異星人発見の鍵は“核融合の痕跡”にある! 科学者が提唱する地球外文明の探査法
太陽系外で繁栄している文明をどうやって見つければよいのか――。その鍵を握るのが、大気中の水蒸気の重水素の量であることが最新の研究で報告されている。
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今年はヘビ年。ヘビの脱皮は縁起のいいことで、昭和の財布にはヘビの抜け殻を入れる人が多かった。ヘビは弁財天の使いであり、金運財運の守り神だからだ。縁日には白蛇占いが出て、朱塗りの木枠の水槽にアルビノの白い蛇が鎮座し、参拝客の吉凶を占ったものである。そんな縁起のいいヘビなのに、ヘビは大嫌いという人は多いだろう。なぜヘビは嫌われてしまうのか。どうやら科学的な理由があるらしいのだ。
米カリフォルニア大学デービス校のリス・イザベル教授らは、ヘビに対する恐怖がネズミのような原猿を霊長類に進化させたと言っている。
霊長類は祖先の原猿に比べて目がいい。なぜ霊長類は目を重視する進化をしたのか? たとえばネズミの目を塞いでも、食事にはまったく関係がない。
イザベルの論文によると「視覚のないラットは、盲目になる前と同じくらい速く食物を探し、到達することができる」のだそうだ。げっ歯類は聴覚、嗅覚、触覚を使い、エサを探すのだ。
なぜ人間も含む霊長類は目に頼るようになったのか? イザベルらはヘビが原猿類の天敵であり、ヘビを素早く発見するために原猿類の視覚が発達、霊長類へと進化したという仮説を立てた。そして目の進化にヘビの発見が必須だったなら、脳の中にヘビを見つける部位があるのでは? と考えた。
脳はニューロンという神経単位からできていて、それぞれ特定の役割がある。顔を認識するニューロン、四角形を認識するニューロンと、機能ごとに分かれている。
知覚に関する視床枕という部位に電極を埋め込んだ2匹のサル(ちなみにニホンザルで、奄美大島にある実験動物の飼育施設「奄美野生動物研究所」で育ったそうだ)に、ヘビ、サルの顔、サルの手、幾何学的図形の画像を見せ、ニューロンの反応を測定した。
すると、対象となった745個のニューロンのうち、105個が画像にいずれかの画像に反応し、うち40個以上がヘビに反応した。ヘビ発見ニューロンがサルの脳にあったのだ。
しかも、他の画像を見せた時に比べて、ニューロンが活性化するまでの時間が圧倒的に短い。他の画像を見た時の反応速度が70~80ミリ秒なのに、ヘビを見た時は60ミリ秒以下で反応していた。
どれだけヘビを嫌いなんだ、サル。
ヘビ発見ニューロンのある視床枕は、感情を生み出す扁桃体と結びついているので、ヘビを見つけた瞬間に恐怖や嫌悪がこみ上げるのも無理がないのだ。そういう風に脳が進化している。
おそらくは原猿の頃、樹上に住む小さなネズミのような姿だった私たちにとって、ヘビは最強の捕食生物であり、天敵だったのだろう。木の上に住んでいるから、敵は肉食哺乳類よりもヘビ。ヘビの発見が早い原猿は生き残り、遺伝子を残した。それが私たちの直系の祖先だ。
では、霊長類はヘビをどうやって認識しているのか? 動きか? あのニョロニョロな体か? どうやらウロコらしい。
名古屋大学大学院情報科学研究科の川後伸之教授らは、ヘビを見た事のない3頭のサルに9枚の画像を見せた。9枚のうち、8枚はイモリやトカゲの画像で、1枚だけヘビの画像が混じっている。反対に8枚はヘビで1枚はイモリのセットを作り、サルが仲間外れを見つけられるのかを調べた(訓練されたサルはそういうゲームができるのだそうだ)。
その結果、9枚の中に仲間外れのヘビを見つける方がイモリを見つけるよりも早かった。そこで次にウロコを貼りつける加工をしたイモリを混ぜたところ、ウロコのあるイモリを見つける速度は、ヘビを見つける時と同じかそれよりも早かったのだ。
どうやら、霊長類はウロコでヘビかどうかを判別しているらしい。
ヘビは我々にとって本能的な恐怖の対象だ。ヘビをペットにする人にドン引きする世間は、おおよそ正しい。過去数千万年間の敵を相手に、かわいい? 脳が壊れてないか? と本能が告げるのだ。
京都大学霊長類研究所の正高信男教授らは、ヘビの恐怖が脳の情報処理を向上させることを発見した。恐怖に囚われると脳はブラックアウトしてわけがわからなくなると思われてきたが、そうではなく、恐怖は脳の機能を亢進させるのだという。
正高教授らは、大人108人と子ども25人に、さまざまなヘビと花の写真を見せてから、写真が何色だったのかを聞いた。すると大人も子どもも、ヘビの色を答えるときのほうが、花の色を答えるより早く回答することがわかった。
恐怖が記憶を強化し、脳の情報処理機能を高めたわけだ。白蛇が化身となる弁財天は、芸能や財運の神であるとともに知識と学問の神様でもある。
「恐怖だけが我々を危険から遠ざけてくれる」とゴルゴ13も言っている。ヘビ年の今年は、恐れを上手に操り、能力を発揮しよう。
久野友萬(ひさのゆーまん)
サイエンスライター。1966年生まれ。富山大学理学部卒。企業取材からコラム、科学解説まで、科学をテーマに幅広く扱う。
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