西洋版コックリさん「ウィジャボード」の誕生と流行/初見健一・昭和こどもオカルト回顧録
霊との交信に用いられる神秘の文字盤「ウィジャボード」。19世紀欧米の心霊ブームを機に普及したスピリチュアル・アイテムだが、商品としての大ヒットの仕掛け人は、意外な業界の人物だった。
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スピリット・トーキング・ボード(霊話盤)とはいわゆるウィジャ盤のこと。今回は、その安全な使用法について指南していただく。
スピリット・トーキング・ボード(霊話盤)とは、この世を去った霊たちに語りかけ、双方向のコミュニケーションをするためのツールである。19世紀にアメリカで生まれ、やがてヨーロッパにも広がって爆発的な人気を獲得。かのアレイスター・クロウリーも弟子たちとともに実践していたという。ヘイズ中村氏によれば霊話盤は、だれもが訓練なしで神秘の世界に触れられる技法であるという。
霊話盤を使って霊と通信する方法を具体的にご紹介しよう。
とはいえ、心霊主義時代に発展した使用法は術者によってかなり差があり、使用法の根拠も不明確なものが多い。そこで今回は、できるだけ過去の術式を平均化すると同時に、魔術の心得がない人にも実践可能な範囲でまとめた。
手順を説明する前に、霊話盤を安全に楽しむための注意事項をお伝えしておこう。以下の点を必ず守っていただきたい。
【注意事項】
❶体調がすぐれないときは実行しない。とくに発熱しているときや出血しているときは実行するべきではない。発熱していると幻覚を見やすく、出血している状態では低級な霊的存在を呼び寄せやすいからだ。
❷霊話盤を使用する部屋は、常識的なレベルまで整頓と清掃を行うこと。類は友を呼ぶ。汚れた部屋で霊話盤を使えば、汚れた存在が来るだけだ。
❸精神的に不安定な人や向精神薬を服用中の人は、見学するのはかまわないが、皆と一緒に霊話盤に触れないようにする。霊的作業はかなりの精神的エネルギーを消費する。精神的に不安定な人が霊とのコンタクトにかかわるのは、闘病中の人に運動させるようなものなので、厳禁だ。
❹泥酔状態や、カフェインなどの刺激性物質を過剰に摂取した状態で実行してはならない。せっかくメッセージを受け取っても気づかないか、誤解するだけである。
❺天候が穏やかな日に行うほうがよい。台風や強風といった荒天の日に行うのは避けよう。
❻霊話盤の使用頻度は多くても2週間に1回、実施時間は1回につき1時間を目安に。あまりに頻繁な使用や長時間にわたる実施は、精神のバランスを崩す原因となる。
❼次のような内容を霊に質問するべきではない。
〈人の死期〉これを霊から告げられても対策が講じられるわけではなく、知ることによるショックのほうが大きい。また、死んだ人の魂が本当に戻ってきた場合、彼らは死後の世界で知ったことを一定以上は話せないようにされているという説もあり、信用できるものではない。
〈株価や景気の動向〉死後の世界には株も景気もないので、当てずっぽうの答えしか返ってこない場合が多い。
〈試験の合否〉試験もまた死後の世界には存在しない。そのため、質問してもあやふやな回答しか得られない。
【用意する物】
・「ムー」6月号の巻末とじ込み付録(画像を参考に、簡単なものを自作してもよい)
・硬貨(500円玉を推奨。重さがあるので、自分が力を入れて意図的に動かした場合は、それを自覚しやすいからだ)
・少量の酒や焼き菓子(必須ではないが、来てくれる霊へのお供えとして置いておくと、凶事を避けやすいとされている)
【セッティング】
❶テーブルに霊話盤を置き、参加者はその周囲に着席する。ちゃぶ台のような卓を使う場合は正座ではなく楽な姿勢で座る。床に寝転がった状態では実行しないこと。寝転んだ姿勢でトランス状態になると、タイミングと体調しだいでは吐瀉物で窒息する危険がある。
❷硬貨は霊話盤の中央にある五芒星に重ねて置く。
❸霊の通り道をつくるために、窓を少し開けておく。かすかに空気が流れる程度でよい。
❹照明は消すか、最低限にする。真っ暗にすると霊話盤の文字が読めないので、読める程度の明るさを確保する。
❺お供えを用意した場合は、霊話盤の近くで、邪魔にならない場所に置いておく。酒類は栓を抜いて容器に注ぎ、焼き菓子などは包装紙を外しておくこと。
【実践の手順】
ここでは手順のみを述べる。呼びかけに応じて来てくれた霊に、どのように質問するかについては、次項「質問のルールとコツ」を参照されたい。
❶参加者全員が着席したら、手をつないで輪をつくる。この輪には防御の効果があり、邪悪な存在の侵入を阻む。手をつないだら、主催者(あらかじめ決めておく)は以下の文言を唱えて霊に呼びかける。下を向いてボソボソと発語するのではなく、前を向いてはっきりと呼びかけること。
「善良なる霊よ、安息の地よりしばし地上へと戻り、われらにその知恵をお貸しください。そしてお疲れになりましたら、いつでも好きなときに安息の地へとお戻りください」
この文言を数回くり返す。窓から入る風が少し強くなるなどの変化が感じられたら、つないだ手を外して、全員、人差し指を硬貨にのせる。ギュッと押さえるのではなく、軽く触れるだけでよい。
❷全員が指をのせたら、主催者は以下のように呼びかける。
「善良なる霊よ、この場に降りてこられましたか? そうであれば、その場で小さく円を描いてください」
この呼びかけに硬貨が反応して、五芒星の上で小さな円を描いたら質問を開始する(詳しくは次の「質問のルールとコツ」を参照)。
❸すべての質問が終了したら、主催者は以下の文言を唱えて霊に帰ってもらう。 「善良なる霊よ、本日はありがとうございました。われらの感謝とともに、安息の地へと速やかにお帰りください」
この文言に応えて硬貨が「GOODBYE」に移動し、動きがとまったのを確認したら、全員が硬貨から手を離す。
❹5分ほど静かに過ごし、部屋の空気が落ちつくのを待ってから、窓を閉めて霊話盤を片づける。お供えをした場合は、皆で分けて食べよう。味が変わっていることもあるが、霊の運動にエネルギーとして使われた証拠なので、心配はいらない。
❺霊が帰ってからも自分の指が動きつづけるような感覚が残っている場合は、熱いシャワーを浴びるか軽くジョギングするなどして、肉体に別の刺激を与えれば大丈夫だ。
【特定の霊を呼びたい場合】
前項で示した、霊に呼びかける文言中の「善良なる霊よ」という部分を特定の霊への呼びかけに変えるのだが、以下の点に留意してほしい。
・死後49日に満たない霊を呼びだしてはならない。死という劇的な体験を経た霊には、一定期間の静かな休息が必要なのだ。
・呼びだすのは、参加者の血縁者など、きわめて近い人物であることが望ましい。歴史上の偉人や世界的な著名人などを呼びだしても、まず成功しない。
・呼びだす霊の名前がわかる場合は、「山田太郎の霊よ」などと名前で呼ぶ。わからない場合は「○○○○(参加者の名前)の先祖霊よ」など、参加者との関係を述べて呼びかける。
【質問のルールとコツ】
霊に質問する際には、いくつかのルールとコツがある。
❶質問するのは主催者ひとり。ほかの人が質問したいときは、その内容を主催者に伝え、主催者から質問してもらう。招いた霊を尋問するわけではないのだから、それが礼儀だ。
❷こちらの都合で相手を呼びだしているのだから、丁寧な言葉で呼びかけ、ふざけた質問や乱暴な態度は慎む。
❸質問の内容は、とにかく具体的にすることが大切だ。極論すれば、イエスかノーかで答えられるような質問をするのがいちばんよい。 一例として、「○○はどうでしょうか?」という曖昧な質問では相手も答えようがない。「○○を××するつもりですが、それで大丈夫でしょうか?」など、答えやすいように尋ねる。このように質問すれば、硬貨が「YES」または「NO」へ移動していくはずだ。
❹「YES」「NO」以外の文字は、以下のように使う。 ・数字については、数量や、1〜12月のうち、いつがよいかなどを尋ねるときに使う。 ・A〜Dのアルファベットは、4つまでの選択肢を質問者が霊に提示して、ひとつ選んでもらうときに使う。たとえば「A東、B西、C南、D北のうち、どれがよいですか?」など。 ・♂と♀は、男性か女性かを尋ねるときに使う。たとえば「あなた(来てくれた霊)は男性ですか、女性ですか?」「○○を頼むのは男性と女性、どちらがよいでしょうか?」など。 ・「GO」と「STOP」は、進むのがよいか立ちどまるほうがよいか、継続か停止かなどを尋ねるときに使う。
❺質問しても硬貨がまったく動かない場合は、質問の仕方を変えてみるとよいだろう。それでも動かなければ「答えるのが難しい質問でしたか?」と聞く手もある。霊は全知全能ではないし、なんといっても死者と生者が交信するわけだから、生きている者同士が会話をするようなスムーズさは望めない。そのあたりを理解しておくとよい。
【緊急時の対応】
❶質問をつづけるなかで、回答があまりにも現実離れするか、意味をなさなくなったら「お疲れのようなので、お帰りください」と頼む。それで「GOODBYE」に硬貨が移動したら、「善良なる霊よ、本日はありがとうございました」とお礼を述べて手を離す。
❷ふざけた回答がつづいた場合や、「お前は今夜死ぬ」などという脅迫めいた回答があった場合は、「供物を持って、もといた場所に帰りなさい!」と強く告げて、全員で硬貨を供物に近づけたのち、「GOODBYE」の場所へ強制的に移動させて手を離す。「帰ってくれない!」などとむやみに騒げば、パニックになって思わぬ身体的反応を招くか、余計な心理的エネルギーを霊に供給するだけなので、淡々と追い返すことが重要だ。
霊は、むしろ現世に引きとめておくほうがはるかに難しいので、あちらの世界に帰らないといったことは起きない。それを念頭に置こう。
ヘイズ中村
魔女・魔術師・占い師・翻訳家。中学生頃から本格的に西洋密儀思想の研究を開始。その後、複数の欧米魔術団体に参入し、学習と修行の道に入る。現在はタロットを使った魔術的技法に関する本を執筆しながら、講座などでの身近な人との触れあいを大切に活動中。
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