生命体から放射される神秘のエネルギーの謎!「オーラとキルリアン写真」の基礎知識

文=泉 保也

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    人間をはじめ、生命体はみな何らかのエネルギーを放射している。 「オーラ」と呼ばれるこの生体エネルギーは、古くから存在だけは知られていたものの、普通には確認することができず、多くの謎に包まれていた。 だが、20世紀前半の旧ソ連で、ある夫妻が画期的な写真技法を考案した。 それによって、これまで見ることができなかった、生命体の驚くべき発光現象が捉えられたのだ。 生命体の周囲に光り輝く謎のエネルギーの正体とは?

    人体から放射される生体エネルギーを計測する

     あらゆる存在物はエネルギーを放射している、とする有力な仮説がある。人間も例外ではなく、その放射エネルギー(エネルギー場)を「オーラ」と呼ぶ。

     その存在は人体を取り巻く謎の〝発光物質〟や〝光〟として古代から知られ、洋の東西を問わず、さまざまな民族が伝承してきた。

     たとえば、インドの神々や聖者が後頭部から発する鮮やかな白光、キリスト教や仏教ほかの宗教美術作品に表現される天使の翼や頭上の輪、仏像の光背(後光)、中国の空飛ぶ天女の流れるような長い衣などは、いずれもオーラを描いたものと見なされている。

    宗教画の神仏に見られる頭上の輪や光背は、オーラの輝きを表現するものと見られている。
    空を飛ぶ天女の衣もオーラを表したものだ。

    「霊光」とも邦訳されるオーラは未知の生体エネルギーであり、一般には肉体からアストラル体がはみ出した部分と説明され、その人の性格や体質、健康状態、霊性の深さ、霊障などを示しているといわれる。つまりオーラには、その人が抱えている現在の肉体的・精神的問題はもちろん、その人の隠された内面すべてが反映されている、というのだ。

     ために、インドやチベットなどの神秘家や宗教家は、オーラを見る能力を開発しようと修行をつづけた。ただ、オーラは可視光線の範囲から外れた微妙なエネルギーの輝きであり、先天的な能力者や霊能者、長期間オーラを見る修行をした人を除き、普通の環境下で視認するのは難しいとされてきた。

     ところが、ウォルター・キルナーの登場によって状況は一変する。キルナーは19世紀半ばから20世紀初めにかけて生きたイギリスの医師で、オーラが存在することを初めて客観的に実証した先駆者だ。

     キルナーは、病気治療の方法を模索する過程で「ディサイアニン・スクリーン」というフィルターを考案した。「キルナー・スクリーン」とも呼ばれるこのフィルターは、ディサイアニン染料で染めたガラス製のフィルターで、それを通して人体を見ると、ごく普通の人でもオーラを視認できる、というものだ。

     短い波長の可視光線の範囲で意図的に眼の疲労を誘発させ、紫外線の視覚の感受性、すなわちオーラに対する感受性を一時的に高めようという原理に基づく。

     具体的には、薄暗い照明のもと、背景を暗くした状態で裸体の人間を観察すると、人体の周囲の輪郭に3層の帯状の影が見える。この影がオーラで、キルナーによると、各層の境界は明瞭ではないが、次のような特徴があるという。

     人体に近い内層は灰色で、幅は約6ミリ。中層は幅が5~10センチで、色は健康状態や意識状態によって変化する。外層は幅が12~15センチで、最外層部は次第に薄れて見えなくなる。

    オーラの形状や色が示す心身の状態

     しかもオーラは、本人の健康状態や感情によって形状や大きさ、色彩に変化が生じるし、人それぞれに固有の色があるという。

     形状は卵形(楕円形)がもっともよいとされる。周囲が角張ったもの、先端が尖っているものはよくなく、利己的、頑迷さ、執着心の強さなど、魂の未発達さを表す。

     特定部分に欠損があったり、不活発な輝き(霧のようなもの)が表れたりするオーラは、その部分の肉体や精神の異常を示す。たとえば、肩こりに悩んでいる人は肩のところに円形あるいは不定形の不活発な輝きが見られる。

     オーラの歪みは全身的な異常を表す。たとえば、オーラの片側だけが異常に狭くなっている人は、その側の肉体に何らかの病気がある可能性が高く、現在は病気でなくとも将来発病するおそれがある。

    肉体や精神に異状がある場合、オーラには欠損や不活発な輝きを見せる部分が現れる。
    全身的な異状がある場合は、オーラが片側だけが狭くなったり、やせ細って見えるなど、オーラに歪みが生じる。

     大きさは霊性の高低に比例し、霊性の高い人のオーラは普通の人のそれを遙かに越え、数メートルから数十メートルの範囲に及ぶものもあるといわれる。

     色に関しては、研究家によって解釈の違いがあるので、一般的な意味合いを簡単に紹介しておこう。

     赤=意志、力、活動的、情熱、情動、浪費、移り気。
     ピンク=優雅、優しさ、幼稚。
     橙=意欲的、社交的、思慮深さ、整理整頓 奉仕愛。
     黄=知性、智慧(ちえ)、理想、健康、霊的高さ、理論的、緻密。
     緑=協調、安定性、自由、偏見のなさ、寛大、生命力。
     青=着実性、内省的、精神的深み、内向性、理想主義。
     藍=熱望、直観力、洞察力、夢見がち。
     紫=精神性、神秘的、高貴、創造、空想 白昼夢。
     白=純潔、清潔、完全。

     これらの色は単一なほど、また明るく輝いているほど、その人は肉体的・精神的に健康で、各色が持つよい面が発揮されるが、濁(にご)りが入ると異常をきたしやすくなる。灰色が混じった場合は特にに注意が必要で、肉体的衰勢や精神的な弱さを示している。

    人のオーラを捉えた写真。人物を取り囲むように、複数の色調を持つ発光が認められる。

     もっとも、キルナー・スクリーンを使えば、だれもがすぐにオーラを観察できるというものではない。むしろ、オーラに対する視覚の感受性を高めるための道具と考えたほうがいいだろう。

     かといって、その有効性まで否定されるわけではない。イギリスの生理学者オスカー・バグナルら複数の科学者によって、キルナー・スクリーンの有効性は追証されているのである。

     このキルナー・スクリーンとは別の方法でオーラを測定できる器具がある。名づけて「オーラ・メーター」。発明者はアメリカ人のヴァーン・カメロンだ。

     カメロンは水脈探知、温泉探知、油田探知、ガス田探知などに驚異的なダウジング能力を発揮した天才ダウザーとして有名で、その長年のダウジングの実践・研究に基づいて考案した器具である。

     ダウジング・ロッドの改良型ともいうべきもので、ハンドル部、スプリング部、アンテナ部からなる単純な構造だが、その名の通り、オーラを探知できるという。

    「オーラ・メーター」を手にしたヴァーン・カメロン。驚異的な探知能力で知られる天才ダウザーだ。
    カメロンが発明した「オーラ・メーター」。

     カメロンによると、人の背中には長さ120~600センチの翼状のオーラ、頭の後方には長さ約55センチで魚のヒレに似た三角形のオーラ、頭の上方15センチほどのところには直径約40センチ、厚さ約9センチのドーナツ形のオーラがある。

     これは男女ともに同じだが、さらに男女の違いによって、胸部や下腹部、性器の周りなどにいろいろな形状のオーラが認められるそうだ。

     キルナーが説明するオーラの形状とはかなり異なるが、オーラそのものが科学的には未解明の現在、その当否を云々するのは適切ではないし、カメロンが主張するオーラの形状が、宗教画に描かれる天使の翼や頭上の輪、神仏像の光背などに非常によく似ている点は興味深いといえよう。

    生体エネルギーを捉えたキルリアンの写真技法

     いずれにせよ、人体(生命体)から何らかのエネルギーが放射されていることだけは間違いない。
     そればかりか、この謎の生体エネルギーの写真撮影に成功した人物がいる。旧ソ連の放射線技師セミヨン・キルリアンとその妻ヴァレンティナだ。

     夫妻の姓を取って「キルリアン写真」と呼ばれるこの写真技法は、偶然目撃した出来事がヒントになって考案された。

    生体エネルギーを撮影する方法を編みだしたセミヨン・キルリアンと妻のヴァレンティナ。
    イラクサの葉のキルリアン写真。葉の周囲を取り巻く生体エネルギーが鮮やかに写しだされている。

     1939年のある日、アマチュア・カメラマンでもあったセミヨンは、高周波利用の電気治療装置で治療中の現場に立ち会った。そのおり、患者の皮膚と電極の間に不思議な光がスパークしていることに気づき、その光を写真に撮れないだろうか、と考えたのが、キルリアン写真研究の第1歩だった。

     彼は早速、自分の手と電極の間に写真乾板を置いてスパークを発生させ、大急ぎで乾板を現像してみた。と、指の輪郭部分から放射するかのような発光現象が見事に捉えられていたのだ。

     以後、セミヨンとヴァレンティナの共同研究がはじまる。そしてついに、生命体はもちろん、非生命体の発光現象を撮影できる、まったく新しい写真技法が確立されるのである。

     キルリアン写真はしかし、写真と名がつくものの、カメラは用いないし、照明も必要としない。1秒間に2万~7万5000回の電気パルスを発する高電圧高周波パルス発生器、表面を絶縁した露光用電極板、それに感光紙(フィルム)があればよい。

     具体的には、露光用電極板の上にフィルムを置き、その上に電導性物質である指や植物の葉、金属片などの試料を載せて高電圧を加える。すると試料は高周波電界に包まれてコロナ放電が起こり、その放電(発光)現象がフィルム上に投影されるのである。

    人間の指先を写したキルリアン写真。指の輪郭に沿って、放射状に発光している様子がはっきりとわかる。
    被写体が人体の場合、対象の健康や精神状態によって、キルリアン写真に写る発光にはさまざまな変化が現れる。

     ただ、この写真技法の根本原理はキルリアン夫妻の発見によるものではない。すでに18世紀の後半、ドイツの物理学者クリストフ・リヒテンベルクが高電圧を利用した写真撮影を考案していた。アメリカの電気工学者ニコラ・テスラも、19世紀末に高電圧高周波を人体に通して空中放電するという実験を行っている。

    ドイツの物理学者クリストフ・リヒテンベルク。
    空中放電実験や交流発電システムなどの発明で知られる電気工学者ニコラ・テスラ。
    ニコラ・テスラのラボでの実験風景。

     つまり、キルリアン写真はリヒテンベルクやテスラらの実験・研究の延長線上にあるといっていい。そのために、単に「高圧放電写真」とか「高電圧写真」「高周波写真」などと呼ばれることもある。

     では、キルリアン写真が捉えた発光現象が単なる放電現象にすぎないのかというと、必ずしもそうとはいいきれない部分がある。キルリアン写真は奇妙で不可思議な特徴や性質を備えているからだ。

     たとえば、キルリアン写真に写る神秘的な光は、オーラの放射状態と酷似している。そのため、キルリアン写真はオーラを捉えた写真である、とする研究家もいる。その一方で、オーラとは別物である、と主張する者も少なくない。

     ただ、オーラの実体はいまだ謎に包まれている。超能力者や霊能者はそれを視認できるし、キルナーやカメロンらの研究によって、その存在はほぼ立証されているものの、判明していることはきわめて少ない。それが生命体から放射される光であり、生体エネルギーの一種であろう、という程度のことしかわかっていないのだ。

    キルリアン写真が示す不可解な発光現象

     しかも、単なる放電現象でないことを傍証するいくつかの事実も指摘されている。

     たとえば、切り取ったばかりの木の葉としおれかけた木の葉では、発光状態に明確な違いが表れる。前者は葉脈や葉先から高密度のダイナミックな光を発するのに対し、後者は微弱な光しか放たない。

     同じく木の葉の比較対照の事例をもうひとつ。樹木の種類は同一だが、一方は健康な樹木から、他方は病気にかかった樹木から、同じ時刻に切り取った葉で行った実験結果である。

     前者は葉全体から勢いよく光が放射していたが、後者はところどころに微小な光が撮影されただけだった。2枚の葉は肉眼ではまったく同じに見えたのに、キルリアン写真は、後者の葉を切り取った樹木が病気にかかっていることを識別したのである。

     キルリアン写真はさらに不思議な特性を持つ。新鮮な葉の一部を切除して撮影した写真に、切除した葉があったときの周辺部、すなわち今はすでにない部分からの発光現象が写ることがあるのだ。

    「ファントム・リーフ現象」を捉えたキルリアン写真。一部を切り取ったバラの花弁を撮影したもので、切除された部分の元の形がわかるように発光している。

     これを「ファントム・リーフ現象」と呼ぶ。しかし、なぜこのような現象が起こるのか、現時点ではまったくわかっておらず、単なる放電現象と見なしては説明不能に陥るのである。

     また、人体を被写体としたキルリアン写真では、その人の健康状態、感情の激しさ、精神の安定度、疲労の度合いなどに応じて、発光の強弱、色彩等が明らかに異なってくる、という不可解な現象も見られる。

    ガン患者の指先を撮影したキルリアン写真。治療前(上)には不規則な発光を見せていたのに対し、完治後に写したもの(下)は、規則的な発光状態になっている。

     一方、金属、ゴム、石、皮革などの非生命体を撮影すると、その物体の周辺部に細い光の帯が認められるだけだった。生命力をうかがわせるような、勢いのよい発光現象は見られなかったのである。

    黄金製の十字架のキルリアン写真。明るく発光しているのは、持ち主の生体エネルギーによる影響と見られている。

     キルリアン写真が捉える不思議な光がオーラであるのかどうかはわからない。が、その発光現象が未知の生体エネルギーに関係していることだけは確かなようだ。

     ちなみに、キルリアン夫妻は、生命体には物質的身体のほかに第2の身体=エネルギー的身体が存在し、それがキルリアン写真によって捉えられているのではないか、と考えた。

     キルリアン写真の研究者である旧ソ連の科学者ウラジミール・イニューシンも、次のような見解を披瀝(ひれき)している。

    「キルリアン写真で撮影される生命発光は、有機体の電気的状態によって生じるのではなく、一種の生体プラズマ体によるものである」

    「生体プラズマ体」とは、キルリアン夫妻がいうエネルギー的身体のことで、「バイオプラズマ体」ともいう。古代から存在が主張されてきた「エーテル体」や「アストラル体」とほぼ同義と考えれば理解しやすいだろう。

     イニューシンによれば、バイオプラズマ体は全体がひとつになって機能する組織体であり、極性と電磁場を持っていることになるのだ。そして、人間はそのバイオプラズマ体を通して宇宙と繋がっている、という。

     また、旧ソ連のキーロフ国立大学生物学部の科学者グループも、バイオプラズマ体が放射するバイオプラズマ・エネルギーがキルリアン写真に写る発光現象に深く関係している、との見解を示したといわれる。

     とまれ、神秘的なキルリアン写真は、東西冷戦時代の1970年、カナダのふたりのジャーナリストによって西側諸国に紹介され、多大な反響を巻き起こした。

     これ以後、生物学、医学、心理学、生態学などの広範な分野で研究がつづけられているが、キルリアン写真とオーラの謎はいまだ解明されないまま現在に至っている。

    キルリアン写真の装置を調整するキルリアン夫妻。生体エネルギーの存在を可視化した彼らの功績は大きい。

    ●参考資料=『奇跡の「超感覚」』(藤島啓章著/福昌堂)、『ソ連・東欧の超科学』(シーラ・オストランダー+リーン・スクロウダー著/照洲みのる訳/たま出版)、「驚異のオーラ調整法」(高藤聡一郎/「ムー」43号所収)ほか

    (月刊ムー 2010年4月号初出)

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