道頓堀のお笑いライブやお祭りに化けタヌキが紛れ込む? 田辺青蛙の「大阪タヌキ譚」めぐり
大阪の中心地、道頓堀周辺につたわる狸の伝説。現場を歩いてみると、今も街にとけこむユニークな狸たちの姿がみえてきた。
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新刊「教養としての最恐怪談」発売記念を大阪の梅田ラテラルで開催! 満員御礼の会場と複数のトラブルのギャップが奇妙な一日の模様を当事者・田辺青蛙が振り返る。
「教養としての最恐怪談」(吉田悠軌・著)は凄い本だ。誰もが知る怪談の定番の話、それがどこから来たのかどうやって広がっていったのかを、類話や歴史的背景を元に紐解きながら解説されていく。
取り上げられている怪談も、古典から最近話題の都市伝説系の話や神話と多岐にわたり、へえ、そうだったのかと読みながら何度も膝を叩いてしまった。
怪談好きでも、そもそも今もなお語られている話の原点がどこから来たのかは知らないことが多い。私もその一人で、最凶の怪談としても知られる小松左京の「牛の首」や「田中河内の介の最期」に纏わるエピソードはよくぞここまで調べたなと吉田悠軌氏の執念のようなものさえ感じた。
そんな著書のイベントの企画を「怪談五人羽織2024 鬼コワ怪談live2024東名阪ツアー」(2024年7月21日・日曜日)の来阪企画に合わせて打診してみた。
ところが、売れっ子の吉田悠軌氏は忙しく大阪の「怪談五人羽織2024 鬼コワ怪談live2024東名阪ツアー」を終えた翌日の午後には東京に戻らなければならず、イベントをするとしても午前中じゃないと難しいと言われてしまった。平日月曜日、その午前中の怪談イベントは、会場となるライブ・ハウス、梅田ラテラルでも前例がなく、集客は難しいだろうという意見があった。
しかし、最近個人的に吉田悠軌さんがキテると感じていたこともあり、朝9時開場、10時開演という前代未聞の企画を実行することにした。吉田悠軌氏は(担当編集者も)「朝だから、殆どお客さんは来ないだろう。配信があるので、そちらで見る人はいる」と予想していたようだが、嬉しいことにその予想は外れた。予約の時点で100人キャパの会場チケットは完売。売り切れた後も「当日券はあるだろうか?」「立ち見でもいいので行きたい」等の要望もあった程だった。
この結果は都市ボーイズのはやせやすひろ氏もゲストとして出演に快諾してくれたのもあるだろうが、やはり今吉田悠軌氏のブームは間違いなくキテいるようだ。
しかし、イベントの開始前にアクシデントが発覚してしまった。
『教養としての最恐怪談』発売記念のイベントなのに、その書籍が会場に届いていなかったのだ。これには編集担当者のM氏も顔が青くなっていて、方々に問い合わせてみたが、書籍の行方はわからず開始時間が迫っていた。書籍の販売も兼ねた出版イベントなのに、物がないとは……どうすればよいだろうと考えた。仕方ないので咄嗟のアイディアで、コンビニに行って、子供用のお絵描き帳と折り紙を購入し、それに吉田悠軌氏がサインを書いてを配り、受け取った人は本を買ってこれを挟んで下さいとアピールすることとなった。
アクシデントは続くもので、イベントが始まり乾杯の音頭を取った瞬間、その日の朝から新幹線が止まったことを知った。原因となったのは、豊橋駅と三河安城駅の間で線路のメンテナンスなどを行う保守用の車両が衝突、脱線したことによるもので、ニュースサイトをその場でスマートフォンから確認すると、復旧作業は夕方までかかると見られ、22日中の運転再会見込みは立っていないと書かれていた。
吉田悠軌氏の顔色が流石に一瞬変わったように見えたが、しかしベテランの意地を見せ、その後もはやせやすひろ氏と共に軽快なトークを繰り広げた。
東京での都市伝説と、岡山の土着伝承との差異や実は誰もが知る都市伝説が、神話をルーツにした話だったり、陰謀論と絡みあっているなど、はやせやすひろ氏とバチバチと戦うように情報戦の怪談合戦が進み、思わぬアクシデントに見舞われたイベントは大盛況のうちに終了となった。
その後、新幹線は終日運休が決定し、はやせやすひろ氏はどうせ東京に戻れないならとUSJに観光へ向かい、吉田悠軌氏は高速バスや臨時便などでの移動手段を編集者と共に探しててんやわんやの状況だった。結果、吉田悠軌氏は翌日の始発で東京に戻ると決め、同じよう新幹線の不通により帰れないため大阪の町をさまよっていた怪談作家の夜馬裕氏を呼んで、宿泊費用代を捻出すべく追加イベントを急遽開催することに決まった。
追加イベントの決定は夕方の17時30頃で、スタートは19:30分。告知から開始までの時間が殆どないので、これは流石に無観客の可能性もあるなと思っていたのだけれど、やはりキテいる吉田悠軌氏何名ものお客さんが、告知を見て訪れてくれた。しかも配信もあっという間に50名を超え、なんとか宿泊費は確保出来るかたちとなった。
午後の追加緊急イベントは、夜馬裕氏だけでなく「怪異をつくる: 日本近世怪異文化史」の著書でも知られる、東アジア恠異学会所属の歴史学の博士、木場 貴俊氏が客席かた飛び入り参加したこともあって午前中のイベントとは打って変わってかなりアカデミックな内容となった。
吉田悠軌氏が長年研究のテーマの一つにしている、赤い女と姑獲鳥の関連性についてや、写真の怪異について、マスメディアがどのように怪談の伝播に影響を及ぼしたかを、専門家の木場氏と語り合い、その合間合間にキーワードから連想される怪談を夜馬裕氏が絶妙のタイミングで挟むという内容で、私は思わず壇上にいながら言葉を発することが出来ず、聞くだけの立場となってしまった。
午後の追加イベントの終了は21時30分で、丁度朝の企画の開始から12時間後だった。
みな、疲れ切っているけれど妙に明るい表情なのは突然の告知にも関わらず会場に駆けつけてくれたお客様や、配信チケットも好調だったからだろう。
呪われたようにアクシデント続きの大阪イベントだったけれど、今後の怪談活動について真剣に考える切っ掛けとなる充実した内容だった。
今キテいる吉田悠軌氏の活動からは今後ますます目が離せなくなりそうだ。
田辺青蛙
ホラー・怪談作家。怪談イベントなどにも出演するプレーヤーでもある。
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