書物占い・ビブリオマンシーが妖怪を暗示!? ムー的まんが道のねじれ/石原まこちん・漫画ムーさんぽ
都市伝説ウォッチャーの漫画家・石原まこちんが、さんぽ気分で深みを目指すルポ漫画。目指すは秘密結社……なのだが、その扉はなかなか開かない。そこで、次の取材先を占いで探ることにした。 今回は、麻布十番でし
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「人間を死ななくする家」三鷹天命反転住宅。唯一無二のその間取りは、風水的にどうなのか? だれもやったことのない鑑定に、ベテラン人気占い師が挑む!
目次
東京の郊外、三鷹の某所で異彩を放つ三鷹天命反転住宅。一見すると奇抜だが、安直に「映え」を狙ったようなものではなく、著名な建築家によって「人間を死ななくする」ために設計されたすごい住宅であることがわかった。(住人インタビューの前編はこちら)
人間の天命である「死」を反転させてしまおうとの壮大な思想が生んだ「天命反転住宅」。とはいえ、そこで暮らすのは生身の人間。まるで人類を補完するかのようなプランに、住む人は耐えられるのだろうか?
というわけで「天命反転住宅の住み心地はどうなのか?」を調査すべく、強力な助っ人をお招きした。キャリア20年超のベテラン占い師、暮れの酉さんだ。
暮れの酉さんは関西を拠点に各種メディアで活躍する占い師で、風水や西洋占星術を組み合わせたオリジナル占術「鳳凰数術」を用いた鑑定を得意とする。そして、かつての毒舌占い全盛時代にも「なるべく人を悪くはいいたくない」というスタンスを貫いてきた、令和の時代にベストマッチな癒し系占い師さんなのだ。
今回は暮れの酉さんに、天命反転住宅を風水鑑定してもらおうというわけだ。
「伝統風水vs人間を死ななくする家」、究極の矛vs盾対決の結末は?
——さっそくですが天命反転住宅、素人考えでも風水的にはダメな間取りなんじゃないかと直感的に思うんですが、どうなんでしょう?
暮れの酉:よくおわかりですね(笑)。第一印象は「なんだこれは! 初めて見ました」という感じです。ぱっと見で配管がむき出しだったり、おトイレのドアがなかったりと、こういうのは「不浄の場所と居住空間は隔てておくべき」とする伝統的な風水からするとよくないかたちなんです。
また伝統風水では、玄関は社会と自分の内面を隔てるものとされ、仕事運にとって重要な場所とみるんですが、このお家は玄関と居住スペースがシームレスで、内面を隠さずにペロっとすべてさらけだす間取りというようなことになります。
そして玄関は、内側からみて左手が福の神「青龍」、右手が戦の神「白虎」が司る場とされるのですが、このお家では右に靴を並べている。そうすると、部屋に戦いの神を呼び込んでしまうことになるんです。
——伝統風水とは逆の構造になってしまっているんですね。間取りからは何がみえるでしょう?
暮れの酉:風水では、玄関の方角と、その家のできた年の星を組み合わせて64の「卦」と呼ばれるパターンを導き出すんですが、このお家は「離為火(りいか)」という、炎の気がものすごく漂う家ということになります。風水的には火=美のシンボルと捉えます。なので、アーティストやデザイナーさんが住むにはすごくいい間取りです。「戦いの神を呼び込む火の属性の家」というと普通はあまりよくないんですが、ギャンブラーやスポーツマンのような勝負の世界に生きる人にとってはむしろ戦の神を味方につけるとも解釈できます。
炎は既成概念をぶち壊す、破壊のエネルギーでもありますから、そんな性格の方や、破壊を必要とする職業の人にとっては自分らしく生きられる家ともいえそうです。
——なるほど。部屋の中心にあるキッチンなどの共有スペースはどうでしょう。
暮れの酉:玄関の方角から、この家のパワーが集中する、屋内のパワースポットを割り出してみましょう。家はざっくり8つの属性に分けられるんですが、東南の方角に玄関のある家は「天」の気を帯びるとされます。そうするとこの家のパワースポットは……はしごに占拠されて物置のようになっているあの一角ですね。(間取り図でのバスルームと田中部屋の間)
暮れの酉:はしごは登ると同時に降りるものですから、激しい浮き沈みのシンボルになってしまうんです。あれは即座に破壊してください! 屋内のパワースポットは、クリエイティブな活動などパワーが集中することに使うのがいいですね。スマホの充電にもいいんですよ。
またここは天の属性の家なので、壁が少なく広い間取りになっているのはとてもいいです。さらに天属性のよさを引き出すには、要所に鏡をおく、天の星を象徴する丸いオブジェを置くなどするとよさそうです。
★一般家庭での応用ポイント
1、玄関は内側からみて左が招福。靴は左側に置くのが吉。
2、家のなかにもパワースポットがある。パワーが集中する活動や、充電に吉。
3、部屋には8つの属性があり、それに応じたオブジェやインテリアを選ぶべし。
——つづいてそれぞれの部屋を見てもらいましょう。まずは田中さんの部屋から。
暮れの酉:このお部屋は、愛と美の女神である「七赤金星」という星を守護にするお部屋ですね。なので、快楽と感じること、自分が好きでやっていく趣味などを極めていくのにとても向いた間取りです。ここでの暮らし方のアドバイスですが、趣味を表す星が強いお部屋では、趣味を実益にしていくという方向がいちばん部屋の気を得られることになります。たとえばエンタメ、ゲーム系のアプリを製作するとか、人を楽しませるツールに触れる仕事をするとか。ゲームを趣味にしてしまうというのでもいいかもしれません。
田中:そうですね、できたらその趣味を実益にする方向で。僕はモテ本を研究してモテ本ブログというのも書いているので、それを発信して、広げていく方向で頑張ります。
暮れの酉:部屋の基本カラーをピンクにされていますが、基本的にピンクは刺激する色といわれます。ピンクで高ぶる想像力を仕事に向けていけばパーフェクトですね。逆に注意点としては、この部屋は風水では「兌」の部屋になるんですが、あまり真面目なことというか、コツコツ集中して学問をするようなことには向かないとされます。部屋の気と反発してしまうんです。ですから、研究というかたちよりも、人をわくわく刺激させるような方向にむけていってほしいと思います。
★応用ポイント
部屋の属性にあった仕事をすることで、効率がアップする!
——つづいて紅林さんのお部屋にうつりましょう。といってもこれは……部屋なんでしょうか? 全体が球体で、床も丸くて平らな部分がない。暮れの酉さん、立てなくて盛大に転びましたけど。
紅林:そうなんですよ、靴下履いてるとそうなっちゃうんです。妖怪を目指す加藤さんが寝られないといって投げ出した部屋です。立てないので、ブランコを吊るして普段はここに座っています。
暮れの酉:すみません、起きられないので寝たまま鑑定させていただいて……。そうですね、このお部屋は方角的には鬼門のラインになります。良くも悪くも気の乱れやすいエリアということになるんですが……これはもう、パターンにない。わからない。お手上げです(笑)
——部屋なのかどうかというところから謎ですね。
暮れの酉:鬼門というだけに、妖精のような方が住むにはいいのかもしれません。またこのお部屋の属性は「万物を産み育てる」という「土」の属性なので、破壊と創造にはとても向いている空間です。
アドバイスできるとしたら、いまお部屋は緑に塗られていますが、緑は「木」属性の色で、「土」とけんかしてしまうかもしれない。そこで、壁に絵画を飾ってください。絵画やアートは「火」の属性で、木と土の間をとりもつ調和の役割を果たしてくれます。
紅林さんもアーティストですから、土と木がけんかする部屋に住むことでご本人が調和役になり、丸く整うという意味がある。風水的にいうと破壊的なこの間取りを成立させて暮らせるのは、紅林さんしかいないのかもしれません。
★応用ポイント
五行の関係性を意識して、気の調和を目指せ!
——最後に、加藤志異さんの部屋をお願いします。加藤さんは妖怪を目指す男ですが、意外と普通の部屋ですね。
加藤:以前は、いま紅林さんの部屋になっている丸い部屋にいたんですが、床が丸くて寝られないので……結局寝るには平らなほうがいいなと。この部屋に移ってきたばかりで改造中なので、アドバイスをいただけると嬉しいです。
暮れの酉:ではまず部屋の属性から。ここは東向きで「木」の属性のお部屋になります。五行では木のエネルギーは成長、新たなことをスタートさせるエネルギーになるので、なにかを始めたい人にはもってこいの空間です。そして木製品や、草木を置くとさらに木の属性を強調してくれます。たたみ敷きですが、たたみはい草なのでこれもいいポイントですね。
注意点ですが、お部屋ではパワーのあるエリアに向かって座るのが吉とされます。とくに出入り口。入り口に背を向けるように座るのはダメなんです。僕も以前新居でやらかしてしまったんですが、ドアに背を向けるように机を置いたら不注意が続いて、金運が下がってしまった。
インテリアは、出入り口、ドアにむかって座るように配置してください。「入り口に背を向けるな」はどの家でもいえることです。そして、寝るときにはドアのある方に頭を向けない。そうすることで気が休まり、安らげるといわれるんです。
加藤:この黒いカーテンはどうでしょう? 前の住人が残していったのをそのまま使ってるんですが。
暮れの酉:風水、五行説という中国の占いでは五行を色に置き換えるんですが、黒は「水」の色です。「水」は「木」を育ててくれますから、木の属性のお部屋には最高の色ですね。ほかには水を連想させるブルーも最高です。気になるのは壁の色。このお部屋は壁が紫色で、紫は炎のエネルギーなので「木」を燃やしてしまうんです。壁を隠すようになにか貼ったりするといいでしょう。あるいは「水」の気をもつ黒いものを増やすとか、葛飾北斎の波の版画など、水のエネルギーを感じる絵画を飾るといいでしょう。ラッセンのイルカとか(笑)。
加藤:妖怪になるためにこうしたらいいということってありますか?
暮れの酉:そうですねえ……風水や東洋医学などでは、人間には生まれ持った「精」があり、これが少しずつなくなっていくことで死に向かうと考えるんです。長寿のポイントは精を消耗しないこと、季節を読んでその気の流れに逆らわない、心地よく生きることで「精」を維持して長生きできると考えるんですが、あくまで死ぬことが前提なので「死なない存在になる」という発想がないんです。どうしましょう(笑)
加藤:ですよね(笑)
★応用ポイント
家具の配置は、出入り口の方向を意識する。
仕事をするときはドアに向かって座る、休むときはドアのある壁面に頭を向けて寝るのがベスト。
——ありがとうございました。天命反転住宅を鑑定して、いかがでしたか?
暮れの酉:こちらは伝統風水とはまた違った概念のお宅ですよね。風水が目指す心地の良さとは違うつくりですが、でも人間て、なんでもかんでも心地よくて思い通りにいってしまうと、ブレーキがきかなくなってしまう。「思い通りになることが普通」だと思ってしまうことには弊害があると思うんです。
そういう意味で、普通に生活できない、思い通りにいかないゆえにさまざまな工夫を重ねるというこのお宅もありなんじゃないかと思いました。暮らすのが本当に楽しくて、きっと毎日何かが起きてるんじゃないでしょうか。
なるほど、伝統風水的にはNGだらけの天命反転住宅も、工夫と適応次第で風水に沿った快適空間にすることができるようだ。強烈な部屋のパワーを人生のエンジンに応用できそうな個性的な住人たちが暮らしているのも納得である。
普通ではない三鷹天命反転住宅から、世界的な超人ーーそれこそ妖怪が生まれるのではないか。家と住人と暮らしの関係を見つめ直す取材となった。
取材協力=三鷹天命反転住宅
© 2005 Estate of Madeline Gins. Reproduced with permission of the Estate of Madeline Gins.
webムー編集部
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