「ネス湖大捜索」参加の日本人が「奇妙なコブ」を撮影していた! 現地リサーチャーも驚いた奇跡の一瞬/ネス湖現地レポート
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獲物の血液を吸い尽くす! 吸血怪獣チュパカブラの基礎知識/ムーペディア
その奇妙な事件が最初に報告されたのは、1995年のこととされている。
アメリカの自治連邦区であるプエルトリコで、ヤギが異常な殺され方をしているのが発見されたのだ。死骸には目立った外傷はなかったのだが、その体内には血液が一滴も残っていなかった。何かが、この家畜のすべての血液を吸い尽くしたものと考えられた。
もちろん何者がヤギを襲い、このような殺し方をしたのかは、当時だれも知らなかったのだが、プエルトリコのミュージシャンにしてコメディアンでもあるシルヴェリオ・ペレスは、現地語のスペイン語でこの犯人を「(エル)チュパカブラス」と命名した。「チュパカブラス」とは、「(複数の)ヤギの(血を)吸うもの」という意味で、男性単数形の名詞につく「エル」という定冠詞が示すとおり、本来は単数形だった。しかし英語圏に紹介されると、最後の「s」が複数形と誤解されたのか、今では単数形を「チュパカブラ」と表記することが多くなっており、日本でもこの名称が広まっている。
家畜の怪死事件はその後も頻発し、ヤギだけでなく、ウシやヒツジ、ウサギ、ニワトリ、アヒルといった家畜、さらにはイヌやネコまで襲われるようになった。犠牲となった動物の死体には目立った外傷はないが、小さな穴があり、いずれも血や体液を吸い取られて殺されていた。
しかも、同様の家畜の被害はすぐに、ドミニカ共和国やアルゼンチン、ブラジル、ペルー、アメリカ南部やメキシコといった周辺地域にまで広まり、ついにはロシアや中国からも似たような事例が報告されるようになった。
事件が多発するに伴い、チュパカブラらしき生物を目撃したと証言する者も大勢現れた。
最初の目撃者は、プエルトリコの主都サンファン南東に位置するカノヴァナス村に住むマデリーネ・トレンティーノという女性で、1995年8月のことであった。このときトレンティーノが目撃した生物は、体長90センチから1.2メートルほど。二本脚で歩き、こめかみにまで達する大きな目と、細い腕と脚を持っていた。耳や鼻はなく、背中にトゲのようなものが並んでいたという。
多くのUMAの目撃報告に違わず、チュパカブラの描写についても細かい部分でばらつきがあるが、幾多の目撃報告を総合すると、だいたい以下のような生物らしい。
その身長は1メートルから1.5メートルほど、卵形の頭部に赤く細長い目を持ち、中央に鼻孔らしき小さな穴がふたつある。まっすぐに裂けた口の上下から鋭い牙が2本ずつ突きでている。舌は非常に細くて30センチもの長さがあり、アイスピックのように先がとがっているとも、先がヘビのようにふたつに分かれているともいう。四肢にはかぎ爪のついた3本の指があり、後肢で立ちあがってカンガルーのように飛び跳ねたり、猛スピードで走ったりする。ジャンプ力については、6メートルも飛び跳ねたという証言もある。皮膚は皮あるいは鱗のようで、全身に黒い固そうな体毛が密生しているが、この体毛は周囲の環境によってカメレオンのように色が変わるともいわれている。何よりも特徴的なのは、背骨に沿って首から尾のつけ根部分まで何本ものトゲ状のものが並んで突きだしていることである。
また、警戒したときにはシューというような甲高い音を発するとか、硫黄のような嫌な臭いを残すともいわれ、一部には背中に翼があり、空を飛んでいたという証言もある。
他方、アメリカでは、これとは少し異なる種類の生物が何度も目撃されている。こちらは通常四つ脚で歩行し、多くの場合毛がなく、脊髄の隆起が飛び出し、異常に眼窩が深く鋭い牙と爪を持つ。このタイプは体色が青っぽく見えることから「ブルードッグ」と呼ばれることもあるが、やはり獲物を襲ってその血を吸うといわれている。
では、このチュパカブラの正体は何なのだろう。
じつはブルードッグ・タイプについては、何度か死体が回収されており、DNA鑑定が行われたこともある。
たとえば2004年8月、アメリカ・テキサス州サンアントニオのエルメンドルフで、周辺地域で家畜を襲っていた、「エルメンドルフの野獣」と呼ばれる動物が射殺されたことがある。さらに2006年8月には、メイン州で齧歯類とイヌ科の中間のような生物の死体が発見された。
この2件については、いずれもDNA検査が行われた。その結果、エルメンドルフの野獣は皮膚病で毛の抜けたコヨーテ、メイン州のものはイヌとオオカミの雑種と判明した。ほかにもブルードッグの死体が確認された例はいくつかあるが、いずれもコヨーテやイヌ、あるいはオオカミとイヌやコヨーテとの雑種と判明している。
こうした実例もあってか、正統派の動物学者たちは、チュパカブラは一種の都市伝説か、皮膚病にかかったイヌやコヨーテなど、既知の他の動物を誤認したものだと考えているようだ。
こうした懐疑的な動物学者たちは、獲物の血が吸われているように見えるのも、単に死体から血が流れていないためそう思えただけであり、外傷はなくても内出血などで死亡する場合があると述べている。
捕食された形跡がないのも、捕食者が何らかの病気や怪我で弱っていて、獲物を殺したものの食べることができなかったためだとする。
また2019年には、倒れた子牛の内臓をすすっているアルマジロの姿がネットで公開され、チュパカブラの正体はアルマジロではないかと話題を呼んだこともある。確かにアルマジロは長い舌や鋭いかぎ爪を持ち、皮膚が鱗のようだったという証言にも合致するから、一部の目撃報告がアルマジロを誤認したという可能性は否定できないかもしれない。
背中にトゲ状のものが並ぶという証言についてはどうだろう。
この点に関しては、最初に事件が報告された1995年公開の映画『スピーシーズ 種の起源』の影響があるのではないかという指摘がある。
この作品は、宇宙から送られてきたDNA情報と人間のDNAを結合させた結果、「シル」と呼ばれる新たな生命体が誕生し、交尾した人間の男性を次々に殺していくというストーリーだが、このシルの背中には、チュパカブラと似たようなトゲが並んでいる。この映画は続編がいくつも作られるほど評判になり、最初の目撃者であるトレンティーノもこの映画を見ていたらしい。
他方、チュパカブラは何らかの機関が遺伝子操作によって生み出した人造生物だとする陰謀論もある。
たとえば1995年10月には、最初にチュパカブラらしき生物が目撃されたカノヴァナス村の農場のフェンスに付着した血液が発見され、DNA分析にかけられたことがあるが、分析の結果は、既知のいかなる生物とも合致しなかったという。
さらに2001年5月には、チリのヴィラ・サン・ラファエル村でチュパカブラらしき生物が目撃されたとの報告を受け、「カマラUFOセンター」代表ハイメ・フェレイラらが現場に向かう途中で、黒ずくめのふたりの男が奇妙な生物を捕まえ、連れ去る光景を目撃したという。黒ずくめの男というと、有名なMIBを思わせるが、彼らは秘密を守るためにこの生物を連れ去ったということなのかもしれない。
またチュパカブラとUFOとの関係を指摘し、チュパカブラは宇宙からUFOでやってきたエイリアン・アニマルだとの説も唱えられている。
プエルトリコのエル・ユンケ山では1984年2月にUFO墜落事件が発生しており、この墜落事件とチュパカブラを関連づける説もあり、UFO目撃があると翌日に家畜が殺されているという証言や、UFO内にチュパカブラが吸い込まれていくのを目撃したという報告もある。
さらには、チュパカブラは昔から地球のどこかに隠れ住んでいたのだが、1995年になってその活動が認知されたのだという可能性も考えられる。
たとえばフィリピンでは、古くから「シグビン」と呼ばれる謎の生物について語り継がれている。シグビンの形態はヤギやカンガルーに似ているというが、夜間出没して獲物の血を吸うとか、長い牙と赤い目を持つ、いやな臭いを放つなど、チュパカブラと似た特徴を持っている。
またプエルトリコでは、1975年にも多くの動物が皮膚に奇妙な孔を開けられ、完全に血を抜かれて死ぬという事件が発生している。このときは島の西部の町モカの周辺で頻発したため、犯人は「モカの吸血鬼」と呼ばれた。もちろんこの謎の吸血鬼の正体は判明していない。
チュパカブラを思わせる生き物の活動は、じつは名称が定まる1995年以前から報告されていたのだ。
(月刊ムー2020年5月号掲載)
羽仁 礼
ノンフィクション作家。中東、魔術、占星術などを中心に幅広く執筆。
ASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)創設会員、一般社団法人 超常現象情報研究センター主任研究員。
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