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かつて寺山修司が住み、演劇実験室「天井桟敷」が生まれた地・世田谷で開催される展覧会、その名も「寺山修司展」。生誕90周年に向けたイベントの見どころを紹介する。
1983年に47歳の若さで逝去した寺山修司(1935~1983)は、短歌・詩・演劇・映画など様々な芸術分野を横断しその才能を発揮した、今でいう“マルチアーティスト”であった。
現在も、彼が手がけた戯曲の再演や映画の上映などを通じて、寺山ワールドのファンは増え続けている。
来たる2025年は、そんな寺山修司の生誕90周年という節目の年。東京都の世田谷文学館では、このメモリアルイヤーに向けた展覧会、その名も「寺山修司展」を、2024年10月5日(土)〜2025年3月30日(日)の期間で開催する。
本展では、これまで世田谷文学館で収蔵してきた関連コレクションを一堂に展示。自筆の書簡や、劇団「天井棧敷」に関する資料(原稿・台本・ポスター)を公開し、寺山修司の人物像とその活動を紹介する。
本展を開催する世田谷文学館が位置する世田谷区は、寺山修司が新婚時代に住んだ場所であり、主宰劇団「天井桟敷」が誕生した場所でもある。
旗揚げ時のメンバーとして横尾忠則も名を連ね、そのほかに宇野亜喜良やJ・Aシーザーなどのクリエイターたちも参画して活動した「天井桟敷」は、1960〜1970年代における日本のアングラカルチャーを代表する劇団のひとつとして、大きなムーブメントを起こした。
その由来は、1960年代後半に世田谷区下馬に住んだ寺山が、自宅向かいのマンションに家出した少年少女を劇団員として受け入れ、共同生活を始めたところにある。
「書を捨てよ、町へ出よう」の言葉に代表される数々の著作物、映画「田園に死す」など、寺山が手がけた作品内では“家族”や“親子”のありようが象徴的に描かれるのも有名だが、青森県で生まれ母一人子一人で育った寺山にとって、当時の共同生活が“新たな家族のモデル”だったとも見て取れる。
今回の展覧会では、そんな「天井桟敷」の関連資料約100点が公開。寺山の演劇活動が紹介される。
また、寺山には「手紙魔」の一面もあった。高校時代から俳句や短歌の創作を手掛けていたが、短いフレーズで鮮烈に記憶に残るその言葉は、知人へ宛てた手紙からも読みとることができる。
本展では、寺山修司が20代前半期にしたためた自筆書簡約40点を展示し、その人物像に迫る。
繰り返しになるが、来たる2025年は寺山生誕90周年。おそらく、日本中で様々な関連イベントが開催されることだろう。その先陣を切る展覧会として、ぜひ注目していただきたい。
<寺山修司展>
【会期】2024年10月5日(土)〜2025年3月30日(日)*会期途中に整備休館あり
【会場】世田谷文学館(1階展示室)
【住所】157-0062 東京都世田谷区南烏山1-10-10
【休館日】 毎週月曜日(但、月曜が祝休日の場合は開館し、翌平日休館)、年末年始(12月29日~1月3日)、館内整備期間(3月10日~18日)
【開館時間】10:00~18:00(展覧会入場、ミュージアムショップは17:30まで)
【料金】一般200円(160円)/高校・大学生150円(120円)/65歳以上、小・中学生、障害者手帳をお持ちの方100円(80円)
※()内は20名以上の団体利用や「せたがやアーツカード」等の各種割引料金です
※各種割引については、手帳など証明できるものをお持ちください
※障害者手帳をお持ちの方で大学生以下は無料になります
※障害者手帳をお持ちの方の介添え者(1名まで)は無料になります
※10月5日(土)は60歳以上入場無料、11月8日(金)は65歳以上入場無料
※11月16日(土)・17日(日)はセタブンマーケット開催に伴い入場無料
▼世田谷文学館 公式サイト
https://www.setabun.or.jp/
杉浦みな子
オーディオビジュアルや家電にまつわる情報サイトの編集・記者・ライター職を経て、現在はフリーランスで活動中。
音楽&映画鑑賞と読書が好きで、自称:事件ルポ評論家、日課は麻雀…と、なかなか趣味が定まらないオタク系ミーハー。
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