テムズ川のドラッグ汚染が深刻な話など/南山宏・ちょっと不思議な話
「ムー」誌上で最長の連載「ちょっと不思議な話」をウェブでもご紹介。今回は2020年1月号、第429回目の内容です。
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「ムー」誌上で最長の連載「ちょっと不思議な話」をウェブでもご紹介。今回は2024年4月号、第480回目の内容です。
トルコ最東端にある同国最大のヴァン湖に観光旅行にきていた一家が、尖った突起が幾つも並ぶ背中を湖面から見せて前進していく怪獣の姿を、ピンボケながらスマホで撮影に成功した。
どうやらイギリスのネッシーの同類らしいが、近年ぱっとしない本家に代わって、今後はこちらが世界中のネッシーファンや研究家の関心を集めるかもしれない。
撮影に成功したジュレヤ・ソナさんとその家族は、その日湖畔に遊びにきていて偶然、ギザギザの突起が並ぶ正体不明の動物が沖合いを進んでいくのを目撃。
ピンボケ怪獣を撮ったジュレヤは、後日、報道記者たちに語る。
「妹が指さして教えてくれたの。背中に突起が並んでて、もっとよく見たくて走ったわ。この湖には怪物がいるって、ママは前からいってたけど、あたしたちはそんなバカなって、全然信じてなかったの。でもこの目で見たからには、もう信じるしかない。ビデオにはちゃんと映ってないけど、あたしにはこれでも十分だわ!」
事件を報じたトルコの由緒ある日刊紙「ヒュッリエト」2020年8月15日付によれば、ヴァン湖は濃い塩水湖で、棲息する魚類は同湖の流域唯一の固有種タレク(別名ヴァンシャークリ)というコイ科の魚だけとされるが、そのサイズは怪物にはほど遠い。
一方、同湖にまつわる怪物の棲息伝説は、数百年も前から根強く伝承されてきた点も、シン・ネッシーに相応しいだろう。
ステファニー・ホイットリーさんの一家が、米ニューヨーク州のロングアイランド島の新居に引っ越してまもないある夜、8歳になる愛猫のリリーがいつまでも帰ってこないので、ステファニーは最悪の事態を覚悟した。
「いつもなら必ず帰ってくるんだけど、今度ばかりは事情が違うので、リリーがちゃんと帰ってこられるとは思えなかった」
ところが4日後、リリーは無事に帰ってくると、いつものように玄関ドアの防犯カメラの鈴を鳴らして、帰宅を告げた。
「みんなびっくり仰天したわ。すっかり感情的になって、まさに泣き笑い状態よ!」
2022年9月16日付UPI電によれば、ステファニーはリリーを抱きしめながらつけ加えた。
「ほんとにお利口な猫ちゃんね」
ワンちゃんだって、負けてはいられない。2020年10月6日付UPI電によると、アメリカ軍当局の研究チームはこのほど、軍用犬に着用させる〝拡張現実ゴーグル〟の開発に成功した。
このゴーグルを装着した軍用犬は、訓練士に遠隔距離から指示や命令を出されて忠実に行動する。
軍用犬は戦場で、ときに爆発装置や危険物質の捜索にあたるが、万一に備えて訓練士からできるだけ離れて行動する必要がある。
これまでは手の合図やレーザー光で命令を出していたが、ゴーグルを介した〝ロボットドッグ〟制御法なら、当の犬たちはともかく兵隊たちにとっては、一段と安全安心にちがいない。
英イングランドはヨーク市のオークスゴルフクラブで、アマチュアゴルファーのデヴィッド・ジャイルズ氏がみごと、ホールインワンを達成した。
彼のゴルフ仲間はだれもまだホールインワンを出していなかったので、驚き、興奮し、祝福した。
ところが、同じホールで友人のクリフ・バンス氏が、次のショットでまたもや、ホールインワンを出したのだ!
ツーショット連続のホールインワンが出る確率は、専門家によると1700万分の1だという。
「デイリーミラー」紙2021年8月19日付によれば、そこでくだんのバンス氏いわく、
「いや、ぶったまげた。何てことをしでかしたんだ、まったく!」
ジャグラム某という名のインド人が、膀胱の激痛を訴えてビーハインド地区病院に緊急入院した。
血液検査やCTスキャン、X線検査などを終えると、プラティーク・ミシュラ医師はジャグラムの膀胱に納まった長さ約10センチの釘が、痛みの原因と突き止めた。
なぜそんなものを呑み込んだのか、ジャグラムは説明を渋ったが、少なくとも1年以上、そこに釘が存在しているのは明らかだった。
医師団は約1時間の手術で釘を摘出、ジャグラムは後遺症もなく無事に退院した。
当病院始まって以来初のケースだったそうだ。
ニュージーランド南島の中心都市クライストチャーチの市議会から、〝公認魔法使い〟として23年間高額の給与を支給されてきた88歳のイアン・チャンネル氏が、このほど正式にお払い箱となった。
氏の仕事は〝魔法の儀式〟を司って、同市の成長と発展と繁栄に寄与することにあった。
チャンネル氏は雨乞いのダンス会を実施したり、文化遺産的建築物の破壊に対する抗議運動に参加したりして、ニュージーランド美術館協会による美術創造活動の発展を積極的に支援してきた。
だが今や、クライストチャーチ市議会は、チャンネル氏を〝市の波長〟とは合わなくなった過去の存在と決めつけ、より近代的な別の方向をめざすと宣言した。
2021年10月15日付「BBCニュース」によれば、チャンネル氏はこう息巻いている。
「まったく情けない。奴らは想像力に欠けた官僚主義者どもだ!」
ロシアのある金融会社は、巨大な〝喋るピラミッド型拡声器〟を使う強引な手段で、期限の切れた債務者に返済を迫る。
黄と黒で色分けされた1トン超の重いピラミッド型スピーカーを車に載せ、債務者の自宅前に乗りつけて、10分置きにご近所も憚らず大音量で返済を督促するのだ。
いかにもロシア式催促法だが、債務者側からすれば、たまったものではないだろう。
南山宏
作家、翻訳家。怪奇現象研究家。「ムー」にて連載「ちょっと不思議な話」「南山宏の綺想科学論」を連載。
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