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大橋喜之 訳
アグリッパの生涯と魔術についての、最良資料
ハインリッヒ・コルネリウス・アグリッパ・フォン・ネッテスハイム、通称アグリッパといえば、16世紀ドイツの有名な魔術師である。彼の名は、降霊術に優れ、病人を癒し、占星術を含むあらゆる占術と呪術をこなし、錬金術にも通じた、例を見ない魔術師として、語り継がれている。
一方でアグリッパは、パリ大学で諸学を身につけ、神学にも通じ、8か国語を自在に操る知識人でもあった。彼の人生も波瀾万丈である。
スペインでは軍人、フランスでは神学を講義し、ドイツでは外交官、スイスでは医者と、さまざまなキャリアを転々としながら各国を渡り歩き、最後はフランスのグルノーブルで没した。
魔術師としての、彼の声望を揺るぎなきものにしているのが、3巻からなる『オカルト哲学』である。これは、当時存在したあらゆる魔術の百科全書とでもいうべきものである。そして、彼の死後、第四書が発行された。
この第四書については、アグリッパの名を借りた、偽書とみなすのが通説だが、当時の魔術について伝える貴重な資料であることは確かだ。この第四書を訳出したのが、本書である。さらに、アルトゥーロ・レギーニの論考『アグリッパと魔術』が一緒に訳出されているのがうれしい。
おそらく、アグリッパの生涯と魔術について、日本語で読める最良の資料といえる。
(月刊ムー 2025年7月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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