1か月に3回も臨死体験する女性の告白! イエス・キリストとの交流を繰り返すプロセスの謎
1~2週間に1回という超ハイペースで臨死体験と幽体離脱に見舞われている女性。キリストと出会って“まさかの関係”に…!?
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神の子に近い存在である“聖人”は、常人とは一線を画したキャラクターであるとされるが、身体の造りからして違うということなのか。驚くべきことに、中世には死後に解剖され、体内から十字架が摘出された聖人がいる――。
カトリックの世界では死後に“聖人”と認定されることを「列聖」というが、1881年12月8日に教皇レオ13世によって列聖されたのが「モンテファルコのクレア」と呼ばれていた聖クレア(1268~1308)である。
イタリアの小さな町にある修道院のフレスコ画には、やつれたキリストが十字架の先端を女性の胸に突き刺している姿が描かれているのだが、この女性こそが修道女時代の聖クレアであるという。
描かれているクレアは静かに上方を見つめ、その身に刺し込まれる十字架を受け入れているのだという。とすれば、この十字架はクレアの体内へと埋め込まれて吸収されたことになる。
この絵は生前の彼女が頻繁に見ていたビジョン(幻視)をもとに描かれたもので、彼女の死後、仲間の修道女たちは彼女を解剖に出し、彼女が何度も周囲に語っていた体内に残る十字架を探してもらうことにしたのだ。
死の直後に行われた解剖で、心臓の中からはキリストの受難の象徴である十字架だけでなく、聖骸布、いばらの冠、3本の釘、槍、スポンジ、鞭、柱が発見されたといわれている。もちろんそれらはきわめて小さいミニチュア版である。
また、胆嚢からは3つの胆石が発見されたのだが、当時のボローニャ総代理イシドロ・モソニオによれば、石は灰のような色で、外観、色、重さが同じで、三角形の形になるように胆嚢内に配置され、それはきわめて神聖な三位一体の象徴が表現されていたということだ。聖人とは、その身体にも聖なる物証が宿っていることになるのだろうか。
聖人の“秘密”を求めて解剖された聖女は、聖クレアだけではなかった。チッタ・ディ・カステッロの聖マルガリータも同様に、心臓の中に「白い鳩を伴って誕生するキリスト、聖母マリア、ヨセフ」を表す3つの石を持っていることが発見された。
歴史家のサイモン・ディッチフィールド氏は、聖人であることを検証するために解剖を行う伝統が生まれたのはこの時代であると指摘している。
同じく歴史家のジェッツェ・トゥーバーは、死後に発見される臓器内に形成された石は「近世イタリアにおける神聖さの潜在的な目印」として機能したと説明している。
さらに歴史家のブラッドフォード・ブーリー氏は、クレアの一件はその後に物議を醸したことを指摘している。修道女たちはクレアの遺体に物を埋め込んだ疑いがかけられ、クレア本人は生前に異端者と関係を持っていたと噂されるようになったという。修道女たちは最終的には無罪であると判断されたが、クレアの列聖はその後長きにわたって保留されたのだ。
どうして物議を醸し、疑われることになったのか。その背景には教会当局の疑惑の目があった。
当時、女性は男性よりも肉体的に浸透性が高いと考えられており、神の性質を帯びやすいと同時に悪魔にも憑依されやすいと見なされていたという。つまり、女性は神と悪魔の両義性を具えた存在であると理解されていたのだ。
したがって、クレアが頻繁にビジョンを見ていたことは、神聖なものというより悪魔的な現象なのではないかと疑われた。そもそも女性が超自然的な体験を語るだけで、悪魔的現象を疑われたという。
ペスト感染者や致死的な病にかかった人の肉体が、健康な肉体と明確に異なる様相を呈するように、当時は聖人の身体も常人とは明らかに異なる特徴を持っていると考えられていたのだが、クレアやマルガリータのように身体の内部にその兆候を持っている場合もあれば、“聖痕”などのように外見に現れる場合もあるという。
一方、罪を犯した犯罪者の身体には、毛むくじゃらの心臓や謎の余分な肋骨など、悪魔的兆候が見られる可能性があるとされ、罪においても聖性と同様に、肉体と霊的な要素は深く絡み合っていると理解されていたのである。
科学史家のキャサリン・パークによれば、神的なものの存在と悪魔的なものの存在との間には不思議な対応関係があり、憑依の兆候は同時に聖性の兆候と似ているという。憑依された人々も聖なる人々もトランス状態になり、浮遊し、外国語を不思議に理解し、奇妙な予言を言い、長期間絶食しても命に別条がないことで知られていたということだ。
クレアが生きた13世紀、カトリック教会における「異端審問」はすでにはじまっており、正統信仰に反する教えを持っている可能性のある信徒には、あらゆる疑いの目が向けられていた。
14~17世紀にかけて凄惨を極めた悪名高き“魔女狩り”と“魔女裁判”が、果たして異端審問の延長線上にあったかどうかについては諸説あるものの、どちらにしても13世紀にはすでに女性が真っ先に疑われる傾向やバイアスがあったのだ。
この話題を取り上げた学術ニュースメディア「JSTOR Daily」の記事で、筆者のアメリア・ソス氏は、おそらく修道院のシスターたちは修道院長(クレア)が置かれていた紙一重の境遇に気づいていたのだと推察している。偉大な修道女であったクレアだが、同時に悪魔的要素を疑われる存在にもなり得ることに彼女たちは気づいていたというのだ。
だからこそ、シスターたちはクレアが聖霊と共に生きていたことを証明したいと強く望み、その信念は十分に堅かったので、彼女たちは喜んでクレアの遺体を解剖に提供したというのである。
ともあれ死の直後に身体を切り刻まれたクレアの身体はすぐに骨だけになってしまった。現在、モンテファルコの聖クレア大聖堂の地下にあるガラス製の棺には、クレアの像が安置されている。その棺の後部に遺骨が安置されているのだが、限られた修道女のみが閲覧可能である。クレアの心臓は崇拝のため、同じ教会に展示されているという。
クレアの心臓から取り出された十字架の行方は不明のようだが、ひょっとすると今も原型を留めて、どこかに保管されているのかもしれない。この十字架が再び日の目を見る時、クレアの物語が一躍センセーションを巻き起こすことは間違いない。
【参考】
https://bigthink.com/the-past/nun-dissected/
https://daily.jstor.org/autopsy-of-a-saint/
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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