「AIでキリスト復活させる」前インテルCEO衝撃の転身理由! テクノロジーで強制再臨&ハルマゲドン突入へ!?

文=仲田しんじ

関連キーワード:

    “AIキリスト”が登場するのか? そしてそれは、ハルマゲドンの始まりを意味するのか? 元インテル社CEOが転職したAI企業が「千年王国」を迎えるためのLLM開発を進めている。

    キリストの再臨を早めるAI技術

     昨年末にインテル社のCEO職を退任したパトリック・ゲルシンガー氏が今春、新興テクノロジー企業「Gloo」社の取締役会長および新製品開発を担当する技術責任者に就任した。

     キリスト教志向の企業であるGlooのミッションステートメントには、「テクノロジーを善の力として形作る」ことが謳われており、AIシステムに「信仰を浸透」させ、キリスト教の教えを広める使命が記されている。

     Glooが提供する「KALLM(Kingdom-Aligned Large Language Model)」はキリスト教の信仰に特化した大規模言語モデル(LLM)で、キリスト教の価値観や教義に基づいて設計されトレーニングされている。

     ゲルシンガー氏は英紙「The Guardian」の取材に対して次のように語っている。

    「私の使命は、地球上のすべての人の生活の質を向上させ、キリストの再臨を早める技術に取り組むことだった」

    パトリック・ゲルシンガー氏 画像は「The Guardian」の記事より

     ゲルシンガー氏とGlooは、キリストの再臨を早めるために“AIキリスト”を誕生させようとしているのだろうか。

     10月7日、保守派の大学である米コロラド・クリスチャン大学、そして保守系福音派キリスト教ニュースメディアである「クリスチャン・ポスト」が共催したセミナーで講演したゲルシンガー氏は、AIの発展を「もう一つのグーテンベルクの瞬間」、つまり宗教改革と同じくらい重要な画期的変化と位置づけていることを明かした。

    「教会は文字通り人類を変えるために、当時の偉大な発明(印刷機)を受け入れました。AIも同様に強力な技術として受け入れられるのではないでしょうか?」(ゲルシンガー氏)

     つまり、グーテンベルクが印刷機を発明したことで聖書の大量印刷が可能になりキリスト教に新たな潮流がもたらされた歴史的側面をフィーチャーし、これからはAIの力でキリスト教をさらに広められると示唆しているのだ。

    イエス・キリストの“永久機関”

     米国のキリスト教徒が技術的な手段を通してキリスト再臨の予定を早めようとしたのは、これが初めてではないという。

     19世紀にまでさかのぼると、心霊術師のジョン・マレー・スピア(1804~1887)は、ベンジャミン・フランクリン、ジョン・アダムズ、トーマス・ジェファーソンなどの高名な霊たちから「神が人類に与えた最後かつ最高の贈り物」を作るよう啓示を受けたと主張していた。

    ジョン・マレー・スピア 画像は「Find a Grave」より引用

     それは地球上での人間の労苦を終わらせ、人類に余暇となる新しいユートピアをもたらす神聖な“生きた機械”、電気をベースとした永久機関であったという。

     この啓示を受けてスピアはマサチューセッツ州の山小屋に籠もり、そこで救世主的な永久機関である「ニュー・モーティブ・パワー」を製作。そして彼はこのマシンをイエス・キリストにたとえたのだが、数千ドルを費やしながらも望む働きを成し遂げられなかったことは言うまでもない。最終的には、敵対する心霊術師によってこのマシンは破壊されたともいわれている。

    救世主なのか、反キリストなのか

     話を現代に戻すと、イエス・キリストや聖母マリアの遺品である聖遺物から採取した遺伝物質を使って、イエスのクローンを作ろうとする陰謀論が浮上しているという。

    『新スタートレック』シーズン6の第149話「クリンゴン神カーレスの復活」では、死後の世界から戻ってきた救世主、カーレスの化身であると主張する人物が登場する。この救世主は、何千年にもわたり寺院に聖遺物として保管されていた短剣から見つかった血液を使って作られたクローンであることが後に判明する。

     このようなSFのストーリーと、実際の歴史的出来事や現代のニュースを安易に混同してはならないが、今日のシリコンバレーが追求している多くのもの、たとえばコンピューター・ブレイン・インターフェース、神経学的アップグレード、サイバネティック・オーガニクス、ロボットアシスタント、人工超知能などは、これらの企業のCEOが若い頃に触れたSFに触発されたものである。

    Sabine ZiererによるPixabayからの画像

     近い将来、ゲルシンガー氏の目標に共感するアメリカの議員が、政策決定を支援するためにGlooの“AIキリスト”を使い始めたらどうなるのか。キリスト教原理主義を強化学習したAIキリストが、ハルマゲドンの最終決戦への道を開くために聖地に向けて核兵器を発射することを助言する可能性もないわけではない。つまりAIキリストは終末を技術的に早める究極の手段となり得るのだ。

     ゲルシンガー氏とGlooの理念と使命についてこのように穿った不吉な見立てもできるのだが、この懸念が杞憂に終わってほしいものである。

    ※参考動画 YouTubeチャンネル「Side Burns」より

    【参考】
    https://www.theguardian.com/technology/2025/oct/28/patrick-gelsinger-christian-ai-gloo-silicon-valley

    仲田しんじ

    場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
    ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji

    関連記事

    おすすめ記事