2025年・乙巳年の開運招福法とおすすめの神社は?/鶴見神社・花谷幸比古宮司に聞く(1)

関連キーワード:

    ムー編集部では例年、大阪市鶴見区の鶴見神社で昇殿参拝をさせていただくと同時に、第42代・花谷幸比古宮司に取材し、新年の動向についてお話をうかがっている。古神道白川流の易学や、中国に伝わる望龍術を修めた花谷宮司は、運気を読む専門家でもあるのだ。今回は、2025年(乙巳年)の傾向と開運法、おすすめの神社についてお聞きした。

    2025年は初心に返って粘り強く行動するのが吉

     2025年の干支は、六十干支の42番目に当たる乙巳だ。陰陽五行でいうと、乙は「木」の陰で、巳は「火」である。
    「乙巳年の2025年は、今年より少しよい年になるかもしれません」
     こう語るのは、鶴見神社(大阪市鶴見区)の花谷幸比古宮司だ。その言葉を聞いて、思わずホッとした。
    鶴見神社・第42代宮司の花谷幸比古氏。
     思い返せば2024年は大変な年だった。元日に能登半島地震が発生し、翌2日には羽田空港で航空機の衝突事故。4月には愛媛県と高知県で震度6弱の地震。7月には秋田県・山形県で記録的な豪雨。
     そして8月8日には宮崎県日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が起こり、気象庁は翌週15日に初の「巨大地震注意」を発表。日本列島が異様な緊張感でおおわれた。
     地球温暖化の影響による夏の酷暑も記憶に新しい。さらに9月には、ゆっくりながら復興が進みつつあった能登半島を今度は豪雨が襲った。
     歴史的な円安や自民党の裏金問題に首相交代など、政治・経済も落ちつかなかった印象だ。
     2025年は、全体としてどんな年になるのだろうか。花谷宮司は、後漢時代に成立した最古の漢字辞典『説文解字』をひもときながら語った。
    「まず乙ですが、春になると草木が曲がりくねって伸びていく様子を表す象形文字です。この文字に象徴される年は、物事がまっすぐには進みません。努力と根性で、目指すところに向かって進んでいく運気です。
     春の草木は光を求めて、ときに紆余曲折しながら成長します。私たち人間も、諦めずに粘り強く行動せねばなりません」
    最古の漢字辞典『説文解字』によると、乙巳はもともとこのような文字だ。
     一方の巳は、十二支ではヘビとされているが、『説文解字』によれば、本来の意味は異なる。
    「巳は、もともとヘビではなく胎児を表す象形文字です。これを運気として解釈するなら、初心に返って一から出直す年ということになるでしょう。何事においても、赤ちゃんを育てるときのように十分な栄養を与え、しっかりと手をかけることが求められます。育てる楽しみが味わえる運気ともいえます」
     これらのことから、乙巳年をよい年にするには、初心に返って粘り強く取り組む姿勢が必要だと、花谷宮司はいう。
    「物事の本質を見抜くことや、さまざまな情報を処理して前に進むことも大切です。根気、慎重さ、忍耐力を発揮して、途中で放りださない人が、最後に笑うでしょう」
     お手本としたいのは、今や大リーグのスター選手となった大谷翔平選手だそうだ。
    「大谷選手は諦めないし、いつも前向きだからあそこまでいけました。WBCでは日本を優勝へ導いたし、ドジャースもワールドシリーズで優勝できた。ああいう姿を見ると、乙巳年の生き方だと思います」

    再生と金運の象徴、ヘビの力を借りる!

     ちなみに、本来は胎児という意味の「巳」が「ヘビ」に結びつけられたのも、『説文解字』が成立した後漢時代のことだ。
     巳といえば十二支の6番目だが、そもそも十二支とは、木星の運行をもとに天を12分割して、一年という時間を表したものである。後漢時代の思想家・王充は、この十二支を民衆に浸透させるために、だれもが知る12の動物を当てはめた。子のネズミからはじまり、丑はウシ、寅はトラ、巳はヘビだ。
     ご存じのように、脱皮をくり返して自分自身を刷新するヘビは死と再生のシンボルであり、金運の守り神でもある。
     シンボルというものは、年月をかけて人々に使い込まれるほどイメージを蓄積し、現実を動かす力を持つ。ならば、すでに1900年以上の長きにわたって「ヘビ」とされてきた「巳」には、胎児とヘビ、両方の意味が宿り、それぞれの作用をもたらすと考えてよい。

     じつは鶴見神社には、ヘビにまつわる不思議な逸話がある。
     神社の鳥居をくぐってすぐ右手に、大阪市の保存樹に指定された楠の古木が枝葉を茂らせているのだが、この木と、もう1本の楠には昔から何匹ものヘビがすみついていたそうだ。
    「人間に害を及ぼしたら困ると、怖がられていた時期もあったようです」と、花谷宮司はいう。
     ところが、1952年のことだ。先代の宮司夫妻、つまり花谷宮司のご両親が、そろって奇妙な夢を見た。ヘビが夢に出てきて、自分たちを祀ってくれたらいいのに、と訴えるのだ。
     さっそく宮司夫妻は、楠の幹と接するほどの位置に福龍社を建ててヘビを祀った。以来、鶴見神社はヘビの御魂にも守られている。そして、いつのまにかヘビの数が適度に減っていき、頻繁には見かけなくなった。そのせいか、「楠のところで3回ヘビを見たらお金持ちになれる」というジンクスまで生まれたそうだ。鶴見神社を参拝する方は、ぜひ楠の根もとあたりをチェックしていただきたい。
    花谷宮司のご両親にヘビが現れたことをきっかけに、境内に福龍社が建立された。
     また、各地にも「巳」にゆかりの深い寺社が数多くある。花谷宮司から情報をいただき、一部を下にまとめた。初詣や折々の参拝の参考になれば幸いだ。

    虻田神社(北海道)
    金蛇水神社(宮城県)
    白蛇辨財天(栃木県)
    蛇窪神社(東京都)
    松尾宇陀神社(長野県)
    来宮神社(静岡県)
    白龍神社(愛知県)
    大豊神社(京都府)
    妙満寺(京都府)
    九頭龍大社(京都府)
    大神神社(奈良県)
    白蛇弁天神社(和歌山県)
    岩国白蛇神社(山口県)
    阿蘇白水龍神権現(熊本県)

    webムー編集部

    関連記事

    おすすめ記事