ビッグフットを引き寄せる匂いスプレーが効果抜群! 天然香料がUMA調査の現場で活用される/遠野そら
半径2.4kmのビッグフットを引き寄せるスプレーが販売されていた。獣人との遭遇を目的とする団体が有効活用していたのだが、その匂いとは?
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博物館は、呪物……ならぬ奇怪な収蔵品の宝庫だった? あまり知ることのできない、学芸員たちのあいだでささやかれる博物館の怖い話を、現場を知る漫画家が語る。
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芸術の秋。美術館や博物館に足を運ぶ機会もふえる季節だが、じつは博物館は怪談の宝庫でもあったのだ!
博物館勤務と漫画家の二足のわらじをはく鷹取ゆうさんは、自身の体験や知人の博物館スタッフなどから聞き集めた博物館にまつわる怪談をまとめ、漫画『異聞』としてSNS等で発表している。
今回、鷹取さんから、博物館での怪異体験や、なぜ博物館で奇妙なできごとが発生するのか、現場経験者ならではの考察をうかがった。インタビューをもとに再構成した、芸術の秋に読みたい博物館の怖い話をお届けしよう。
これはとある施設で、信仰にまつわる資料の調査をしていたときの話です。
その施設ではある事情から一度に大量の信仰関連物を受け入れることになり、私もスタッフのひとりとして調査に参加したのですが、そこで同じ調査メンバーからこんな話をききました。
その調査時、膨大な受け入れ資料のなかに、木像やお札などにまじって一基の祠があったんですが、その祠を調査したところ、内部から一本の竹筒が出てきたそうです。
筒を開けてみると、さらそのなかに、丸まった一枚の真っ黒な紙が。
ひろげてみると、それは一面にびっしり墨が塗られた和紙だったそうです。それも普通に塗ったのではなく、筆で何重にも文字を重ね書きして、判読ができないほど真っ黒になったものだったんです。
そして、その黒く塗りつぶされた紙の中央を、一本の縫い針が刺し貫いていた。
博物館には職業柄そういうものをあまり嫌がらない人も多いのですが、さすがにその紙は誰も触りたがらなかったそうです。しかし、資料として収蔵するためにはどんなものでも採寸や図に起こすといった作業をしなければならない。
そこでひとりがその役を買って出たのですが、作業をはじめたとたん、周りからはその人の体がなぜか真っ黒に見えたそうです。
そして作業の途中からそのかたは具合を悪くし、結局その後1週間以上も寝込むことになってしまったといいます。
博物館は基本的に来歴のはっきりしないものは資料として受け入れないのですが、その竹筒は祠の元所有者の方も存在を知らず、いつから祠に入っていたのか、誰が入れたのかなど詳細はわからないままだそうです。
墨といえば、ある木像では、見た目にはわからないんですが、赤外線で撮影をしたらある部分に墨で文字が書きつけられていることが判明した、なんてこともあったそうです。それも、いかにもいわくありげな文字が。
肉眼で見えないからといって「何もない」とも言い切れない……。博物館にはたまにそういう資料もあるんですよね。
この話は、私の知人が、新設される博物館の開館準備をしているときに体験したという話です。
オープン前の博物館の収蔵庫で、夜、資料調査をしていたときだそうです。収蔵庫のなかには自分しかいないのに、どうも人の声が聞こえる。友人は、なんだろうと思いその声のする方にいってみたそうです。
するとそこには、下の絵のような市松人形があった。
しかも、その声は一体ではなく、複数の人形から聞こえている。友人には、まるで人形どうしが会話している、談笑しているように聞こえたそうです。
怪談的にはその人形になにか原因があったのかとも思えますが、別の可能性として、奇妙なことが起こりやすい博物館は、建っている場所がよくないんだといわれることもあります。
博物館の建設地は、館が主体的に決められるのではなく、自治体の都合などにも左右されます。だから必ずしも資料収蔵に向かない土地に建てられてしまうケースも出てくるわけですが、なかには敷地面積の関係などでいわくつきの場所に……という例もみられるようですね。
これは私自身の実体験です。
ある企画展準備に携わっていたときの話なんですが、展示準備作業の休憩中に、内覧のようなかたちで展示室を観覧していたんです。
すると、室内のある場所で突然、ものすごい寒気に襲われたんです。思わず振り返ると、そこにはとある木像が展示されていました。
それは神仏の像ではあるんですが、若干変わった特徴のあるものでした。ただ、話としてはそこだけ寒かったという、それだけのことなんです。
でもその後、一緒に作業をしているスタッフと集まったときに何気なく「そういえば会場で1ヶ所だけすごく寒いところがあって……」と雑談的に口にしたところ、「え、私も」「私も……」と次々に同じことをいう。
「それってどこでした?」と聞いてみると、全員が同じあの木像の場所をあげたんです。
詳細はいえませんが、その木像は、ある有名な霊場で信仰されていたものでした。
企画展などで仏像を展示する際、博物館に移す前にお寺が「魂抜き」の法要をすることがあります。博物館に寄贈される資料であっても、こうした儀式は基本的には寄贈者側にしていただくことが多く、学芸員が立ち会ってその記録をとらせてもらうこともあります。
ただ、なかにはまれに博物館では関知しておらず、いわゆる自治体の「お偉いさん」のコネのようなかたちで収蔵が決まる資料もあります。
そうなると館側で十分に調査ができず、その資料がどういう「処置」をされているのかわからないまま受け入れることもあるんです。「魂抜き」がされているのか、いないのかもわからないまま収蔵となるんですよね。
意外かもしれませんが、博物館でも館内に盛り塩をしているところがあります。
ある博物館では、収蔵庫の扉横に盛り塩を置いていて、代々その塩を取り替える担当も決まっているそうです。で、その盛り塩が、ときどき「減る」んだとか。
博物館の収蔵庫ですから、虫やネズミのような小動物が原因という可能性はまずない。なぜなら博物館は文化財に害を与える動物を常にチェックしているので、いれば毛や痕跡ですぐにわかるんです。そうした跡がみられない以上、動物の可能性は排除できる。なのに、事実として「盛り塩が減る」という現象は続いているそうです。
またこれは私の体験ですが、何日間か博物館に泊まり込みでの資料調査の間に、持っているお守りが立て続けにおかしくなったことがありました。
私はいつもお守りと粗塩を持ち歩いているんですが、まず、カバンにいれていたお守りのひもがちぎれ、その2日後に今度はもうひとつのお守りの袋がぱっくりと裂けたんです。カバンに入れていて、ぶつけたわけでも、手荒な扱いをしたわけでもないのに。
で、そのまた2、3日後でした。ふと、お守りと一緒にしている粗塩をみたら、塩が黒く変色していたんです。ジップロックにいれ、さらに小袋にいれているんですが……。そのときは怖いというより「塩って黒くなるんだ」と驚きのほうが強かったのですが。
それも信仰関係の資料を扱っていたときでしたから、ちょっと不気味ですよね。その後特に体調を崩したりなどはなかったんですが、お守りはその後すぐにあたらしいものを買い直しました。
じつは博物館関係者には、奇妙な体験をしている人が割と多いようです。自分の観測範囲では、知り合いの2〜3人にひとりはなにかしら怪談的な話をもっています。
私がまとめたマンガの元ネタも、最初は特に意識して聞いて回ったわけではなく、自然に耳に入ってきて集まったという感じでした。そのうちに、おや、これは多いぞということで具体的に体験を聞き集めるようになったんです。
ただ、博物館関係者はなにか奇妙なことがあったとしても「怖い」より「そりゃそうだよね」と受け止めるかたが多いように感じます。博物館の収蔵品には、ある人が亡くなるまで持ち続けていた遺品、というようなものままあるので、まあ情念がこもっていて当然だよね、というような感覚なんですね。
だから、実は怪談はもっとはたくさんあるのに、本人たちが怖いと思っていないから世に出ていないんじゃないかと考えています。客観的に聞いていると「いやそれって怪談じゃないの」と思うことが多々あるんですよ。
そんな話が今も集まっているので、いずれ『異聞』続編の制作も計画しています。
鷹取さんの描く博物館怪談は著書『ただいま収蔵品整理中!』(河出書房新社)にも収録されている。https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309291253/
また『異聞』は同人イベントなどで限定頒布中だ。
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