葬式に現れる怪異と故人の霊/都市伝説タイムトリップ
都市伝説には元ネタがあった。今回は、初七日にまつわる怪異を紹介。
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近年、陰謀論界隈において、ニュー・ワールド・オーダー(NWO)に置き換わる新たな言葉が囁かれだしている。その言葉とはーー“ワン・ワールド・オーダー(OWO)”! なぜ今、NWOはOWOへと変わろうとしているのか?
目次
過去20年ほど、陰謀論界隈ではごく当たり前のボキャブラリーとして使われてきたニュー・ワールド・オーダー(NWO)=新世界秩序という言葉が一般化したきっかけは、1990年9月11日ーーこの日付にも禍々しいシンクロニシティを感じるーーにジョージ・H・W・ブッシュ(パパブッシュ)が湾岸戦争前に議会で行った演説だった。
「今この瞬間、アメリカ軍兵士は新世界秩序の夢、そしてその原則を守るためにアラブ民族、ヨーロッパ民族、アジア民族、そしてアフリカ民族と共に軍務に就く」
以来、国際政治の表舞台では、たとえばネオ・コンサーバディブなどのテクニカルタームと組み合わせる形で広まることになったわけだが、陰謀論の枠組みの中に限ったニュアンスとしては、“一部のエリートグループが世界支配をするための新しい仕組み”という受け取られ方をしていたのが事実だ。
さらにフリーメイソンやイルミナティなどのイメージと重ねられ、おどろおどろしい展開の数々の陰謀論のキーワードとなった。
そして今、ニュー・ワールド・オーダーに変わる“ワン・ワールド・オーダー(OWO)”という新しい言葉がネット上でやりとりされている。新世界秩序を経たうえでの単一あるいは唯一の体制という響きが感じられるものにほかならない。
陰謀論者に限らず、国際金融や行動経済学などの分野の専門家たちも使っているグレート・リセットという言葉がある。2020年6月、世界経済フォーラムで立ち上げられたプロジェクトの名称「グレート・リセット・イニシアティブ」から派生したものだが、こちらもネット上でよく見るようになった。ちなみに、イニシアティブという単語には構想とか戦略などの意味がある。
「グレート・リセット・イニシアティブ」は、ごくざっくり定義してしまえば、コロナウィルスのパンデミックに対応するために構築された経済復興計画にほかならない。
2020年6月、世界経済フォーラムで立ち上げられたプロジェクトの名称「グレート・リセット・イニシアティブ」から派生したものだが、こちらもネット上でよく見るようになった。ちなみに、イニシアティブという単語には構想とか戦略などの意味がある。
「グレート・リセット・イニシアティブ」は、ごくざっくり定義してしまえば、コロナウィルスのパンデミックに対応するために構築された経済復興計画にほかならない。2020年6月に正式に立ち上げられたもので、当時、皇太子だったイギリス王チャールズ3世が設立宣言を行っている。目的は、コロナ禍で機能不全に陥った世界の枠組み・仕組みを再構築することだ。
世界経済フォーラムの主宰を務めるクラウス・シュワブは、グレート・リセットの中核として次の3点を挙げている。
・ステークホルダー資本主義に合致する経済的土壌の創出
・環境/社会/ガバナンス基準の活用
・第四次産業革命の利用
グレート・リセット・イニシアティブを発表した世界経済フォーラムには、政府機関を利用しながら多国籍企業のみがリードする経済開放政策を推し進める方策であるという批判が集中した。
陰謀論の温床となったのはこのあたりだ。コロナウィルスのパンデミックは世界経済の制覇を目論む秘密のグループによって意図的に起こされたものだ。各国が実践していたロックダウン政策は国内経済の破綻が目的だった。ごく一部のエリート集団は、コロナ禍を利用してありとあらゆる私有財産を没収しようとしている。ありとあらゆる種類の話が噂されるようになった。
アメリカのバイデン大統領、ニュージーランドのアーダーン首相、カナダのトルドー首相が相次いで演説の中にグレート・リセットという文言を盛り込む中、さまざまな陰謀論が勢いを増していった。
コロナのパンデミック直後から盛んに語られるようになったグレート・リセットという新しいコンセプトは、これまでNWOという言葉で表現されていたものがコロナ禍を経て“完成”する状態にほかならないーーそんなことを主張する人たちがいる。コロナ禍が体制としてのNWOからOWOへの過渡期だったというのだ。
もちろん、何の根拠もないままこんな壮大な話が語られているわけではない。まず大前提として挙げておきたいのは、NWOとOWOの一番の違いがデジタルテクノロジーであるとされている点だ。言葉を変えて、そして誤解を恐れずにいうなら、すでに基盤として構築されているNWOのあらゆる分野にデジタルテクノロジーを乗せていく過程がOWOということになる。実現するものとして挙げられているのは、以下の3点だ。
*人口削減
*資産上納制度の確立
*すべての行動のデジタル化
そして、これまでに存在してきた陰謀論と同じく、ひとつひとつを実現するための巨大なマシーンとして機能するのは国連であるとされている。グレート・リセットは、国連をエンジンとして推進される全世界レベルのプロジェクトであるというのだ。そのために、国連はインターネット網の完全管理を狙っているとする説もある。
国連とNWOが一体という陰謀論は昔からあったけれども、今は管理の方法論を完全デジタル化するという方向性で話が進み、OWOによって完全な体制が構築されようとしている。「デジタル・ワールド・ブレイン」と名付けられたシステムですべての事象とすべての人間の管理を目指す。これについては、2019年に取りまとめられた『The Age of Digital Independence』という報告書にまとめられている。
具体的な例を挙げておこう。AIによる機械学習の精度を高めるため、ハイテク企業がタスクフォースを組織してスカイネット的なネットワークの構築を目指している動きがある。
ロブ・ブラクスマンのYouTubeチャンネルでは、世界に名だたるハイテク企業が名指しにされ、映画『ターミネーター』シリーズに出てくる自我を持ったコンピューターシステム“スカイネット”が現実のものとなるプロセスについて詳しく解説している。
コロナ禍の非接触決済で一気に加速した電子決済は、ごく当たり前の日常の一部となった。スーパーでもコンビニでも、現金で支払っている人のほうが少ない。こうした状況の中、新経済システムの中核として中央銀行デジタル通貨の導入が近いといわれている。
このシステムが稼働しはじめたら、世界経済のすべてがごく一部のエリート層のものになってしまう。そのさきがけとなるのが、大統領令14067号。
内容は中央銀行デジタル通貨創設。発効するのは今年の12月13日。C-DAYと呼ばれるこの日、紙幣は無価値となり、米ドルが暴落するといわれている。
ただ、日本に限っては現金決済が中心であり続けるという見立てがある。今年の4月から実証実験が行われてきたが、近い将来において中央銀行デジタル通貨の導入はないという流れになっている。ということは、少なくとも経済的側面においては、日本がすぐにOWOに組み込まれることはないということなのだろうか。いや、安心はできない。一部企業では、給与の振込手数料がかさばることを理由に、電子マネーで支払うという方法論の討議が始まった。日本における中央銀行デジタル通貨導入の芽とならないとは断言できない状況なのではないか。
ひとことで言えば、OWOはデジタル技術による全体主義の具現化にほかならない。主義の具体的な名称こそ異なるものの、こうした枠組みは、日本のごく近くにある国ですでに確立している気がする。
もうひとつ、ぜひ触れておきたい事実がある。ジョージア州エルバート郡のエルバートンという小さな町にあったジョージア・ガイドストーンという立石のモニュメントをご存じだろうか。1980年に建てられ、“アメリカのストーンヘンジ”と呼ばれていたのだが、2022年7月6日の未明、何者かによって爆破されてしまった。
4つの古語と8つの現代語で人類保存のための10か条(ガイド)が刻まれているガイドストーンに対しては、新世界秩序(NWO)の象徴、世界政府設立への具体的なマニフェストであるという見方が根強く残っていた。アメリカ国内でハードな陰謀論者として知られるアレックス・ジョーンズは、ガイドストーンがNWOによる計画の存在証明だったと考えていた。
「構造そのものが持つ意味を考えてほしい。NWO思想の象徴的建造物であることは間違いないが、最も大切な要素は、それが発するメッセージだ。形があるものをあえて壊すことで、メッセージが広く伝わることを狙ったのかもしれない。つまり、今回の事件の本質はNWOの自作自演と考える」
自作自演とは、最初の地ならし的な段階が終了したことを示す行為を意味するのかもしれない。NWOの体制はすでに完成し、それを進化させたOWO時代の暁が訪れた。ジョージア・ガイドストーン爆破事件は、そういうエポックメイキング的な意味合いが込められているーーこういう締めくくり方は、あまりにも陰謀論的に聞こえるだろうか。
宇佐和通
翻訳家、作家、都市伝説研究家。海外情報に通じ、並木伸一郎氏のバディとしてロズウェルをはじめ現地取材にも参加している。
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