死者の国はカラフル! 「リメンバー・ミー」のメキシコで地底人エル・チャンの謎に惑う/松原タニシ「超人化計画」
超人の足跡を追う松原タニシ、ついに海外へ!メキシコの「死者の国」を訪れたタニシは、謎の地底人伝説に遭遇する。
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文=大槻ケンヂ 挿絵=チビル松村

「インドの山奥で」から始まる替え歌は亜種が亜種を産み、原曲や作品よりも有名になった。その意図は……お釈迦さまでも、気がつくまい。
昭和を共に生きてきた御同輩なら「レインボーマン」はもちろん御存知だ。知ってるどころかある種のトラウマになっている人も多いかも。72年放送の特撮ヒーロードラマ「愛の戦士レインボーマン」は、僕らが観てきた「仮面ライダー」や「ウルトラマン」などとは一線を画す独特過ぎる内容だった。
主人公ヤマトタケシはレスリングを得意とする高校生。足の悪い妹の治療費を稼ぐため、プロレスラーになろうと励んでいる。そんな彼がある時、雑誌のグラビアに空中浮遊するインドの聖者の写真を見つける。
「これだ! この人にプロレスを学ぼう!」
ギャングスタラッパーを志すバッドボーイが「おら東京さ行くだ」の動画を観て吉幾三に弟子入り志願するかのそれは大いなる勘違いである。
だが、……タケシは本当に聖人に会いにインドまで行ってしまう。そしてやっと聖人ダイバ・ダッタと出会い、崖の上からつき落とされたり火の上を歩かされたり「それプロレスに必要?」という過酷な修行を経て、ついに念願のプロレスラー……にはなれず、かわりにレインボーマンという変身ヒーローにされて、日本人全滅計画を企てる怪人・ミスターK率いる組織「死ね死ね団」と戦うために、日本まで空飛んで返されてしまうのだ。浅草のアニマル浜口道場に行っときゃよかったのに!
「死ね死ね団」のテーマ曲というのがまた「死ね!死ね!!日本人は邪魔っけだぁ!!」などと連呼する”昭和はやばかった”案件、ノーコンプラ曲なのだ。そもそもドラマ主題歌が「インドの山奥で修行をして」で始まるおよそヒーローものとは思えない詞だった。
その後「ダイバ・ダッタの魂宿し」とつながるのだが、面白いことにこの歌「インドの山奥で」の後、無限の数の替え歌が存在しているのだ。
例えば僕は小学生の頃「インドの山奥でんでんでんどく豆上手いまめ~だか~の学校わ~かば~が町に急に生え出しタンタン狸の金玉は~風もないのにブーラブラ」と歌っていた。中野区である。これが神奈川県在住の知人の場合「インドの山奥でんでんかたつむりんごは真っ赤っかーちゃん怒りんぼーくは泣いちっちはるのたちしょんべんじょの戸が開かない!」であったそうな。下ネタが多いのと流行歌(「若葉のささやき」「僕は泣いちっち」)を織り交ぜている共通点がある以外、まるで異なる歌詞だ。
これは一体なんなのだろう? と思いSNSで募ってみたところ、来るは来るは。そしてやはり皆違っていた。
「インドの山奥出っ歯のおじさんガイコツ食べて死んじゃった」(50代・練馬)
「インドの山奥でっぱのハゲあたまんじゅう食いたいなっぱのゴリライもも食って死んじま円盤空を飛ぶ~たが鳴いてるすばんオモロイ」(昭和50年代前半から中頃くらいの長野県松本市の某小学校)
「インドの山奥でっ歯のおじさんガイコツ拾って死んじゃったーこたーこ上がレインボーマンたぬきの立ちしょー便所におっこった」(50代前半・埼玉県西部)
果たしてガイコツは食べて死ぬものなのか拾って死ぬものなのか、わからないが、驚くべきことに1987年には、靴のアキレスのCMで明石家さんまがレインボーマン主題歌の替え歌を、メロディーはまるで異なるが歌っている。おそらくCMに引用されるくらい当時、「インドの山奥で」からの替え歌が子供たちに浸透していたのであろう。
★この続きは二見書房から発売の書籍「医者にオカルトを止められた男」でお楽しみください。
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大槻ケンヂ
1966年生まれ。ロックミュージシャン、筋肉少女帯、特撮、オケミスなどで活動。超常現象ビリーバーの沼からエンタメ派に這い上がり、UFOを愛した過去を抱く。
筋肉少女帯最新アルバム『君だけが憶えている映画』特撮ライブBlu-ray「TOKUSATSUリベンジャーズ」発売中。
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