「モンペをお洒落に着こなす美少女」の絵葉書も超高額に!? 話題の古書店主が集めた戦前・ 戦中の珍奇な絵葉書たち
いま密かに話題の古書店「書肆ゲンシシャ」の店主・藤井慎二氏が、同店の所蔵する珍奇で奇妙なコレクションの数々を紹介!
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いま密かに話題の古書店「書肆ゲンシシャ」の店主・藤井慎二氏が、同店の所蔵する珍奇で奇妙なコレクションの数々を紹介!
「驚異の陳列室」を標榜し、写真集や画集、書籍をはじめ、5000点以上にも及ぶ奇妙なコレクションを所蔵する大分県・別府の古書店「書肆ゲンシシャ」。
まるで、温泉街には似つかない雰囲気だが、SNS投稿などで同店のコレクションが話題を呼んでいる。その奇妙さに惹かれ、九州のみならず全国からサブカルキッズたちが訪れる、別府の新たな観光スポットになった。
知覚の扉を開くと、そこは異次元の世界……。ようこそ、書肆ゲンシシャへ。
――前回に引き続き、今回のテーマは「廃墟」です。九龍城砦と軍艦島には多くの写真家が撮影に訪れていることが分かりました。九龍城砦はともかく、軍艦島は藤井さんも行かれたことがありますか?
藤井(以下、藤井) それがないんですよ。でも、別府から近い世界遺産なので、ゲンシシャのお客さんはツアーに行かれたことある方が多いんですよね。
――九龍城と軍艦島の写真集が人気なのはわかりやすいですが、ほかに代表的な廃墟はありましたかね?
藤井 うちですでに何冊も売れてきた人気の廃墟写真集で、三五繭夢(さんごまゆむ)氏の『廃墟ノスタルジア』(二見書房)をご紹介しましょう。三五氏は女性写真家で、ほかの廃墟写真とはまた別の色彩のセンスが感じられる写真集です。
――ちなみに、この写真集の表紙の観覧車はどこの廃墟なんですかね。
藤井 滋賀県の「甲賀ファミリーランド」ですね。三五氏は2012年に『廃墟サンクチュアリ』(二見書房)という廃墟写真集を出しているため、そちらも要チェックです。
藤井 海外の廃墟写真集も紹介しましょう。まずは、ひとりの写真家がドイツのさまざまな廃墟を撮った「Lost Places」というシリーズのうちの一冊『Lost Places Beelitz-Heilstätten』。本書は結核療養所として建設され、第一次、第二次世界大戦中は負傷兵のための病院として使用され、アドルフ・ヒトラーも収容していたベーリッツ・ハイルシュテッテン・サナトリウムの廃墟の写真集です。
――「魔の山」的な情緒を感じます。廃墟も各国と比べるとおもしろそうですね。
藤井 ロバート・ポリドリというカナダ系アメリカ人の写真家がキューバの首都ハバナで撮影した『Havana』にも廃墟写真が多く載っています。判型も大きいですし、キューバの廃墟なのでカリブの陽射しと相まって、また違った廃墟の美しさを感じさせます。
――陽気な人々も写っていますが、これは廃墟写真集ではないんですか?
藤井 ロバート・ポリドリは廃墟を専門とする写真家というよりは、人間が住む場所や環境を題材に写真を撮っているため、都市に生活している人々の写真もたくさんありますね。そして、これは中国の廃墟写真集『南方褶皱』ですね。
――この写真集、写真自体もいいですし、装丁もおもしろいですね。
藤井 リボンで結べるボックスに写真集が入っていて、中に写真のカードも同梱されているという凝ったデザインになっています。朱宝蕾という女性写真家が手がけていて、物が散乱しているような廃墟の部屋の写真も、どこかやさしい色合いです。
――年季の入った貸しスタジオと言われても、違和感ない感じがします。
藤井 写真集ではないのですが、2018年に渋谷の松濤美術館で開かれた『終わりのむこうへ:廃墟の美術史』という展覧会のカタログを最後に紹介しましょう。こちらは廃墟・遺跡・都市をテーマに描かれた、17世紀から現代日本までの絵画作品を集めて展示した、展覧会でした。
――現代の東京が廃墟になったアートなどは、SNSで見たことある気がします。渋谷のスクランブル交差点も廃墟になっていますね。
藤井 この展覧会のカタログによると「18世紀から19世紀にかけて、ヨーロッパではあえて廃墟や遺跡を好んで描く廃墟趣味が興隆します」と解説されています。つまり、廃墟は近代から一定の人気があったということですね。
――何十年かしたら、おなじみだった景色が廃墟となり、こうした作品の題材となりそうですね。
書肆ゲンシシャ
大分県別府市にある、古書店・出版社・カルチャーセンター。「驚異の陳列室」を標榜し、店内には珍しい写真集や画集などが数多くコレクションされている。1時間1,000円で、紅茶かジュースを1杯飲みながら、それらを閲覧できる。
所在地:大分県別府市青山町7-58 青山ビル1F/電話:0977-85-7515
http://www.genshisha.jp
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