満蔵寺の「河童の手」御開帳! レントゲン写真でわかった正体と洪水伝説
茨城県土浦市佐野子に残る河童伝説。今も満願寺には、河童の手のミイラが大切に保管されている。その"河童の手"の正体と地域に伝わる河童伝説を検証する。
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アリ・アスターやジョーダン・ピール、サム・ライミ、スティーウヴン・スピルバーグら名匠も絶賛した傑作ホラー映画が日本上陸!
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「TALK TO ME」(トーク・トゥ・ミー)は、ここ数年で話題作を連発しているアメリカの映画配給・製作会社「A24」が放つ新世代ホラー映画だ。アリ・アスターやジョーダン・ピール、サム・ライミ、スティーウヴン・スピルバーグら名匠も絶賛し、全米で「A24」ホラー史上最大のヒットとなった本作が、ついに日本にも上陸! 2023年12月22日(金)から全国の映画館で公開される。
実際に観てみると、なるほど、細かいホラー要素は古くからあるが、全体では今どき感のある映画だった。簡単に言うと、「呪物」や「憑依」などおなじみのオカルト的要素と、SNS時代を生きるティーンエイジャーの人間関係が同居していて、むしろ後者の方に見応えがあるのだ。ネタバレしない程度に詳しく紹介していこう。
本作のストーリーはこうだ。
主人公は、17歳の女子高生・ミア(ソフィー・ワイルド)。母(アレクサンドリア・ステファンセン)を謎の自殺で亡くした痛みを抱え、父マックス(マーカス・ジョンソン)とも気まずく、寂しさの中で日々を過ごしている。そんな彼女が唯一心を許せるのは、近所に住む親友のジェイド(アレクサンドラ・ジェンセン)と、その弟ライリー(ジョー・バード)、その母親スー(ミランダ・オットー)の一家だけ。
ある時、高校の同級生たちの間で、降霊を楽しむ「#90秒憑依チャレンジ」がSNSを中心に流行っていると知ったミアとジェイドは、興味本位でその集まりに参加する。降霊のルールは簡単。呪物の「手」を握って、「Talk to Me」と唱え、霊を体内に招きいれるだけ。ただし、90 秒以内に手を離すことで霊を祓わなければ、自身の中に霊が居座り永久に支配されてしまうという。
どこかいけないことをしているスリルと背徳感、そして高揚感が病みつきになり、ミアはたちまち「憑依チャレンジ」の虜になる。ところが、そこにライリーが参加して霊を憑依させた瞬間、ミアの母親を名乗り始める。亡き母と繋がりたい一心で、90秒ルールを破ってしまうミア。
するとライリーは邪悪な魂に支配され、自らを激しく傷つけ失神してしまう。病院に運ばれたライリーはなんとか一命をとりとめたものの、昏睡状態に。ジェイドとスーに責められ、拒絶されるミア。唯一の心の拠り所を失い、恐怖と孤独感を募らせたミアは、次第に追い詰められていく――。
本作で長編監督デビューを飾ったのは、登録者数679万人(2023年10月2日現在)を誇るYouTube チャンネル「RackaRacka」を運営する双子のYouTuber、ダニ―&マイケル・フィリッポウ。本作の成功で一気に注目を集め、A24製作で続編「Talk 2 Me」も決定。さらに人気ゲーム「ストリートファイター」の実写化の監督にも大抜擢されている。
ちなみに本作、2023年7月28日に北米で公開されると、同じA24のヒット作である「ミッドサマー」の約1.6倍のオープニング興収を叩き出し、さらに「ヘレディタリー/継承」の興収4406万ドルを越えて、A24ホラー史上最高の北米興収となる4810万ドルを記録したという(Box Office Mojo、2023年10月12日時点)。加えて、イギリス、フランス、シンガポール、スウェーデンで公開初週にトップ10入りを果たすなど各国でもヒットしている。
本作は、西洋の「憑依モノ」ということで、映画「エクソシスト」に代表される悪魔的なものの降霊イメージが受け継がれている。
一報、若者が軽い気持ちで「霊と遊ぶ」という面で、日本人は「コックリさん」を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。主人公ミアの母親が出てきた時点で、呼び出されるのは「死者の霊」であることも仄めかされており、日本人が身近に感じられるイタコ的な憑依として描かれている。
また本作では、憑依されている本人側の目線を極力排除し、あくまでも周囲にいる人間からどう見えるのかを映している。ミアは、自身が憑依されている最中の感覚を「何でも見えて聞こえるけれど、助手席にいる感じ」というセリフで表現する。憑依による万能感はありつつも、その最中、自分には主導権がないというのが伝わってくるセリフだ。
そんな霊に乗っ取られた憑依中の人物を、周囲にいる仲間たちはスマートフォンのカメラで撮影して、その動画をSNSに投稿していく。それが「#90秒憑依チャレンジ」として若者の間で話題になっているという設定だ。降霊を目撃して恐れたり神に祈ったり戦ったりするのではなく、とりあえずスマホで動画を撮ってSNSで拡散するというのが、いかにも今どきらしいユルさで良い。
そういった今どき感と真逆なのが、「手首の呪物と握手する」という行為である。
この呪物については、作中で「超能力者の手を切り、衛生保全(エンバーミング)したもの」「外側はセラミックで覆われていて、中に本物の手が入っている」「手の持ち主は悪魔崇拝者で、死者と交信できたことで恐れられて手を切られた」という説明があり、従来のオカルト要素をたっぷり入れ込んできた感がある。
そう、「切断された手首」というモチーフ自体は、昔からオカルト文脈でしばしば登場する。
有名なところだと「ハリー・ポッターと秘密の部屋」で魔術道具として出てきたりしているが、実際に昔のヨーロッパでは、絞首刑にされた罪人の手首を切り落として蝋化した「Hand of Glory(栄光の手)」という呪物が存在した。諸説あるが、しばしば左手から作られたそうで(ラテン語の左=sinisterは「悪魔」を意味する)、黒魔術の儀式に使われたとされている。ちなみに「TALK TO ME」に出てくる呪物も左手だ。
そのほか、手首に単体で意志があるというと、ホラーコメディ映画「アダムス・ファミリー」の執事(その名もハンド、英語版ではThing)を思い浮かべる人もいるかもしれない。そんな感じで、人間の手首はどうも昔からオカルト界隈の琴線に触れるパーツなのだ。監督のフィリッポウ兄弟には、「令和の手首モノを作ってくれてありがとう」という思いも抱く。
憑依遊びに夢中になり、そのどこかいけないことをしているドキドキ感に依存してしまう若者たちの様子は、現実世界における若者のドラッグ依存も想起させる(実際、劇中でもドラッグの使用を疑われるシーンがある)。
主人公のミア単体をとっても、「同級生の集まりで少し浮いてしまう」とか「自分の元彼が親友の今彼」といった今どきの人間関係と、「突然亡くなった母親への葛藤」が、同列とは言わないまでも交互に出てきて悩むところに、何とも言えぬティーンエイジャーらしさがある。
監督フィリッポウ兄弟も「10代の若者が自分の感情をどう対処したら良いのか分からず葛藤し、そのはけ口を見つけようとして混乱する姿を真摯に描いています」とコメントしており、作品としてのテーマはそこなのだろう。それが、呪物や憑依といったおなじみのホラー的イレモノの中で描かれることで、オカルト界隈に住む我々の視界に入ってきてくれたことが嬉しい。というわけで、「手首モノ」にピンと来てしまう方は、ぜひ映画館で何かにつかまれてほしい。
<公開情報>
「TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー」
2023年12月22日(金)丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
PG12
© 2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia
杉浦みな子
オーディオビジュアルや家電にまつわる情報サイトの編集・記者・ライター職を経て、現在はフリーランスで活動中。
音楽&映画鑑賞と読書が好きで、自称:事件ルポ評論家、日課は麻雀…と、なかなか趣味が定まらないオタク系ミーハー。
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