人類滅亡の瀬戸際!? 「人類絶滅」を予言する最新科学/MUTube&特集紹介 2023年4月号

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    人類絶望へのカウントダウンを科学の視点から考察した本記事を三上編集長がMUTubeで解説。

    終末まで過去最短の90秒前!

    「終末時計(doomsday clock)」をご存じだろうか?
     1947年にマンハッタン計画に参加した科学者たちが、核戦争までのカウントダウンを警告するために、毎年1月に発表した企画で、人類滅亡までに残された時間を示す。今年1月に発表された終末時計は、過去最短の90秒前まで進んだという。2020年から2022年まで100秒前が続いていたので、記録更新である。ロシアとウクライナの戦争は、かなりの確率で核戦争に発展すると科学者は見ているのだ。
     核戦争はすべてを破壊する。
     これまでの、大砲やミサイル、戦車など通常兵器での戦争では、文明が崩壊することはあっても、その文明を作った人々がすべていなくなることはなかった。ところが核戦争の場合、文明崩壊どころか人類、いや生命体が地球上からいなくなってしまう。
     今から80年近く前、水爆の父であるエドワード・テラーは、自分の計算結果に愕然としたという。
     一発の核爆弾の爆発が報復と攻撃の連鎖反応を引き起こし、文明どころか地球上のすべての環境も生命も吹き飛ばしてしまうことを示していたからだ。
     原子爆弾の開発を指揮したオッペンハイマーはいった。
    「われは死なり、すべてを破壊する者なり」

    人類を待ち受ける12のリスク

     2015年2月にオックスフォード大学などの研究者らが、『人類文明を脅かす12の危機=12Risks that threaten human civilization』というレポートを発表した。
     それによると現在進行中のリスクとして、極端な気候変化、核戦争、世界規模のパンデミック、生態系の崩壊、国際的なシステムの崩壊があり、外因として巨大隕石の衝突、大規模な火山噴火、新たなリスクとして、合成生物学(人工ウイルスの製造など)、ナノテクノロジー、人工知能、その他のまったく未知の可能性が挙げられている。12番目が政治の失敗による国際的影響で、最後のリスクが一番高そうだが、なにせ私たちを取り巻く環境は非常にタフなのだ。
     隕石が落ちてきて絶滅などということも、ないわけではない。
     2013年にロシア・チェリャビンスク州上空で、隕石が空中爆発した映像に震えた人は多いだろう。直径15メートルの隕石が上空約45キロから28キロで空中爆発、衝撃波で民家の窓が割れるなどの被害が出た。
     殺人ウイルスはエボラ出血熱からデング熱、SARS、コロナまで、この20年、毎年といっていいほど致死率の高いウイルス性の病気が各地で猛威を振るっている。
     島原や雲仙岳の火砕流の記憶は今も生々しいが、阿蘇山が噴火すると日本は壊滅するといわれている。
     阿蘇山は9万年前に大爆発を起こし、現在の形になった。
     仮に今、同じ規模の爆発を起こしたとすると、阿蘇山周辺に住む700万人は火砕流でほぼ即死、大阪近郊まで50センチ、東京でも20センチ以上の火山灰が降り積もり、日本における社会インフラは完全にマヒする。被災者は1億人を超え、実質的に日本という国は壊滅するのだ。
     日本には、阿蘇山のように壊滅的な大噴火を起こす巨大カルデラ火山が複数あり、一部の学者は100年以内にいずれかの爆発が起きる確率を1パーセントと見積もっている。

    フカヒレを食べると海はクラゲだらけに!

     国連が警告しているのは地球温暖化とそれに伴う地球規模の危機だ。
     地球温暖化が人間の排出する二酸化炭素のせいなのかはともかく(気候変動の正体には、いまだ未知数の部分がある)、温暖化が起きているのは事実だ。温暖化が進むことで、海水温度が上がり、あきらかに世界中で例のない異常気象が増えている。
     このまま、気候変動が続くとどうなるか? オーストラリア・フリンダース大学のコーリー・ブラッドショーらのチームは、現在、4万2100種が絶滅の危機に瀕しているとしている。 生物は複雑に連鎖している。『捕食者なき世界』(ウィリアム・ソウルバーグ/文春文庫)は、大型肉食獣を絶滅寸前まで追い込んだ現代では、生態系が大きく変わり、人間の生活が追い詰められつつあることをレポートした良書だ。
     食物連鎖は複雑にからみ合い、食物網を作りだしている。一例を挙げよう。大型のサメが中華料理のフカヒレとして売れるとわかり、この30年間、アメリカのノースカロライナ沖では、ホオジロザメやシュモクザメといった大型のサメは乱獲され、わずか1〜3パーセントまで激減した。
     その結果、サメに捕食されていたエイが激増して貝類を食べ尽くし、名産だったハマグリやホタテが激減、貝類がいなくなったためにプランクトンが増殖、それを食べるクラゲが増えて、網を入れてもクラゲばかりなのだという。
     風が吹けば桶屋が儲かるではないが、フカヒレを食べると海はクラゲだけになるという、恐ろしいことが起きたわけだ。
     1種類の生物が絶滅すると連鎖的に捕食生物の激増激減が起こり、最終的に多様な生物が絶滅、クラゲだけの世界(地上では恐らく虫だけの世界)になってしまうのだ。スーパーコンピューターによるシュミレーションでは、2050年までに生物種の6パーセント、2100年までに27パーセントが絶滅するという結果になった。
     私たちはまさに絶滅の縁にいる。

    (文=久野友萬)

    続きは本誌(電子版)で。

    月刊ムーの特集記事を三上編集長が解説!

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