<読者投稿>真夜中、祖母の家に出現する「黒い謎の影」

イラストレーション=不二本蒼生

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    太田宗昭/福岡県

     25歳のころに体験した出来事です。

     当時、私は神奈川で勤めていた会社を退職し、郷里の福岡へUターン。気楽な日々を過ごしていました。
     ある日のこと、子供のころから可愛がってくれる大好きな祖母のところへ遊びにいくことにしました。
     祖母は80歳で、50歳になる叔母とふたりで暮らしています。
     久しぶりに私が訪ねてくるということで、ふたりは夕食を私の希望に合わせてすき焼きにしてくれました。
     夕食の時間は、いうまでもなくとても楽しいひとときとなりました。
     祖母や叔母との会話の中で、昔の懐かしい思い出や笑い話に話が弾み、その日はお風呂に入ったのち、早めに床についたものです。
     就寝する際は、部屋の境にある襖を開けはなち、3人が並んで眠れるように床に就きました。

     ここまではじつにゆったりと過ごしたとても平和な一日だったのですが……。

     あの恐ろしい出来事は夜中に起きました。
     暖かい布団の中で心地よく熟睡していた私でしたが、突然、目が覚めてしまいました。時間は夜中の2時ごろと記憶しています。
     意識がハッキリするにつれ、足下で何かの気配を感じます。その正体はわかりませんが、しいていうならば何かのエネルギー体のようです。
     それは暗い部屋の中で、ロウソクの炎ほどの大きさの光源でした。
    「ブーン」という音も聞こえます。同時に「カーン」という音も聞こえてきました。
    “そこにいるのは何もの!?”
     小心者の私はあまりの恐怖に縮こまってしまいました。
     そのときです。布団の右側がいきなりめくられたのは!!
     私は生きた心地がしませんでした。
     布団の左側に潜りこむようにして縮こまり、怯えていましたが、やがてどうしていいかわからず、
    「わーー!!」
     と、叫びながら起きあがりました。
     周囲を見わたすと、祖母や叔母が布団から体を起こし、じーっと私を見つめています。
    「なんだったの? そこにいたのは」
     私は必死に叔母に訴えました。すると叔母が静かに話しはじめました。

    「私の頭の上を黒い影が通りすぎてあなたのほうへ行ったから、どうしよう、起こそうかと迷っていたのよ。そのうちあなたがうなされだして」と、叔母がいいました。
    「唸っている声は、爺ちゃんの声に似ていたよ」と、祖母がいいだしました。
    「“助けて!”っていうから起こそうとしたら自分で起きたんよ」と、叔母がいいました。

     こんな怖い経験は初めてだったので、祖母と叔母に今までにもこんなことがあったのか聞いてみました。

    「じつは最近、何度かあったんよ。夜、寝ていたら何かわからないけれど黒い影みたいなものが見えたし」と、叔母がいいました。

     次の日、私はふたりに引っこしを提案。ふたりはそれを聞きいれてくれて、翌月、さっそく近くのアパートに引っこしました。
     その後はこのようなことは起こっていません。
     それにしても、あのとき私が感じた謎のエネルギー体の正体は、なんだったのでしょう。今でも思いだすたび恐怖に震えます。

    (本投稿は月刊『ムー』2026年9月号より転載したものです)

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