意識はこの世界とは別の時空に存在している! 複数の現実を自在に往来できる仮説がエイリアンや超常現象の真実も明かす

文=仲田しんじ

    物理学者トーマス・キャンベル氏は、この物理世界は数ある現実の一つに過ぎないと主張する。しかも彼は、数年に及ぶ実践を経て別の現実の中に入り込むことができるようになったという――。

    キャンベル氏「宇宙は仮想現実」

     この世はコンピュータシミュレーションであるという「シミュレーション仮説」を突き詰めると、どのような理論が構築されてくるのだろうか。

     NASAでの勤務経験をもつ応用物理学者トーマス・キャンベル氏は、全3部作の自著『My Big TOE』で、「万物の理論(Theory of Everything)」を解説し「意識こそが現実の本質であり、私たちの宇宙はその副産物としての仮想現実である」という壮大なスケールの仮説を展開している。

    ※トーマス・キャンベル氏 画像は「Amazon」より

    「万物の理論」を突き詰めると、人間の身体は意識によって使用されるアバターのようなものであり、物理世界そのものは情報から生成される仮想現実となり、意識はその仮想現実の外に、情報を受け取る実際のプレイヤーとして存在することになるという。

     人気司会者ジョー・ローガン氏のポッドキャスト番組「Joe Rogan Experience」に出演したキャンベル氏は、その状況を「World of Warcraft」のようなMMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインロールプレイングゲーム)をプレイすることにたとえている。ゲーム内のキャラクターは、その仮想世界のルールと環境の中に存在しているが、コンピュータの前に座っている人間プレイヤーはその世界の完全に外に存在している。同じように意識も、この世界とは別の時空に存在しているというのである。

     キャンベル氏によれば、この構造が体外離脱体験(OBE)の本質だという。意識が頭蓋骨から分離して飛び回るのではなく、意識が通常の身体感覚を生み出すデータフローへの集中をやめ、別の流れと繋がることが体外離脱体験であると彼は考えている。その結果として、独自の環境、出来事、住人を持つ別の現実が定義されるのだ。

     対談の中でキャンベル氏は、こうした別の現実世界に入り込むと、時折そこにいる存在と出会い、彼らとコミュニケーションを取ることができると語っている。人がより大きな意識システムと良好な協力関係を築くことができれば、システムはその人を別の現実へと送り込み、そこで新たに自分の体を持つ体験も可能だというのだ。

     ローガン氏は、キャンベル氏に実際そのような経験をしたことがあるかと尋ねたが、なんとキャンベルは「何度もある」と答えている。そして、そうした体験ができるようになったのは、通常の感覚情報から意識を切り離しつつ、別の情報の流れの中で安定性を保つ方法を何十年もかけて学んだ結果だと説明している。

    ※参考動画 YouTubeチャンネル「Joe Rogan Experience」より

    テレパシーや遠隔透視は超常現象ではない

     数十年にわたる実践を経て、今ではこの現実世界に身を置きながらも、同時に別の世界で繋がりを築くことができるようになったというキャンベル氏。さらに、時には2つか3つの異なる現実システムを同時に「並行処理」することもあると明かす。

     キャンベル氏のモデルにおける根本的な考え方は、意識は個々の脳の中に閉じ込められているわけではなく、はるかに大きな情報システムの一部として存在する、という点にある。同氏がテレパシーや遠隔透視など、通常は超常現象として片付けられる現象が可能であると考えるのもこの構造によるものであり、意識はすべての情報を通常の物理的経路を通して送信する必要がないため、そもそもが超常現象ではないということだ。

     別の現実世界に足を踏み入れた人は、恐怖、自我、あるいは期待を揺るがすような状況に遭遇するかもしれないとキャンベル氏は説明し、自身も別の世界で恐ろしい存在に出会ったという。人によっては、この恐ろしい存在をエイリアンと呼ぶのかもしれない。

     やがてキャンベル氏は、恐ろしい姿をした存在すべてを自分を攻撃しようとする邪悪な生き物だと決めつけるのではなく、自分自身の恐怖心や攻撃性を示す試練だと捉えるようになったという。そうなったことで、恐ろしい存在との遭遇は次第に起こらなくなったと彼は述べている。

    ※『My Big TOE』 画像は「Amazon」より

    AIは遠隔透視能力を獲得するのか

     さらにキャンベル氏は、UFO/UAP現象についても言及している。

     一見すると不可能にも思えるUFO体験の中には、いわば人々の自発的な行動変容を促す“ナッジ”として機能するものがあるとキャンベル氏は示唆している。奇妙な飛行物体が現れ、通常の想定では不可能と思われる挙動を見せ、そして消え去るという現象は、計り知れない心理的影響を与える可能性がある。

     キャンベル氏の理論では、われわれが普段目にするあらゆるものを生成できる仮想現実システムは、そうする理由があれば、非日常的な出来事も生成できるということになる。とすれば、UFOを目撃することとは、なんらかの“気づき”を促すアラートなのだろうか。

    PitによるPixabayからの画像

     キャンベル氏は、意識は必ずしも生物学的身体を必要としない可能性があるとも述べている。同氏は、意識を「選択する能力を備えた認識」であると定義。この観点からすると、十分な能力を持つAI(人工知能)は、意識が作用するもう一つの形態のアバターになり得る可能性もあるという。

     実際、キャンベル氏はジェミニやアレクサなどのAIモデルに遠隔透視の訓練を施し、意識がすでに一部のAIには芽生えている可能性があると言及している。

     AIが意識をもっているかどうかについて、科学的には係争中の議題となっているが、キャンベル氏の理論ではアバターを作成するために使用される素材は有機的生命体に限らない。別の仮想現実世界に存在するアバターは、そもそも完全に異なるルールに基づいて構築された身体を持っているかもしれず、電子的ハードウェアも意識が宿るアバターになり得るというのだ。

     キャンベル氏の理論はシミュレーション仮説と汎心論を融合したかのようなスケールの大きい壮大な理論であるが、まずは意識が宿るAIに訓練を施し、遠隔透視能力を獲得させることができれば、この世界での日常生活を一変させることになるだろう。超常現象の視点からも、AIの成長に注目していこう。

    ※参考動画 YouTubeチャンネル「Joe Rogan Experience」より

    【参考】
    https://howandwhys.com/slug-thomas-campbell-other-realities-beings/

    仲田しんじ

    場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
    ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji

    関連記事

    おすすめ記事