現役教師が現場で収集した怪奇の数々「うえまつそうの学校の怖い話」/ムー民のためのブックガイド

文=星野太朗

関連キーワード:

    「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。

    うえまつそうの学校の怖い話

    うえまつそう 著

    ぞっとする怪談ばかりを集大成した決定版

    「学校の怪談」といえば、主として同題の小説や映画が思い起こされるかもしれない。日本人ならだれもが幼少期に経験する、学校という空間を舞台とする怪異譚は、怪談界における一大ジャンルを形成している。
     著者によれば、学校とは外部から隔絶された一種の「結界」であり、「日常と非日常。その境目にあるような特殊な世界」であるからこそ、「異世界やあの世と呼ばれる空間とも繋がっている」。そして数々の学校を渡り歩いてきた著者は喝破する。「怪談のない学校はない」と!
     本書は、そんな著者が、実際に怪異を体験した人々に取材し収集した、一読してぞっとする怪談ばかりを、43篇にわたって集大成した決定版である。
     その内容はおそらく、相当のマニアでもない限り、初めて耳にするであろう、珍しくも恐ろしい話ばかり。一篇一篇は非常に短いので、サクサクと読み進めることができる。

     著者・うえまつそう氏は、「現役の高校の体育の教師をしながらミュージシャン、デザイナー、そして怪談を語っている」という変わり種で、YouTuberでもある。なんと祖父の大後友市氏は、渋谷のモヤイ像の生みの親であるという。学校の怪談を語らせるのに、これ以上の逸材は望めまい。
     なぜか巻末に、イケメンである著者がさまざまなポーズをキメたフルカラーのポートレート写真が多数収録されており、ファンも思わず垂涎。

    竹書房1430円(税込)

    (月刊ムー 2025年11月号掲載)

    星野太朗

    書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。

    関連記事

    おすすめ記事