宇宙生命体と戦い、食らう!『マン・バイト 蒼空猟域』に隠されたUFO新解釈を作者・長谷川裕一にインタビュー

文=石川裕二

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    人類はUFO型生物の食糧だった!? 衝撃的な世界観の漫画『マン・バイト 蒼空猟域』についてインタビュー。やはり長谷川先生、ムー民だった!

    『マン・バイト』は「夢から生まれた作品」

    ――連載中の漫画『マン・バイト 蒼空猟域』(※以下『マン・バイト』)では、UFOが生物で人類を食糧にするという興味深い設定です。UFO生命体説の世界はどのようにして生まれたのでしょうか。

    長谷川裕一(以下、長谷川) 連載が始まったのが2021年の夏なので、もう3年ほど前になるでしょうか。夢を見たのです。自分がビルの壁を蹴って、空を飛びながらUFOと戦うという。目が覚めて、「これは、おもしろいのではないか」とメモを取り、そこから漫画の企画書にしました。僕の作品は、メカもの、マシンの力で戦うことが多かったのですが、結局、人間って、自分の力で自由に空を飛べたほうが楽しいだろうと。

    ――「ビルの壁を蹴って、空を飛びながらUFOと戦う」というのは、『マン・バイト』の1話冒頭のシーンそのものですね。

    コミックブシロードWEBで連載中。https://comicbushi-web.com/episode/3269754496354153589

    長谷川 それと、『マン・バイト』の世界観が生まれたのには、中学生の頃の出来事が影響しています。実家に8ミリビデオのカメラがあり、子どもなりに何か映画を撮ってみたくなったのです。その頃、ちょうど『ジョーズ』が流行っていたので、『ジョーズ』のような作品をつくってみたかったのですが、大きな造形物を子どもがつくるとなると難しい。そこで閃いたのが、“麦わら帽子を改造したUFO”。帽子型のUFOが空から人を襲うというものでした。結局、企画段階でストップしてしまい、実際に撮影するまでには至りませんでしたが。

    ――となると、『マン・バイト』は40年越しのアイデアを形にしたことになりますね。

    長谷川 そうなのです。でも、人間側も飛べないことにはUFOと戦えませんから、どうしようと。そこで思いついたのが、UFOの持つ反重力器官を食べて、その力を取り込めるようにすることです。

    ――UFO生命体説どころか、食べた人間がUFOの力を得るというのは驚きの設定です。

    長谷川 「ムー」読者の方はUFO型生物という仮説をご存じかもしれませんが、中学生が考えたにしては、斬新なアイデアだと思うんですけどね(笑)。
    実を言うと、『マン・バイト』の主人公は、当初は女の子ではなくて、男の子だったのです。男の子が主人公で、昭和時代から生きている女性が導いてくれる話にしようとしたのですが、『マップス』(※長谷川氏の代表作の一つ)のキャラクター配置と似ているなと。そこで、現在の形に落ち着きました。結果的には、大変良かったなと。と言うのも、男の子は戦うことに対して、そこまで抵抗がない。むしろ、空を飛べるだなんて、喜ぶでしょう。でも、女の子は差し迫った状況にならないと、そうはいきません。

    最初は事態に戸惑っていた主人公の優も、第24話ではすっかり「説明役」に成長した。

    ――生きるために、やむなくUFOの肉を口に運ぶシーンは印象深いです。そこに「狩られるか狩るかだ」というセリフの緊張感が生きてくるわけですね。そういえば、『マップス』のデコトラが作中に登場していましたね。『マン・バイト』と『マップス』の作品世界がつながるのでは、と考えるファンの方も少なくなさそうですが……。

    長谷川 あれはカメオ出演のつもりで描きました(笑)。ファンの方はね、作品世界につながりが出ることを願ってしまう部分があるようですけど、今回はつながる予定はありません。明言します。やはりね、作品ごとのファンに対する仁義というものがありますから。

    UFOと宇宙人を新しく描く

    ――『マン・バイト』に登場する教授(プロフェッサー)のデザインは、遮光器土偶ですよね。これはやはり遮光器土偶=古代の宇宙人(宇宙飛行士)説からのデザインでしょうか。

    長谷川 そうです。そのへんの説も70年代からありますよね。僕が子どもの頃というのは、アポロ11号が月面着陸した時代(※1969年)ですから。何かこう、世界がパッと広がっていく感じの時代で……自分が『マン・バイト』で描きたいことも、そういうことかもしれません。

    ――『マン・バイト』ではUFOや宇宙人の“新解釈”が読めそうで、期待しています。米国防総省が未確認飛行物体の存在を認めた発表やケネス・アーノルド事件への言及など定番のUFOネタもだしつつつつ、新しい設定に唸るような世界を感じます。普通にグレイを出すのではなく、まさか●●だったとは……(※ネタバレ防止のため伏字)。

    長谷川 グレイという宇宙人を、そのまま出してもおもしろくないわけです。でもUFOが登場する以上は、米軍の陰謀説が出てこないと、おさまりがつかない。そこは定番です(笑)

    ――未読の読者向けに詳細は伏せますが「あの湖の巨大生物」「あの大予言者」まで出てきますからね。

    長谷川 「この際だから、みんな出しちゃえ」みたいなところはあります。漫画家生活も長いですが、次のチャンスなんて待たずにどんどん出していきます。

    あの大予言者も「マン・バイト・イーター」!

    ――UFOだけではない超常現象オールスターを出していくとどこまでも続けられそうな連載ですが、今後の気になる展開について教えてください。

    長谷川 コミックス3巻は、主要人物の過去のエピソードが描かれていますが、4巻掲載分からは急速に世界観が広がっていって、ビックリしていただけると思っています。どうぞ、よろしくお願いします。

    ――「ムー」としても、新しいUFOの正体、新解釈を楽しみにしています!

    第24話の舞台は……あの編集部だったりする。
    長谷川裕一 漫画家。SF作品を得意とし、代表作に『マップス』『轟世剣ダイ・ソード』『機動戦士クロスボーン・ガンダム』シリーズ、『飛べ!イサミ』『超獣機神ダンクーガBURN』『クロノアイズ』など。特撮評論家として『すごい科学で守ります!』シリーズの著作もある。

    『マン・バイト 蒼空猟域』

    https://comicbushi-web.com/article/manbite01

    第4巻は7月26日発売!
    ムー編集部への訪問エピソード(24話)を収録する5巻もご期待ください。

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