チャールズ・H・フォートの奇書がついに邦訳刊行「呪われし者の書」/ムー民のためのブックガイド

文=星野太朗

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    呪われし者の書

    チャールズ・H・フォート 著

    東西の伝説の巨匠による「奇現象のバイブル」

     チャールズ・H・フォートの名は、オカルト界に燦然と輝く金字塔である。「超常・超自然現象研究の父」である彼は19世紀末のアメリカに生まれ、生涯を超常現象の研究に捧げた。
     その影響は科学界・文学界(特に黎明期にあったSF)を含む多方面におよび、1931年には彼の名を冠する超常現象研究会(フォーティアン協会)までが組織される。極言するなら、もしも彼がいなければ世に超常現象解明の気運など起きず、オカルトブームもなく、本誌が創刊されることもなかったであろう。
     本書は、そんな偉人の代表作にして、当時における超常現象研究の集大成、まさに「奇現象のバイブル」というべき『The Book of the Damned』(1919)の、初の全訳である。
     さらに、その翻訳の労を執られたのが、「S-Fマガジン」編集長の任にあたられた、本邦におけるSF&オカルト研究の最高権威である南山宏氏。氏は何と、1985年から本書の邦訳出版の計画を進めておられたというから、手の慄えが止まらない。

     内容の歴史的価値はいうまでもないが、注目すべきは装幀。凝りに凝った豪華絢爛な外匣に、漆黒の小口、表紙の滑らかなスウェード感。所有する悦びを堪能させてくれるこんな本は、めったにない。これなら1万円を越えていても不思議はないが、いったい何なのだ、この価格は。もはやこの本の存在自体が、何らかの超常現象である。買いである。繰り返す。ともかくこれだけは買いである。

    南山宏 翻訳/国書刊行会/5500円(税込)

    (月刊ムー 2026年11月号掲載)

    星野太朗

    書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。

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