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ゲーム文化も世界中に浸透したことを裏づける大事件である。2024年、ついにスラブの民間伝承として語り継がれてきた"片目のリーホ"を主題としたホラーゲームが登場することとなった。これまでホラーゲームの多くは、有名どころの神格や伝承存在ばかりが取り上げられてきたうえに、その扱いも、非常にざっくりとした怖がらせ役として登場してきたケースが多かった。だが、今回ご紹介する『One-Eyed Likho』は、スラブで実際に民間に語り継がれてきた疫神にまつわる"片目のリーホ"の伝承を主題として作り上げられた作品。
開発を手掛けるのは、本稿でも過去にご紹介した、同じくスラブ神話を題材とした『BLACK BOOK』を手掛けたMorteshkaだけに、まさにスラブに伝わる"本物の土着的な信仰"、その一端をインタラクティブに体験できるはずだ。
Morteshkaのおかげで、ゲーム文化もついにここまできたかと感慨に耽ってしまうと同時に、今回の作品も、ぜひムー民の皆様にこそ堪能いただきたいもの。
不吉な運命や辛苦の象徴とされる、片目で痩せ細った、黒ずくめの老婆として描写されるリーホ。そのルーツにはどこかギリシア神話の老婆グライアイを思わせるが……あなたは、まさに不吉なる宿命を負ったスミスとなって、19世紀のスラブの森をはじめとした鬱蒼かつ陰鬱とした世界をさ迷い歩きながら、リーホを捜し出してその宿命から逃れなくてはならない。
本作はノスタルジックな4:3の画面比率や、不吉さを際立たせるモノクロ表現など、ビジュアルもどことなくゲーム文化の懐かしさや歴史を感じさせるもので非常に魅惑的。陰影のみの暗黒の視界を照らし出すのは、心細いマッチの光のみ。だがこのマッチを使った"火"による謎解きは、きっとリーホへの道を照らし出す道しるべになるはずだ。
(本作のムー民度 ★★★★☆)
Steam 発売日未定 価格未定
©Morteshka
(月刊ムー2024年3月号)
藤川Q
ファミ通の怪人編集者。妖怪・オカルト担当という謎のポジションで、ムーにも協力。
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