなのか判別しがたい「奇妙な絵」を発見できる。妖怪かUM
記事を読む
おすすめ記事