ただならぬモノの姿を40点以上も収録「怪仏異神ミステリー」/ムー民のためのブックガイド
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山本ひろ子 著
越境者である神々の秘密を語る、息の長い名著
「異神」。その言葉の不思議な響きを見聞するだけで、何やらわくわくした気持ちになるのは、評者だけだろうか。古来、本邦は数多の神々を擁してきたが、果たして「異」なる「神」とはどのような存在なのか。
著者が名づけた「異神」とは、たとえば新羅明神、摩多羅神、宇賀神、牛頭天王。「日本の生え抜きの神ではなく、海波からやって来た、越境者」である。その神々の秘密とは。
本書の元となっているのは、1998年3月に平凡社から刊行された、700頁余におよぶ同題の書物。同書絶版後、2003年にちくま学芸文庫にて復活。さらに今回、戎光祥出版から改訂新版で3度復活と、実に息の長い名著である。しかも今回は「少部数の限定出版」。いやしくも読書家なら、この機会を見逃す手はない。
著者は本書について「学問書ではない」と述べている。確かに形式的にはそうなのかもしれないが、内容的には、第一級の学術書に挑む覚悟が必要である。
なお、本稿でご紹介するのは前編に当たるⅠだが、後編のⅡには、膨大な索引が収録されている。この索引は「原本平凡社版とくらべて数倍の量で、多彩にして立体的な」労作。もともと本書は「一般にはなじみのないテキストの引用がひしめき、不可思議な祭祀・行法があちこちに顔を出す」代物。この索引なしにそれを読み込むのは、かなりの苦行である。よって本書の読者は、同時に必ずⅡも入手することが肝要である。
(月刊ムー 2025年2月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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