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タイ地獄寺の研究者が、仏教美術の視点で「地獄」描写を解説。ショッキングなコンクリート像を産んだ文化的背景とは? (ムー2017年8月号掲載記事に、一部加筆修正)
タイには「地獄寺」と呼ばれる寺院がある。下写真のように、カラフルでキッチュなコンクリート像が立ち並ぶ、なんとも風変わりな寺院だ。日本では「珍スポット」「B級スポット」として知られているが、タイ人にとっては日常の風景であるらしい。地獄が日常の風景とはなんとも恐ろしいことである。
筆者はこの地獄寺に魅了され、単なる「地獄テーマパーク」ではないという見解のもと、美術史学の視点から研究をしている。今回は地獄寺がどのような場所なのか、そしてそこに見られる地獄表現について、少しばかり深く考えてみたい。
地獄寺がはじめに出現したのは、今から60年ほど前のことである。そこから徐々に増え続け、現在その数は100か所近くまで数えられる。そして、これらの地獄寺は地域を問わず、タイ全土に点在している。
こんなに恐ろしい場所がタイ全土に点在しているとは、一体どういうことなのだろうか。
地獄寺の僧侶たちに制作理由を問うと、みな「教義・教育のため」につくったと答える。平たくいえば、「悪いことをすると地獄に堕ちます、仏教の教えを守りましょう!」ということだ。
つまり、仏教の教えを視覚的にあらわすことにより、老若男女に善行を促しているのだという。それにしては表現がカラフルで、キッチュで、笑いを誘いすぎる。タイという国では、地獄はどのように捉えられているのだろうか。
タイの地獄思想は概ね『三界経(さんがいきょう)』に基づいている。『三界経』は仏教宇宙における三界、すなわち欲界・色界・無色界の様子を詳述した経典であり、日本でいうところの『往生要集(おうじょうようしゅう)』に近いものがある。
なかでも欲界に位置する地獄の描写は生々しく、たとえば、僧侶や両親に対して悪口を言った者は、象のように大きな4種の犬に追いかけまわされる、魚を殺し市場へ運んだ者は、肉屋のナイフで切り刻まれ売り物のように陳列される、などと説かれている。そして『三界経』に説かれた内容は、僧侶によって口承され、また寺院の壁画に描かれることによって民衆に浸透した。
タイで視覚的に地獄があらわされた歴史をさかのぼると、写本や壁画に辿り着く。
現存するこれらの作品はいずれも18~19世紀ごろの作品であり、壁画は街中でも見ることができる。特に、首都バンコクにあるワット・ドゥシダラームウォラウィハーン(ワットは寺院の意)は、タイの伝統的な地獄表現が見られる格好の場所だ。
壁画では、地獄釜や棘の木などのよく知られている地獄モチーフに加え、背の高い亡者、頭がなく身体に顔のある亡者、頭が動物になってしまった亡者など、日本ではあまり見られないモチーフも描かれている。これらはタイに特徴的な地獄表現と位置付けられよう。
(つづく)
椋橋彩香
1993年東京生まれ。早稲田大学大学院文学研究科にて美術史学を専攻、2022年博士後期課程単位取得満期退学。現代タイにおける地獄表現、「タイの地獄寺」を研究テーマとする。早稲田大学會津八一記念博物館助手を経て、現在は大学非常勤講師。「タイの地獄寺」を珍スポットという観点からだけではなく、様々な社会的要因が複合して生まれたひとつの現象として、また地獄表現の系譜において看過することのできないものとして捉え、フィールドワークをもとに研究・執筆を進めている。著書に『タイの地獄寺』(青弓社、2018年)。
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