聖地リシケシでガンジス川に祈る儀式「ガンガー・アールティ」に参加! 混沌のインドに住まう神々の偉大な存在感/ムー旅インド

文=遠野そら

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    ムー旅インドで訪れたのはヨーガの街リシケシ。雄大なガンジス川で体験した礼拝の儀式と沐浴体験をレポート!

    ムー旅インドでリシケシへ

     長い歴史の中で多様な文化と宗教が多層化した国インド。「ムー旅」取材班はメキシコに続いてインドに到着。神々への深い信仰の一端に触れるべく、首都「デリー」の他、ヨーガ発祥の地でありヒンドゥー教における聖地のひとつである「リシケシ」へと向かうことになった。果たしてムー旅インドではどのような謎に出会えるのだろうか。

     多くの神々を愛すヒンドゥー教徒において、最も重要な聖典のひとつとされるのが、インドの二大叙事詩『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』(インド叙事詩)である。現代のインド宗教や哲学にも大きな影響を与えたというインド叙事詩であるが、その舞台となった場所は聖地化され、今なお世界各地から多くの巡礼者が集まるとされる。

    リシケシの中心を流れるガンジス川。

     首都・デリーから鉄道で約6時間、約240キロ離れた場所に位置する「リシケシ」もまた聖地として広く知られる町である。ここは三柱の一神「シヴァ」とその妻「パールヴァティー」、愛の神様としてインドで最も人気のある神「クリシュナ」にまつわる聖地が点在しており、古くは毒を飲んだシヴァ神がこの地で瞑想をしたことからヨーガ発祥の地でもある。町の中央には雄大なガンジス川が流れ、沐浴をする人々や瞑想をするヨギーやサドゥー(修行者)の姿も多い。首都デリーと比べて、空気が清麗に感じるのは気のせいではないだろう。

    木陰で休むサドゥーたち。町全体がベジタリアンでレストランにはアルコールもない。

    ガンジス川の神、ガンガーへの礼拝

    「すべての罪を流し、あらゆる穢れを浄める」とされるガンジス川。ヒンドゥー教徒が輪廻(りんね)からの解脱(げだつ)を願い、ガンジス川へ遺灰や遺体を流すのは広く知られている。
     リシケシでは現地のガンガー(ガンジス川の女神)へ信仰にふれるため、祈りの儀式「ガンガー・アールティ」にも参加した。これはリシケシのみならずガンジス川のガート(沐浴場)で毎晩行われる聖なる火の儀式である。

    陽が落ちたころ、ガンジス川の沐浴場で祈りの儀式「ガンガー・アールティ」が始まる。

     ヒンドゥー教においてガンジス川とは、焼き殺された6万人の王子たちの魂を浄化するため、天界から地上に注がれた聖なる川であり、ガンガーは神格化されたその女神である。そして天から降りる際に、ガンガーを髪の毛で受け止めたのが破壊神シヴァだ。

     著者が参加したのは5人のバラモン(僧侶)によるアールティで、大きく火がついた燭台を手に力強く舞う姿は幻想的で、祈りの言葉を唱えながらお香や鐘、ローズマリーの花びらをガンガーに捧げる様子はここでしか見ることができない美しさがあった。途中でシヴァ神への音楽が大音量で流れ始めると、大きな声で歌う人や、メロディに合わせ手拍子を取る人もいて、ちょっとしたコンサート会場のような盛り上がりである。
     意外だったのは、儀式の様子を撮影したり、ビデオ通話などで中継する人の姿も多く、川の上からドローン撮影する人までいた。神聖な儀式ではあるが、排他的ではなく異教徒も受け入れる。雄大なガンジス川のようなおおらかさを感じる場であった。

    沐浴という信仰習慣

     インド出発前、知り合いから「リシケシはガンジス川の上流になるので川水はキレイ」と聞いていたが、時期によるか、先週の大雨の影響か、著者が訪れた時のガンジス川は、茶色く濁り、川流れも驚くほど速い。とはいえどこのガートも柵やチェーンが設置されており、人々は超ハイスピードの流れるプールのように、キャーキャー言いながら沐浴を楽しんでいた。てっきり皆、神妙な面持ちで沐浴をしているものと思っていたが、意外と水遊びのような感覚である。
     しかしその所々で、手のひらにすくったガンジスの水を体が不自由な祖母へと運ぶ少女や、ガンジス川に向かって祈りの言葉を叫ぶ若者、初めての沐浴で髪の毛を剃る赤ちゃんの姿などがあった。

    愛の女神クリシュナが傷を癒やしという伝説のあるトリヴェニ・ガート

     ヒンドゥー教徒の根本にあるガンジス川への信仰。彼らにとってガンジス川の水は、神の体に触れた特別な水であり、リシケシだけでなく、デリーのヒンドゥー寺院でも聖水として大事に崇められていた。そのためガンジス川へは軽い気持ちで足を入れてはいけないような気がしていたのだが、現地ガイドから礼拝のマナーを教えてもらい、沐浴を体験することに!

    瞑想するシヴァ像が鎮座するパルマート・ニケタン・ガート。季節を問わず多くの巡礼者が訪れるそうだ。

     沐浴する最初の手順として、ガンジスの水を口に含むのには少しだけ抵抗があったが、いざ川へと入るとその清涼な冷たさはインドの暑さでのぼせた体の熱がすっと引いていくようである。だが少し気を許すと、押し流されてしまうほど流れが強く、なかには必死にチェーンにしがみついている人の姿もあった。

    カメラマンのモノガタリ木村氏は頭までザブンと浸かり、器用に泳いでいた。
    沐浴する筆者・遠野そら。

     沐浴については色々な話を聞くが、著者は帰国後も特に体調に変化はなかった。だが、沐浴時に着用していた白いクルタは茶色く染まり、洗濯しても水たまりに浸かったような色が落ちないでいる……。もちろん個人差があるとは思うが、著者にとって沐浴はヒンドゥー教の敬虔な信仰に触れる非常に貴重な経験であった。

     ガンジス川で浄められたムー旅取材班。ムー旅インドのレポートはまだまだ続く!

    遠野そら

    UFO、怪奇現象、オーパーツなど、海外ミステリー情報に通じるオカルトライター。超常現象研究の第一人者・並木伸一郎氏のスタッフも務める。

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