淡路島で生まれる”国生み”グッズと…”ボバンボン”という謎/平成UMAみやげ

文・写真=山下メロ

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    バブルをまたいだ平成は、いわゆるオカルト事象がやんわりと世に受け入れられていた時代でもある。「ファンシー絵みやげ」研究家の山下メロが、当時を彩った”UMAみやげ”の世界をご案内。妖精…小人…ときて、おめでたくもありがたい「七福神」をご紹介! 七福神と小人って……ご安心ください、きっちり、つながります。

    小さき者たちの系譜

     前回、前々回と、「ファンシー絵みやげ」における妖精やノームなどの小さき者たちを、さらに北海道周辺の先住民族であるアイヌに伝わる小人、コロポックルについて紹介しました。

    2回にわたって充分すぎるほどに小さき存在の平成UMAみやげを紹介しまくってきたわけですが、まだ少しだけ伝えきれていないものがあり、最後の最後にもう1回だけ小さき存在UMA特集をやってしまおうと思います。

    最後だけど、最初の島・淡路島

    「最初の島」というのは、神話において日本が生まれる際に最初に出来た島と言われているのが淡路島だからです。最後だけど最初、さよならだけどさよならじゃない(やまかつWink)といった感じです。

     兵庫県・淡路島では、その国生み神話からイザナギ(伊邪那岐)とイザナミ(伊邪那美)が、ファンシー絵みやげにおける主なイラストのモチーフとなっています。

    「AWAJI ISLAND」「IZANAGI&IZANAMI」

     このイザナギが持っている矛が、コトアマツガミ(別天津神)から与えられた「アメノヌボコ(天沼矛)」。『古事記』によれば、このアメノヌボコで混沌の海を掻きまわして持ち上げて、滴り落ちた塩でできたのがオノゴロ島(淤能碁呂島)です。
     オノゴロ島に神殿を建立し、二神は結婚。そして日本や八百万の神々を生むといった話なのですが、そのオノゴロ島が淡路島と言われているのです。

     ちなみにイザナギ&イザナミという神様をキャラクターにするのは問題に思う向きもあるのか、別の名前のキャラクターもいます。

    「国生み神話 KUNIちゃん UMIちゃん」

     国生さゆりっぽさの「こくしょうみ」ではありません。「くにうみ」です。当時、冠番組を持っていた山田邦子さん的なイメージにも便乗しているのでしょうか。KUNIちゃん。
     ここで意味もなく先述の「やまかつWink」と繋がりました。

    七福神めぐり

     淡路島には他にも七福神信仰があり「七福神めぐり」ができるため、モチーフとして七福神が使われます。
     淡路島でも七福神がファンシー絵みやげ特有のキャラクターとなって商品化されていました。サブキャラといえる鯛や鹿まで頬が紅潮しており、意欲的なイラストとなっています。

     小さいイラストで七福神を描き分けるのは大変なのですが、頭の形を大胆に差別化するという方法でやってのけたのがこちら。
     もはや何が何だか分からない感じがしますが、星の部分に注目してください。

     OCHIYA MENA KAMISAMA YATTE KITA…!

     神様に対して、「おちゃめな」「やってきた」と表現するのもスゴイです。しかも「おちゃめ」を「OCHAME」でなく「OCHIYAME」とローマ字表記。さらに、スペースの問題とはいえ「OCHIYA」で改行。

     こんな風にファンシー絵みやげならではの不思議さがあるのですが、さらに驚きのキーホルダーが見つかっています。

     まず、前述のとおり淡路島は『古事記』に登場するオノゴロ島であるとされています。
     そこから「おのころ愛ランド公園」という施設が存在しました。
     東武ワールドスクウェアと同じミニチュアパークで、現在は「淡路ワールドパークONOKORO」という名称になっています。

     そこでこんなキーホルダーが売られていたようなのです。

     これは……七福神ならぬ七人のこびと……!!

     この施設には童話の森というものがあり、そこにグリム童話の「白雪姫」があるのでしょう。その登場人物である七人のこびとは、確かに七福神と結び付けられます。

     しかし……
     これは完全にディズニーの白雪姫では……
     謎が深まります……

     謎といえば、さらに謎のキャラクターがいます。

     ボバンバボン。

     淡路島でのボバンバボンの目撃証言、お待ちしております。

    (2020年11月2日記事を再編集)

    山下メロ

    平成レトロの提唱者。ファンシー絵みやげなどバブル時代周辺の懐かし文化を紹介する。著書に「平成レトロの世界 山下メロ・コレクション」(東京キララ社)など。

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