テキサーカナに魚の雨が降った話など/南山宏のちょっと不思議な話
「ムー」誌上で最長の連載「ちょっと不思議な話」をウェブでもご紹介。今回は2024年7月号、第483回目の内容です。
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「ムー」誌上で最長の連載「ちょっと不思議な話」をウェブでもご紹介。今回は2024年8月号、第484回目の内容です。
タイのプロ賭博師モンクット・ブンマ氏(仮名)が、チョンブリー県の外科医ワット・ルン博士のもとを訪れた目的は、人生初の海外旅行を控えて、手指の先端に40年も昔埋め込んだ〝隠し磁石〟を取り除いてもらうためだった。
隠し磁石とは、サイコロのほうにも密かに仕込まれた同種の隠し磁石と連動させ、イカサマ賭博を実行する秘密の仕掛けのこと。
「オッディティ・セントラル・ドットコム」2023年4月27日付によれば、この磁石が国際空港の税関通過時に発見されないようにするためには、さすがのイカサマ師も長年お世話になったインチキの仕掛けを、泣く泣く手離すほかなかったのだとか。
英リゾート地ブラックプールのアダム・クラーク氏が、愛娘アリシアのために、人気犬種ラゴットロマニョーロ種の生後まだ10週間目の可愛い仔犬を購入した。
さっそくオリーと命名して、初めての散歩に連れだしたところ、10分後になぜか突然、オリーが足を止めて地面を掘りはじめ、まもなく時価総額5900ポンド(約119万円)相当のソヴリン金貨15枚を掘りだした!
クラーク氏は満面の笑みを浮かべて、次のように語った——
「オリーは2000ポンドで購入した。したがってプラスマイナス約4000ポンドの儲けっていう計算になるわけだ!」
米ロードアイランド州ナンタケット沿岸のリゾート客たちは、海面にプカプカ浮かんでいる白い長方体にびっくりした。
やがて海辺に流れ着くと、正体は冷凍庫で、ドアを開けると中にはアイスクリームカップがぎっしり詰まっていたが、もはや食べられる状態ではなかった。
冷凍庫はどこのだれの所有物か、どうして海中に落ちたのか?
だが、「ナンタケットカレント・ドットコム」2022年8月5日付によれば、なぜか遺失物届はどこからも出ず、落とし主はわからずじまいに終わった。
その日フランスはパリのルーヴル美術館を訪れた見学客たちは、まさに度肝を抜かれるような異常な行動を目の当たりにした。
老女に変装していた車椅子の男がやにわに立ち上がるや、手中のケーキひと切れをレオナルド・ダヴィンチの名画『モナリザ』めがけて投げつけたのだ!
ケーキは狙い違わず、びしゃりとモナリザの顔面に命中した。それを見届けてから、男はほかの観客たちに向き直ると、今度は薔薇の花の塊りを抛り投げた。
女の鬘をつけ、口紅を塗った男は、たちまち警備員たちに取り押さえられたが、引きずられていきながらも、懸命に叫んだ。
「地球のことをもっと考えろ!」
後日、パリ検察庁の報道担当官は、記者たちにこう報告した。
「犯人は36歳の男で、現在当局の精神科病棟で取り調べ中です」
襲撃された肝心のモナリザの絵は、その後どうなった?
どうかご安心を。じつは1950年代に〝硫酸攻撃〟事件が起きて以来、防弾ガラスのボックス内に密封されているので、どんな攻撃にもビクともしない。
ただし、2022年5月30日付「BBCニュース」によれば、防弾ガラスに投げつけたケーキのクリームが付着して、ちょっと汚れてしまったそうだ。
ハワイ島きっての聖地ワイピオ渓谷を流れる多数の小川のうちの1本は、なぜかビールの香りを強く漂わせ、実際にもアルコール成分が1・2%(ほかに糖分も0・4%)ほどが検出されている。
環境活動家キャロル・コックスさんによると、この小川は〝3日か4日オープンしなかったパブ〟みたいな匂いがするという。
このアルコール成分は、近くの飲料会社「パラダイス・ベバレッジ」の飲料保管倉庫に接続された排水溝からどうやら漏れでたものと見られるが、どうして漏出するのかは説明がつかず、関係者も当惑しているという。
もしやと密かに期待した地元住民が大いに落胆したことに、2021年11月11日付「ハワイニュースナウ」によれば、権威当局はアルコール流出を止めるため、排水管の閉鎖を命令した。
オーストラリア版ビッグフットのヨウイーを、現地のUMA研究家がばっちり撮影に成功した!
ブラッド・キッド氏は超自然ないし超常的生物ならネッシー型怪獣から魔女まで、幅広い範囲にわたる正体不明生物のマニア兼自称ハンターだが、このほど念願叶って長年捜し回ってきたヨーウィを初目撃。すかさず激写した。
公表された写真では、鬱蒼とした灌木の茂みに頑丈そうな上半身が立っているが、あいにく日光を背にするためか、全体が黒く陰って細部が見えないのは残念だ。
それに撮影拠点の自分の隠れ家がバレるのは困るので、正確な地点までは明かせないとか。
「デイリースター」紙2022年8月16日付によれば、結局、ネッシー同様、ヨーウィもいるかいないか不思議なままの存在として続くらしい。
イタリアの名観光地ヴェネツィアの、とくにゴンドラで有名なカナルグランデ(大運河)沿いの一流ホテル群では、従業員はもちろんホテル客たちにまで、ここ数年オレンジジュース入りの水鉄砲で〝武装〟してもらっている。
理由はこの街の至る所にいる貪欲な鴎たちの〝公害〟だ。といっても、いわゆる糞害ではない。
戸外レストランで客たちが楽しむ料理を餌として狙い、しばしば体当たり的に飛び込んでくる。
だが、2022年3月22日付UPI電によれば、グリッティホテル総支配人のパオロ・ロレンツォーニさんはこう証言する。
「鴎はオレンジ水が大嫌いなようで、今ではテーブルに水鉄砲が置いてあるだけで逃げ去ります!」
南山宏
作家、翻訳家。怪奇現象研究家。「ムー」にて連載「ちょっと不思議な話」「南山宏の綺想科学論」を連載。
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