月=人工天体説 月は異星人が建造した巨大宇宙船だ!/世界ミステリー入門

文=藤島啓章 写真=NASA

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    かつて、月は「かぐや姫」や「餅をつくウサギ」が住む“メルヘンの世界”だった。やがて科学的な探究の場所となり、数々の探査と研究によって、月の謎はほぼ解明されたように思われた。だが、それによって、人類は月について新たな謎を抱え込んでしまったのである。

    今もたくさんの謎に満ちた月

     観測の域を越えた物理的な月面調査は、1959年、旧ソ連が「ルナ」2号を月面に衝突させたときから本格スタートした。以後、アメリカの「アポロ」、日本の「かぐや」、欧州宇宙機関(ESA)の「スマート」、中国の「嫦娥」、インドの「チャンドラヤーン」などによる無人・有人の探査が行われ、多数の科学的データが収集された。

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    月面から地球が昇る様子。アメリカの「アポロ計画」で月に降り立った宇宙飛行士たちは、見たこともないような月のさまざまな光景を写真に収めた。岩石に覆われ、荒涼としたその表面の下には、われわれが知らない月の姿が隠されているのか……?
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    1959年9月12日に旧ソ連が打ち上げた月探査機ルナ2号。月の表面に到着した世界初の人工物体となった。

     結果、月に関する謎はほとんど解明されたと考えている人も少なくないだろう。だが、現実は違う。物理的探査がもたらしたデータの数々を検証していくと、驚くべき月の実像が浮かび上がってくる。月はなおも多数の未解決の謎を秘めた天体なのだ。

     おもな謎を列挙すると――。
    ★地球の衛星としては大きすぎるのはなぜか?
     地球の直径は約1万3000キロで、月のそれは3476キロだから、4分の1もある。ちなみに、火星の衛星ファボスは約309分の1、木製の衛星ガニメデは約27分の1、天王星の衛星チタニアは約50分の1、海王星の衛星トリトンは約13分の1。月は衛星としては桁外れに大きいのだ。

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    月と太陽系内の衛星の大きさを比較した図。たとえば、木製の衛星ガニメデは木製の直径の約27分の1程度だが、月は地球の直径の約4分の1にあたり、地球に対して不釣り合いなほど大きいのだ。

    軌道が真円を描いているばかりか、計算しつくしたかのような位置にあるのはなぜか?
     月の軌道の長半径は約38万4400キロ、短半径は約38万3800キロで、その差わずか600キロと真円に近い。
     しかも地球から見かけ上の月と太陽の大きさは同じだ。月の直径3476キロに対して太陽は138万3260キロだから、月の大きさは太陽の約400分の1.地球と月の距離38万4000キロにたいして、地球と太陽の距離は1億5000万キロで、その比率も約400分の1。だから、見かけ上は同じ大きさになる。あまりにもできすぎた地球―月―太陽の位置関係ではないか。

    自転周期と公転周期がピタリと一致しているのはなぜか?
     自転と公転の周期が一致しているため、月は常に表側のみを地球に向けている。これは偶然なのか。

    月の年齢が太陽系より古いのはなぜか?
     アメリカ航空宇宙局(NASA)が公式に発表している月の最古の石は45憶3000万年前。地球の年齢は45億4000万年とされるから、不思議ではない。が、NASA以外の研究機関(月の石は9か国・140研究機関に譲渡)がはじき出した年代はNASAの発表とは大きく異なる。1973年開催の国際月会議では53憶年前の石が確認されたと報告された。信頼度が高いとされるポタミウム・アルゴン法で測定したところ、いくつかの石が70憶年前という数値を示したという報告もある。

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    月面に降り立ち、星条旗を立てるアポロ11号の乗組員、バズ・オルドリン月着陸船操縦士。人類が初めて別の天体に到着した象徴的な写真をして知られる。

    ★月の石と石に付着する土の測定年代に10億年もの差があったり、隣り合う意思の年齢に何億年もの差があったりするのはなぜか?
     土は岩石が砕けて粉末状になったものというのが常識であり、石とその石に付着している土の測定年代は一致するはず。ところが、アポロ11号が持ち帰った石と土の測定年代は、前者が36億年前、後者が46憶年前だった。ほかのアポロが採集したサンプルからも同様の分析結果が得られている。また。月面上で隣り合っていたはずの石の年齢が何億年もかけて離れていたケースも確認されているのだ。

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    日食は太陽を月が覆い隠す現象だ。小さな月が巨大な太陽を覆い隠すことができるのは、太陽と地球、そして月の見かけ上の大きさがほぼ同じくらいの位置関係にあるからだ。写真は金環日食の様子。

    月の独特な地形に隠された不思議

    「海」の部分が高熱で溶けた岩石で覆われ、その岩石にレアメタルが多量に含まれているのはなぜか?
     海の部分から採取された石はチタニウム、ジルコニウム、イットリウム、ペリリウムなどのレアメタルを多量に含有していた。これらレアメタルは融点が極めて高く、溶解・融合して岩石上になるには最低でも400度の高熱が必要とされる。
     それほどの高熱が何によってもたされたのかが不明なうえ、海の部分がどのように生成されたものかも分明ではない。

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    月の表面のサンプルを収集するアポロ17号の宇宙飛行士。アポロ計画の友人月面着陸は6回を超え、総重量382キロものサンプルを採取した。
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    アポロ計画で持ち帰られた月の石。その分析結果には、不可解な点があると指摘されている。

    ★表側と裏側地形が極端に違うのはなぜか?
     月の表面は面積の3分の1を占める海と少数のクレーターからなり、裏面は多数のクレーターと山が複雑な様相を呈しており、海はごくわずかしかない。

    ★裏側が表側より6~9キロも出っぱっているのはなぜか?
     地球の引力が影響しているのなら表側が出っぱるはずだが、なぜか裏側のほうが表側より平均6~9キロも出っぱっているのだ。

    ★クレーターが地球に比べて圧倒的に多いのはなぜか?
     月には地球と比較にならないほど多数の。しかもきわめて巨大なクレーターがあり、直径100キロを超えるものだけでも72個を数える。この圧倒的な差について、正統派科学者は、大気層がある地球では摩擦熱が生じるので隕石は衝突する前に燃え尽きるが、月には大気層がないので月面に直接激突する、と説明する。
     しかし、説得力は乏しい。人類は17世紀初頭から約400年間にわたり、望遠鏡で月を観測しつづけてきた。にもかかわらず、その間に隕石の月面衝突が起こったという報告例は皆無なのである。

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    月の表側(上)と裏側(下)の様子。月は地球に対して常に同じ面を向けているため、1959年に旧ソ連の探査機ルナ3号が撮影に成功するまで、人類の裏側を見ることはできなかった。

    ★クレーターが直径に比して一様に浅すぎるうえ、その底面が月の球面の曲率に従って膨らんでいるのはなぜか?
     理論上、直径10メートル以上の隕石が衝突すると直径の4~5倍の深さの穴ができるとされる。ところが、月のクレーターの深さは、直径が200キロを超えるものでもせいぜい3~6キロ。最も深いガガーリン・クレーターですら、298キロの直径を持ちながら、深さはわずか6キロ強でしかない。
     さらに不可解なことに、多くのクレーターの底面は、月全体の曲率に従って膨らんでいる。深い穴が開くどころか、逆に盛り上がっているのだ。

    ★「マスコン」が存在し、それが海の部分に集中しているのはなぜか?
    月には周囲より重力が強い重力異常ゾーンがあり、これを「マスコン(質量集中部)」と呼ぶ。そこに密度の大きい物質があると考えられているが、その物質が何で、なぜマスコンが存在するのかは不明。現在確認されているマスコンは計12か所で、しかも不可解なことに、海の部分に集中している。

    ★月の平均密度が地球に比べて極端に低いのはなぜか?
     地球の平均密度が5.5グラム/平方センチなのに対して、月は3.34グラム/平方センチと約60パーセントしかない。この極端な差はいったい何に起因しているのか。

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    月の表側の地表部分(上)と裏側の地表部分(下)。表側は比較的なだらかで、濃い色に見える「海」と呼ばれる地形がある。対して、裏側には海はほとんど存在せず、無数のクレーターに覆われている。

    ★月の地震が鐘や銅鑼を叩いたときと同様の奇妙な震動パターンを示すのはなぜか?
     アポロ計画では、月着陸船が司令船に戻るとき、月面上空から離陸装置を落下させて人工地震を起こし、その震動パターンを調査するという実験が何度か行われた。
     特徴的だったのはアポロ13号の実験で、地震源から約140キロ地点に設置した地震計が3時間20分をいうきわめて長時間の継続地震動を記録した。
     しかも、地球の地震は初期微動にはじまり、ピークに達したあと急速に衰えていくが、月の地震は小さな波動が次第に大きくなってピークを迎え、そのピークが長くつづいたあと徐々に減少していくという奇妙な震動パターンを示した。まるで内部が中空の巨大な鐘や銅鑼を叩いたときのような不思議な揺れ方をしたのである。

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    アポロ計画の探査の中には、月への地震計の設置も項目のひとつに数えられていた。写真はアポロ11号のミッションで設置された地震計(手前)。
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    月と地球の地震を比較してみると、その波形から震動のパターンや持続時間が違うことがわかる。

    月の謎を解き明かす大胆な仮説とは?

     ここまで見てきたように月はまさに謎の塊であり、正統派化学者たちはいまだ解明の糸口すら提供できないでいる。が、これらの一連の謎を一挙に氷解させうる有力な仮説がある。月=人工天体説がそれだ。
     旧ソ連の天文学者ミカイル・ヴァシンとアレクサンダー・シュシェルバコフが1970年7月、旧ソ連の科学雑誌「スプートニク」に発表した大胆な仮説で、その大筋は次のようなものである。
    「太陽系外のどこかの宇宙空間に超高度な文明を持つ惑星があったが、あるとき潰滅の危機に瀕した。そこで小惑星の内部をくりぬいて超巨大宇宙船に改造。長途の宇宙旅行に旅立って地球と遭遇し、その隣に腰を落ち着けた。月はいわば“宇宙版ノアの箱舟”である」
     あまりにも奇想天外、荒唐無稽とも思える仮説だが、以下、彼らの主張がいかに説得力に富んでいるかを見ていこう。

     まずは月の異常な大きさ。小惑星を改造したのであれば、太陽系の他惑星の自然衛星に比べて桁外れに大きくても不思議ではない。
     月の軌道に関する謎、なぜ真円に近く、地球からの見かけ上の月と太陽の大きさが同じなのか、といった疑問も一挙に解決できる。地球外知的生命体が最も都合のよい地球周回軌道を計算して“定位置”を決定。月=巨大宇宙船をそこへ配したのである。
     月が「ロッシュ限界」の問題をクリアしているのもその傍証となる。ロッシュ限界とは衛星が破壊されずにその主星に近づける限界の距離のことで、月は地球の半径2.7倍の距離内に入ると、地球の潮汐力によって粉々に破壊されてしまう。かといって、遠すぎるを地球の引力圏に取り込まれる可能性はなくなる。
     月はまさに最適の宇宙空間に位置しているのだ。
     自転と公転の周期が一致しているのも偶然ではあるまい。そこにはおそらく何らかの意図が隠されているのであろう。
     月の石や土の年齢、無数のクレーターなどに関する謎も、いとも簡単に説明できる。
     太陽系よりも古い宇宙のどこかで形成された小惑星が宇宙船に改造され、太陽系誕生後に地球周回軌道まで操縦されていた。
     つまり月=宇宙船は故郷を離れて以来、数千年万あるいは数億年のオーダーで宇宙空間を飛行した。その間に彗星の巣、流星のシャワー帯、小惑星帯……などの危険空間を通過し、無数の隕石や彗星の衝撃を受けたに違いない。
     とすれば、太陽系の起源以前の石があっても不思議ではないし、極端な年齢差がある石や土が月面に混在していても驚くにはあたるまい。月面にクレーターが無数に存在するのも当然ではないか。

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    コペルニクス・クレーター。直径約93キロ、深さ約3.7キロで、地球のクレータに比べ直径に対して深さは浅い。

     また、進行方向の片側の半球がより大きな衝撃を受けたはずで、その結果として表裏の地形に大きな違いが生じたのであろう。裏側の異常な出っぱりも、度重なる隕石や彗星の衝撃、あるいは接近遭遇した他天体の引力によるものと高い確度で推測できよう。

    月は宇宙に浮かぶ超巨大宇宙船か!?

     海にまつわる謎も新仮説なら容易にクリアできる。旧ソ連のふたりの科学者の説明はこうだ。
    「月の外殻は二重構造になっている。外側の第1外殻は粗石殻、第2外殻は人工的につくられた堅固な金属殻で、海の部分では第1外殻がきわめて薄いか、まったくない場所もある」
     すなわち第1外殻は宇宙性の塗装部に相当し、第2外殻が真の船体である、としてこうつづける。
    「海は自然の形成物ではない。隕石などの衝撃によって第1外殻が損傷したので、第2外殻を強化するために、耐熱性金属成分(レアメタル)を多量に含む溶岩状物質を人工的に作り、損傷個所に注ぎ込んだ。その結果できあがったのが海である」
     海が表側に圧倒的に多い理由も、これで納得がいく。月=宇宙船の前面に当たる表側のほうが、裏側よりも大きく損傷しただろうことは容易に想像される。そこへ溶岩状物質を流してコーティングしたのだから、表側に海が集中してしかるべきなのだ。
     この新仮説は、マスコンが存在し、それが海の部分に集中している謎の解明にも大きなヒントを与えてくれる。月の住人は第2外殻を溶岩状物質で修復した。広大な海の面積を考えると、とてつもなく大規模な工事だったろう。当然、巨大な設備と膨大な資材を必要としたはずで、それが現在も海の下部に残されてると考えてもおかしくはあるまい。
     マスコンは正体不明の高密度の物質が原因、というのが科学者の一致した見解だ。その正体不明の物質こそ、巨大な設備と膨大な資材ではなかろうか。とするなら、マスコンが海の部分に集中している理由も用意に説明できよう。
     クレーターの深さが一様に浅すぎるという謎も、今や解明されたも同然だ。月面に衝突した隕石は第1外殻を破壊してさらに突き進もうとしても。硬い金属質の第2外殻に阻止され、それ以上の突入は不可能だったのである。
     クレーターの底面が月自体の球面の曲率に従って膨らんでいるのも、もはや謎ではない。底面は第1外殻が隕石によって破壊された結果、露出した第2外殻の表面なのであり、逆に膨らみがないほうがおかしいのである。
     奇想天外、荒唐無稽と思われた月=人工天体説は、解きがたかった月の謎の数々を一刀両断に解明してみせたが、では、ふたりは月の内部構造をどう推定しているのだろうか。
    「内部には直径約3300キロの別の球体があり、その表面に諸施設が配されている。この内部球体と外殻の間に空洞部があり、そこに生命維持用と工業用のガスが蓄えられている」
     その根拠のひとつとして彼らがあげるのが、前途した謎のひとつである平均密度の極端な低さだ。
     月内部に空洞があるのなら、奇妙な地震の謎もいともたやすく解ける。ふたりの主張によれば、月の第2外殻は人工的につくられた金属質の防護壁だった。いわば月は中空の鐘や銅鑼と同様の震動パターンを示すのは至極当然ではないか。
     にわかには信じがたくとも、すべての謎ときは月=人工天体説に収斂する。月はまぎれもなく地球外知的生命体の手になる超巨大宇宙船だったのである。

    (月刊ムー2016年9月号掲載)

    藤島啓章

    ライター。ムーにて基礎知識連載「世界ミステリー入門」などを担当

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