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ツチノコや大蛇の伝説は数多いが、「足」付きの奇妙な話をピックアップ。見間違いか、それとも突然変異だったのか?
前回紹介した、羽州米沢の「三頭蛇骨」。寺の屋根裏から発見されたという三つ首の奇妙な骨は江戸の耽奇趣味人たちのあいだでずいぶん話題になったらしく、模写図もひとつならずつくられていたようだ。前回のものとは別の三頭蛇骨図がこちら。
みっつの頭それぞれの眼窩がはっきり描かれていて、動物らしさがより強く感じられる。この図を描いた佐藤中陵は水戸藩主にも仕えた本草学者で、当時の斯界の第一人者といった人物。そんな学者がみずから蛇骨を実見して描き写したというのだから、ビジュアルの信憑性もより高いといえるだろう。ここまで細かく描かれていれば、肉付け再現ができるのではないかとさえ思えてしまう。
さすがにこれほど奇妙な頭の蛇は他に聞いたことがないが、爬虫類は哺乳類にくらべて変異が発生しやすいともいわれ、現在でも双頭の蛇や亀はたびたび発見されてニュースになっている。
こちらの図は、江戸時代、18世紀の中頃に発見されたという双頭ならぬ2本の足をもつ蛇の図。
全長は6尺3寸、2メートル近い大きな蛇で、胴のなかほどに一対の足が生えていたのだという。その指はケモノの毛のようで、しっぽの先にはツノのようなトゲがあった。舌もケモノのようだったとわざわざ書かれているので、ふつうの蛇のようなチロチロした細い舌とは違ったのだろう。また、発見場所が紀州在田郡湯浅、現在の和歌山県湯浅町とピンポイントで記録されているのもおもしろい。湯浅町は蛇身変身伝説でしられる道成寺からもほど近く、この辺りは怪蛇に縁のある土地だったのかもしれない。
三頭蛇、有足蛇は不気味さこそあれ人に害を与えるものではなかったようだが、人を襲いさらにわざわいをもたらしたとされる怪蛇がいた。信州松代(現在の長野県長野市松代)に出現したという「野守」である。
18世紀末ごろに書かれた奇談集『漫遊記』に、この怪蛇の話がみえる。
信州松代の山里に、力が強く周囲から恐れられている男がいた。あるときこの男が二人連れで山に入り柴刈りをしていたところ、里への帰路、山道でなにか柔らかいものを踏みつけたのを感じた。みると、そこには胴回りが桶ほどもある大蛇が体を横たえていたのだ。
体を踏まれた大蛇は藪から出てするすると男に近づくと、その体を巻きつけて男の喉元にくらいつこうと鎌首をもたげてくる。その頭部は犬よりも大きいほどだったという。
しかし日頃怪力を自慢する男は大蛇に動じもせず、逆にその上下のあごを両手でおさえ口を引き裂こうとした。だが、さすがにこれほどの相手になると腕力だけではままならない。男は木の上に逃げていた連れの男に鎌を投げてよこさせ、その鎌で大蛇を口から喉元まで60センチほども掻き切ってしまった。大蛇はすさまじい音を立てながら体を地面に打ち付けてのたうっていたが、男はその体をさらに鎌でみっつほどに断ち切ってとどめをさした。
その後観察してみると、大蛇と思ったそれにはなんと6本もの足が生え、それぞれに6本の指がついていた。全長は3メートルほどもあったが、男は頭と尾は谷に捨て、胴体のとくに太い部分だけを戦利品として里に持ち帰った。ところが、家に帰りその胴体を見せると両親はたいへんに驚き、これは山の神ではないか、必ず祟りがあるといって息子を勘当し家から追い出してしまった。
そのうち、2、3日もすると持ち帰った大蛇の肉は強烈な臭気を放つようになった。その悪臭は男にも移ってしまい、肉を捨てても着物を替えてもどうにも落ちない。悩んだ末に医者を呼び薬を調合してもらい、沐浴までしてようやく消すことができたが、その医者はこの蛇について、それは大蛇などではなく野に生じる「野守」というものだろうと語ったという。
それから3年ほどして、男は立ち入りを禁じられた山に入って木を盗み取っていたことが発覚し、斬首刑という最期を迎えた。人々は、首を掻き切られた野守の復讐だろうと噂しあった、という。
6本足の生物を「蛇」と呼んでいいものかややためらわれるところもあるが、江戸の日本では怪獣だけでなく怪蛇も各地に出没していたようだ。
図版出典一覧
三頭蛇骨『提醒紀談』九大コレクション
足のある蛇『蒹葭堂雑録』国立国会図書館デジタルコレクション
野守『漫遊紀』青森県立図書館デジタルアーカイブ
鹿角崇彦
古文献リサーチ系ライター。天皇陵からローカルな皇族伝説、天皇が登場するマンガ作品まで天皇にまつわることを全方位的に探求する「ミサンザイ」代表。
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