大槻ケンヂの読書愛エッセイ集「そして奇妙な読書だけが残った」/ムー民のためのブックガイド

文=星野太朗

    「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。

    そして奇妙な読書だけが残った

    大槻ケンヂ 著

    「本の雑誌」等に掲載された大槻ケンヂのエッセイ集

     本書の著者である大槻ケンヂ氏、通称「オーケン」は、並の人間ではない。一世を風靡したロックバンド「筋肉少女帯」のリーダーであり、この方の手にかかれば、たちどころにダメ人間は踊らされ、ネコはムービーシアターにバクダンを仕かけ、包帯で真っ白な少女は切手にされて綾波レイのモデルとなり、日本は印度にされてしまうのである。
     この筋肉少女帯での、独自の世界構築だけでもものすごいのだが、それだけではない。小説を書かせれば、日本SF界のノーベル文学賞と称される「星雲賞」を2年連続で受賞。オカルト、格闘技、漫画に特撮、近代文学と、その興味と関心の幅は極めて広く、いずれの分野においてもマルチに活躍されている。まさに規格外の才能である。

     さて本書は、稀代の読書家でもある(UFO本だけで100冊以上読んでいるという)オーケンによる、待望の読書エッセイである。
     採り上げられる本は、『ムー的世界の新七不思議』(並木伸一郎著、ワン・パブリッシング)に始まり、『護道の完成』(廣木道心著、BABジャパン)、UFO本の最高峰である『何かが空を飛んでいる』(稲生平太郎著、新人物往来社)、AV史『痴女の誕生』(安田理央著、太田出版)まで、多岐にわたる。
     氏の軽快な文体に乗せられているうちに、いつしか、書物とオーケンの内宇宙の迷宮を、さまようことになろう。

    本の雑誌社1870円(税込)

    (月刊ムー 2025年5月号掲載)

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