米国で襲撃相次ぐUMA「フォウク・モンスター」とは!? 3本指の凶悪獣人の恐怖/ブレント・スワンサー

文=ブレント・スワンサー

関連キーワード:

    ミステリー分野で世界的な知名度を誇る伝説的ライター、ブレント・スワンサーがついに『ムー』に登場!! 日本人がまだ知らない世界の謎について語る!

     私たちの世界には、人里離れた暗闇の隅を徘徊する謎めいた獣が数多く存在すると言われている。私たちの理解を超え、私たちが理解していると思っていることの周辺に潜んでいるものだ。ここでは、ビッグフットの亜種か分派のようなもので、その正体が解明されていない存在を取り上げる。

    「フォウク・モンスター」の怪

     アメリカ・アーカンソー州の荒野、ミラー郡にある小さな田舎町フォウク(Fouke)の周辺は、古風でのどかな場所である。誰もが顔見知りで、治安もよく、人々はドアの鍵を開けっ放しにしているような場所だ。しかし、ビッグフットの流れを汲む、巨大で毛むくじゃらの生き物が出没する場所であるとも言われてきた。

    フォウク・モンスターの壁画 画像は「KTBS」より引用

     通常、身長は7~8フィート(2.1~2.4メートル)で、信じられないほど長い腕を持ち、非常に素早く「疾走するような歩き方」をし、光る非常に大きな目を持ち、黒から赤みがかった長い毛に覆われていると言われ、濡れた犬のような臭いがすると言われている。

     また、かなり攻撃的な毛むくじゃらのヒト科動物であり、地元の伝承と絡み合って、この「フォウク・モンスター」は今日に至るまで未確認動物学の中で大いに議論されるようになった。

    「ジョーンズヴィル・モンスター」と同一か?

     もともと「フォウク・モンスター」は、少なくとも1800年代からルイジアナ州東部のジョーンズヴィルとボギー・クリークの地域で目撃されており、1940年代には「ジョーンズヴィル・モンスター」として知られていた。

     1950年代には、赤茶色の髪をした巨大な二足歩行の生物が歩き回っているのを見たという14歳の少年の報告や、川で手を洗っている大きな“ゴリラのような”生物を目撃したという猟師の報告など、いくつかの目撃情報があった。

     1960年代には、1965年にリン・クラブツリーという少年が、その生き物を撃ったことがあるとまで言っている。また、10代のウィリアム・ランスフォードが経験し、数年後まで報告されなかった遭遇があった。当時、彼は釣りをしており、道路沿いの木の陰から、何かが自分を見ていたと主張している。ランズフォードは目撃談をこう語っている。

    「そいつは道路の脇にいた。しゃがんで、顔の前に枝を持っていた。そして立ち上がった。手足を持ち上げて、そのまま立ち上がるんだ。彼は立ちすくみ、振り返り、そしてただ素早く。2歩で森の中に入っていった」

    イメージ画像:「Adobe Stock」

     また、1960年代にスモーキー・クラブツリーという地元の人物は、夜になると獣が自分の敷地に潜み、得体の知れない悲鳴をあげて飼い犬を怖がらせていたと主張している。

     他にも、1967年にティーンエイジャーのグループがハイウェイ沿いを走る毛むくじゃらの背の高い二足歩行の生き物を目撃したケースや、1969年に4人家族がハイウェイ沿いをドライブ中、毛皮のコートを着た男を発見したが、泥にまみれた猿のような獣だったケースなどもある。その獣は、ヘッドライトの光から目を遮るために巨大な腕を上げ、森の中へと去っていったらしい。

    フォード夫妻を襲った恐怖

     しかしその後、同様のモンスターの目撃報告はアーカンソー州に移っていく。

     アーカンソー州の森や沼地を徘徊する奇妙な生き物の目撃情報が相次ぐきっかけとなった最も有名な報告は、おそらく1971年5月のボビー・フォードとエリザベス・フォードという夫婦のものだろう。

     フォード夫妻は、その前の週にフォウクにある家に引っ越してきたばかりで、事件があった時、ボビーは兄のドンと一緒に周辺の森に狩りに出かけていたという。しかしその途中、家の近くからフォード夫人の悲鳴が聞こえ、急いで家へと戻った。

     家に着くと、巨大な毛むくじゃらの猿のような生き物がうろうろしており、2人は謎の怪物に発砲した。フォードによると、怪物は夜の闇に消えていったが、少なくとも1回は命中させたという。

     しかし、翌日の夕方、フォードが自宅のポーチに立っていると、その怪物が再び現れ、彼に突進してきた。フォードは、獣につかまれ、その後、パニックになり、玄関のドアを破って家の中へと逃げるしかなかった。フォード自身は、この襲撃で背中にひっかき傷を負い、入院したとのことだ。

    イメージ画像:「Adobe Stock」

     後に、フォードの妻は、彼女が悲鳴を上げたのは、昼寝をしている間に窓から獣が手を伸ばしてきたからだと主張している。しかし、通報を受けた当局が付近を捜索しても血痕は見つからず、ポーチに怪物がつけたと思われる傷があった以外は、怪物がそこにいたことを示すものは何もなかった。

     このフォードの証言は「テキサーカナ・ガゼット」紙と「テキサーカナ・デイリーニュース」紙に取り上げられた。記者のジム・パウエルが取材に行った時、この森の怪物を前にして身の危険を感じたフォード夫妻は家を出て行くところだった。フォード夫妻の事件に関する記事は広く報道され、話題となり、やがてこの地域に潜む毛むくじゃらの巨獣についてあらゆる噂が囁かれるようになった。

    「ボギー・クリークの獣」として大ブームに

     たとえば1971年5月23日、D.C.ウッズ・ジュニア、ウィルマ・ウッズ、R.H.セドガス夫人の3人がハイウェイ71号線を車で走っていたところ、目の前を猛獣が横切っていったという。また、フランク・シャンバックという考古学者の証言もあり、彼は同時期にこの地域で奇妙な3本指の足跡を調査している。

    3本指の足跡 画像は「Texarkana Gazette」より引用

     1970年代初頭には、他にも多くの報告が寄せられ、カルト的人気を誇る未確認動物学の映画(擬似ドキュメンタリー・ホラー作品でもある)『ボギークリークの伝説』(1972年公開)の原作として使われるまでになった。

     その間、保安官事務所は怪物をハンティングしようと試みる者に警告を発したが、それでも多くの地元住民が怪物と遭遇している。あるいは、その犠牲者と思われる切り刻まれたペットや家畜を発見したと主張した。怪物には懸賞金までかけられ、警察は武器を持って歩き回る人々の取り締まりに苦労した。

     何人かのデマ投稿者も逮捕され、当時は大騒ぎになった。すべてがデマだと騒ぐ者も多かったが、それでも報告は寄せられ、奇妙なことに足の指が3本しかない足跡も多く発見された。しかし、1974年までには目撃情報は沈静化し、「ボギー・クリークの獣」は人々の意識から薄れていった。

    現在まで続く「フォウク・モンスター」の恐怖

     1978年、アーカンソー州ラッセルヴィルで、怪物が残したとされる新たな足跡が発見され、事態は再び面白くなってきた。さらに、アーカンソー州センター・リッジとクロセットで連続して獣の目撃情報が数件あり、この怪物への関心が再燃した。

     ペットや家畜が行方不明になったという報告も何件かあり、非常に大きく力強いものに襲われた犬が怪我を負ったという報告もあった。1980年代に入っても遭遇は続き、散発的な目撃情報は近年まで続いている。特に1991年には、橋から飛び降りる姿が目撃され、1997年と1998年だけで40件もの目撃情報が相次いだ。

    画像は「Atlas Obscura」より引用

     2000年代に入ってからも「フォウク・モンスター」の目撃情報はあり、道路沿いでの遭遇も目立っている。2011年にはある夫婦が、髪の毛に土やゴミがこびりつき、おぞましい悪臭を放つ、ずんぐりとした毛むくじゃらの生き物が車の前を横切るのを目撃している。

     ヘザー・オーウェンズという目撃者の報告も2011年のもので、彼は夜、ウィリアムズ・ロードという場所を車で走っていたところ、畑の干し草の俵の陰から、身長8フィート(約2.4メートル)の毛むくじゃらの怪物が立ち上がり、彼女を睨みつけたという。翌2012年9月、今度はフォウク近くの州道237号線沿いで、車の前を横切る姿が目撃された。

     2017年には、夕暮れ時にフォウクの南の道路を車で走っていたカップルが、道路脇の木の近くに「本当に背が高く、毛むくじゃらの人間のような姿」が立っているのを見た。2018年には、トラックの運転手が、不思議な生き物がハイウェイ71を横切り、そのまま空いている車線のひとつを走って森の中に逸れて消えていくのを見た。どちらのケースでも目撃者は、人や熊を見たのではないと断言している。

    正体に関する考察

    イメージ画像:「Adobe Stock」

     このような経緯から、「フォウク・モンスター」や「ボギー・クリークの獣」の正体について、さまざまな憶測が飛び交っている。しばしば発見される3本指の足跡を考えると、これは怪我をしたか、あるいは奇形のビッグフットか、あるいは近親交配した生物の個体群か、あるいは未知の何かだろうと推測されている。

     また、これらはすべて純粋な伝説、デマ、過剰な想像に過ぎないという考え方もあるが、確かめる方法はない。今では、フォウクのいたるところにフォウク・モンスターに捧げられた看板や記念品があり、普段は静かで何の変哲もないこの町の名声となっている。結局のところ、「フォウク・モンスター」や「ボギー・クリークの獣」は地元の言い伝えとして定着しており、すぐには消えそうにない。実在するかどうかは別として、そこに住むすべての人々の想像の中をさまよい続けているのは確かなようだ。

    Brent Swancer(ブレント・スワンサー)

    豪ミステリーサイト「Mysterious Universe」をはじめ数々の海外メディアに寄稿する世界的ライター。人気YouTubeチャンネルの脚本、米国の有名ラジオ番組「Coast to Coast」への出演など、多方面で活躍。あらゆる“普通ではない”事象について調査・執筆・ディスカッションを重ねる情熱と好奇心を持ちあわせる。日本在住25年。『ムー』への寄稿は日本メディアで初となる。

    関連記事

    おすすめ記事